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金沢を娯楽のメッカに 【グランゼーラ(金沢市)】

ゲーム核に地域に広がる夢描く

 

にっぽん元気カンパニー

グランゼーラ
【事業内容】 家庭用ゲームソフトの企画、
制作、販売など
【設立】 平成23(2011)年4月
【資本金】 1850万円
【従業員数】 約30人(アルバイト含む)

仮想空間を運営

金沢をテーマにしたコンテンツ
金沢をテーマにしたコンテンツ「金沢独立戦線」も

 加賀百万石の城下町、金沢市。平成23年4月に創業したばかりのゲームソフト開発ベンチャー企業、グランゼーラは、あえてこの地を拠点に選び、世界37カ国のユーザーを相手にビジネス展開している。
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の3D(3次元)オンライン・ユーザーコミュニティサービス「プレイステーション(PS)・ホーム」で「ラウンジ」と呼ぶ仮想空間を運営し、アバター(ユーザーの分身)の衣装やアイテム、部屋などを販売。このPSホーム事業をベースの収益源に位置づけ、「PS3」をはじめとするSCEの各種ゲーム機向けゲームソフトの開発も推進、近く第1弾の作品を発売する予定だ。
 「映画やアニメなど他の表現手段に比べ、ゲームは自由度がはるかに高い。思いついたことは何でも実現できる」。代表取締役CEOの名倉剛氏はゲームが持つ可能性を確信する。背景にはこれまで積み重ねてきた実績がある。
 名倉氏をはじめとする7人の創業メンバーは、石川県内にあるゲームソフト開発会社の社員として斬新な発想の作品を相次ぎヒットさせ、業界でも一目置かれる存在だった。ゲームファンの間で名高いクリエーターもいる。親会社がゲーム事業の縮小方針を打ち出したのを機に、独立した。
 創業3カ月後の23年7月に最初のラウンジ「南の島の隠れ家」を開設。翌月には「大江戸・大商店と長屋」を開設と順次、増やしてきて、現在、6種類のラウンジを運営する。SCEの日本法人に加え欧州法人、米国法人とも相次ぎ契約し、同年9月には海外でもサービスを始めた。現在の売り上げの半分を海外で稼いでいる。

金沢工大と提携

 「“金沢”は全国ブランドであり、カッコいい」。名倉氏は金沢で創業した理由について、会社帰りに温泉にもスキーにも気軽に行けて、クリエーティブな仕事をするうえで欠かせない気分転換をしやすいことなどを挙げる。東京など大都市に数多く存在するゲーム会社の中に埋もれるより、存在感も出しやすい。
 同時に、創業時から掲げているのが「金沢デジタルエンターテインメント構想」。ゲーム制作に関係する会社をはじめ、映画やコンピューターグラフィックなどの会社やクリエイターを育成、集積し、金沢を「娯楽のメッカにする」(名倉氏)という壮大な構想だ。
 すでに3年目になる金沢工業大学との提携もその一環だ。週に1回、同社のクリエイター、プログラマー、グラフィックデザイナーの3人がひと組になってゲーム制作について無償で講義する。名倉氏も年度初めの講義で、学生たちに「ゲームは遊ぶよりも作るほうが100倍快感を得られる」と教える。今春には卒業生の1人が同社に入社した。
 昨年7月には地元企業を対象にマッチングセミナーも開いた。今はゲームとは関係のない企業が、それぞれの持つ技術をゲーム制作関連に活用する方法を探るためのセミナーだ。

最優秀起業家に

i-BIRD内のグランゼーラ野々市スタジオ
ゲーム開発に専念できる環境を整えた
(i-BIRD内のグランゼーラ野々市スタジオ)

 ラウンジが軌道に乗るまでの期間、資金繰りに追われたが、23年10月には、ビジネスモデルそのものと同構想の両方が高く評価され、石川県産業創出支援機構の「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」で名倉氏が最優秀起業家賞を受賞。これに伴い、昨年7月には日本政策金融公庫から2000万円の融資を好条件で受けられた。「創業後に知り合った方々に助けられ、運が良かった」と名倉氏は振り返る。
 昨年10月には中小機構が運営するインキュベーション施設「いしかわ大学連携インキュベータ(i-BIRD)」(石川県野々市市)にスタジオを開設。社員がゲーム開発作業により専念できる環境を整えた。
 「グランゼーラ」という社名は、前の会社時代のヒット作の一つであるSFゲームに登場する革命軍の名前に由来する。「ゲームに限らない。キーワードは“娯楽”」(名倉氏)と、今後の目指す活動領域は広大。金沢で狼煙を上げた革命軍の快進撃が始まった。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年10月1日発行 第1105号