中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  にっぽん元気カンパニー >  無借金経営へ中期計画始動 【でんそく(富山市)】

無借金経営へ中期計画始動 【でんそく(富山市)】

働きがいのある会社めざして

 

にっぽん元気カンパニー

でんそく
【事業内容】 電力設備や各種プラントの工事、電気制御機器の製造・販売、各種情報通信システムの製造・販売
【創立】 昭和41(1966)年
【資本金】 2000万円
【従業員数】 約200人

電力工事が主力

櫻井社長
「もう一度、気を引き締める」と中期計画策定の狙いを語る櫻井社長

 「社員が『この会社に入って良かった』と思える会社にしたい。良い形での雇用を通じて社会に貢献する。月並みだけど、それが経営の基本だと思う」
 富山市に本社を置く、でんそくの櫻井賤男代表取締役社長(69歳)は今、新たな経営改革に取り組んでいる。今年度(平成26年3月期)をスタートとする中期3カ年経営計画を策定するとともに、部門別採算管理の導入や経営理念の徹底を図り、利益重視型路線を一段と強固にすることで、より筋肉質な会社へと変貌させていく考えだ。
 同社は昭和41年に「日本海電測」という社名で発足、平成5年に「でんそく」に変更した。現在は売上高ベースで電力工事事業が約6割、電力制御盤など各種制御盤の設計・製造・販売を行う配電盤事業が約3割、それに両事業と連携した電力監視システムなどの情報通信システム事業が約1割といった事業構成だ。

黒字転換果たす

発電機ローター分解作業
電力工事の一つ、発電機ローター分解作業

 櫻井社長は創業者の女婿で、大手電子部品メーカーを定年退職したのを機に、経営をまかされた。入社1年後の平成17年7月に2代目社長に就任。「入社して初めて、赤字続きの会社だと知った」が、「利益重視」の経営方針を貫き、2年後の平成19年3月期には黒字転換するという手腕を揮った。それ以前の苦しい時代も含め、リストラは一度もしていない。
 かつて赤字経営が続いたのは、電力自由化に伴うコスト削減で電力会社向けの仕事が一時的に減少したのを民間企業向けの仕事でカバーしようとしたためだ。とくに工作機械メーカー向けの配電盤事業を大きく増やしたのだが、それが逆に損益を悪化させる要因となった。
 櫻井社長は前の会社で資材部長を務めていた経験を生かし、まず資材のコスト削減に取り組んだ。各部門に毎月、原価表を配布するなど社員に原価意識を持たせることも徹底した。営業面では、それまで電力工事事業は富山県内が中心だったのを県外の仕事も積極的に受注するようにした。電力工事と配電盤製造の両方を手がける企業は少ないため、県外へ進出する際のセールスポイントとなった。
 一方で、工作機械メーカー向けは順次縮小するようにした。おかげで、平成20年のリーマン・ショックで翌年の工作機械メーカー向け売り上げが9割も減少したにもかかわらず、赤字に陥らずに乗り切れた。

粗利益率20%へ

 社長就任時に掲げた目標の一つに「10年計画で無借金にする」というのがある。すでに借入金はピーク時の半分にまで減らしたが、目標とする期限まであと3年。「ここでもう一度、気を引き締めよう」と考え、3カ年計画を策定した。
 同計画に盛り込んだ目標は、3年後の売上高23億円に対し、粗利益率を20%(現在12〜13%台)に高めることだ。関西電力、北陸電力に続き、卸電気事業者の電源開発向け受注の拡大に努める一方、安全と品質の重視を徹底して不良発生率をゼロにする。そのために社員の多能工化を進める。それら経営改革の結果として無借金経営を実現するというものだ。

稲盛理論に共鳴

 (1)お客様に高品質の奉仕(2)個性尊重とアイデアで楽しく(3)感謝の心で今日 生きる─という先代の時代に作った経営理念に沿って、社員の行動規範も新たに策定した。稲盛和夫・京セラ名誉会長の経営理論に共鳴したためだ。今年初めに稲盛氏の著書を読み、「どんなに経営が厳しい会社でも、アメーバ経営(部門別採算制)とフィロソフィーを持つことの2つを実践すれば再生できる、という説に意を強くした」という。
 さらに、経営改革を着実に実行していくため、中小機構の専門家継続派遣事業を活用。実務経験の豊富なアドバイザーに月2回の現場訪問による経営指導を受け、部門別採算制の実現に向けて始動した。
 櫻井社長は「以前にも中期計画を作ったことがあるが、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルのPだけで終わってしまった。今度はCやAまで確実に進めていく」と意気込む。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年10月15日発行 第1106号