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精密加工と材料評価を核に 【山本金属製作所(大阪市)】

ものづくり基盤技術を次世代へ

 

にっぽん元気カンパニー

山本金属製作所
【事業内容】 金属材料評価・計測機器の開発・製造・販売、金属部品の加工、生産現場の設備機器・生産財の製造・販売、金属材料の評価・試験サービス
【創立】 昭和40(1965)年2月
【資本金】 1億4000万円
【従業員数】 157人

進路は明快

疲労試験機と輪郭複雑形状部品
最新の疲労試験機(上)と輪郭複雑形状部品の加工例

 「金属を精密に加工する技術と、金属を精密に計測する技術が当社のコア技術だ。この2つをとことん高度化していく」 経済産業省・中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」(平成19年)に選出されるなど、技術力や経営力に折り紙つきの山本金属製作所。代表取締役社長の山本憲吾氏(41歳)が指し示す進路は明快だ。 2つのコア技術を核に、各種部品などの加工品と、疲労試験機など材料評価・計測試験機の開発・製造・販売事業を展開。近年は、大企業などの生産部門の効率化を手助けする設備機器や各種生産財の開発・製造と、被削性評価試験の受託サービスにも乗り出した。 一昨年の暮れには岡山研究開発センター(岡山市)が完成。金属の加工状態をモニタリングする技術など、独自開発の技術に一段と磨きをかける態勢も整えている。

新3市場に照準

 「今年は新たに、自分たちのコア技術をどのような分野に向けて発信していくのかを明確にした」(山本氏)。すなわち1.エネルギーインフラ産業2.再生医療及び医療機器産業3.航空宇宙産業─の3市場がターゲット。エネルギーインフラ産業では発電プラントやガスタービンの部品などに難削材加工をはじめとする同社の得意技術を生かす。再生医療及び医療機器産業では人工骨などが有力候補で、今年9月には大阪大学と共同で単結晶ボーンプレートの研究開発に着手した。航空宇宙産業では昨年9月に打ち上げに成功した大阪工業大学の小型人工衛星「PROITERES」の構体を製作したが、今後は航空機エンジン部品への進出も目指す考えだ。
 新たな領域に踏み出す原動力となる2つのコア技術は、実は同社の48年の歴史の中で自然に培われてきたわけではない。山本氏自身が「苦しい時代に、もがきながら見いだした」ものなのだ。

下請けから脱却

 山本氏は大学卒業後、2年間のサラリーマン生活を経て、現会長の父親が創業した山本金属製作所に入社した。当時は、大企業から渡された図面通りに機械加工する下請け部品メーカーだったが、バブル崩壊で仕事が激減し、経営困難の中、孤軍奮闘する父親の姿を見て、決意を固めた。
 まだ30歳前だった山本氏はがむしゃらに営業に歩いたものの、注文してくれる企業は皆無。金融機関も冷たくなった。死に物狂いで仕事をする中で気づいたのは、「もはや下請けでは生きていけない」ということだった。同時に、難削材の加工なら仕事があることもわかってきた。だが、何のノウハウもない。

技術と経営学ぶ

 山本氏が藁にもすがる思いで選んだのは、社員と2人で立命館大学の客員研究員になり、金属材料の特性を一から学ぶことだった。「プロの料理人は腕を磨くと同時に素材を知ろうとする。ぼくらも金属を加工するためには材料を知る必要がある」と考えたのだ。
 やがて、山本金属製作所は特殊な部品を加工できる会社だという評判が次第に浸透していった。それだけではなく、自社用に開発した材料評価試験機が大学の研究者ら社外にも売れるようになった。
 山本氏は立命館に通った時期とほぼ重なる2年間、休日を利用して神戸大学大学院にも通い、経営学の権威、加護野忠男教授(当時)に師事した。ある勉強会で加護野氏の講演に感動、直接弟子入り志願したのがきっかけで、「マネジメントとは何かという、経営の基礎をしっかりと叩き込んでもらった」。

公的支援を活用

社員と山本社長
本社近くにある技術開発センターで社員に話しかける山本社長(右)

 子会社の山本精密が今年10月、大阪府の「経営革新計画承認企業」に認定されるなど、公的な中小企業支援施策を上手に利用しているのも、そうして磨いた経営ノウハウの一つなのだろう。平成21年に36歳で社長に就任。その前後から、中小機構の中小企業支援メニューも積極的に活用。一昨年には販路開拓コーディネート事業、昨年には海外展開F/S(事業化調査)支援事業を使って中国を訪問し、現地の商社と試験・測定機器の販売で提携することができたという。
 「金属を削る・磨く、材料を評価・分析するというのは、ものづくりの基盤技術だ。これは、効率重視の大企業には高度化できない。だけど、日本はものづくりの上に成り立っているのだから、誰かが次の世代にバトンを渡さないといけない。山本金属製作所を、その役割を担う会社にしたい」。山本氏の夢だ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年12月1日発行 第1109号

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