中小機構について >  情報提供活動 >  中小企業施策普及紙「中小企業振興」 >  にっぽん元気カンパニー >  海外の大型商談で引き合い 【オーイーエス(愛知県岡崎市)】

海外の大型商談で引き合い 【オーイーエス(愛知県岡崎市)】

高性能アンモニア無害化設備を開発

 

にっぽん元気カンパニー

オーイーエス
【事業内容】 排ガス処理装置、
排水処理装置の製造・販売
【設立】 平成14(2002)年5月
【資本金】 1000万円
【従業員数】 4人

大型受注に期待

 「台湾の世界的半導体メーカーから排水処理設備の大型商談がきており、当社も有力な(受注)候補だ」
 こう話すのは、触媒開発ベンチャー、オーイーエス(OES)の大橋二也(つぎや)代表取締役だ。
 半導体やLED(発光ダイオード)の洗浄工程にはアンモニアが多用されているが、アンモニアを含有した排水を河川に流すと、窒素酸化物によって酸性雨の要因となり、河川の酸素濃度が低下して魚の生息環境が悪化したり、農作物の不作にもつながる。このため、台湾政府は2015年1月までにアンモニア性窒素などの工場排水基準を強化する。
 台湾の世界最大級の大手半導体メーカーはこの規制強化に対応、約20カ所の半導体工場の排水処理設備を更新する商談を進めている。昨年、低コストのアンモニア排ガス・排水無害化設備を開発したOESも日本の大手水処理メーカーと組んでこの商談に参加しており、ビッグチャンスが訪れている。

コスト10分の1

アンモニア排水処理システム
アンモニア排水処理システム

 この国際的な大型商談に加われたのは、OESが昨年、国の新連携事業の認定を受け、制御機器メーカーのぜんなん電機(名古屋市港区)、名城大学(同天白区)と連携し、アンモニア排ガス・排水無害化処理装置を開発したためだ。この装置はOESが開発した高性能触媒を使い、アンモニアを無害の窒素に分解するだけでなく、装置の小型化と大幅な省エネを実現したのが特徴。
 その仕組みはこうだ。半導体などの製造過程で排出されるアンモニアガスを分解するには一定の温度が必要なため、これまでは加熱のために電力を使っていた。これに対し、OESが開発した新装置はアンモニアが分解される際に生じる熱を有効利用する。具体的には、センサーで温度を感知し、温度が下がりそうになると高濃度のアンモニアガスを分解に回して温度を維持するため、加熱用の電力を減らせる。しかも、従来に比べ2倍以上のアンモニア濃度でも対応可能なため、「装置の大きさは半分、ランニングコストは10分の1になる」(大橋氏)。OESの高性能触媒、ぜんなん電機の制御装置、名城大の実証実験という新連携によって実現した。
 こうした特性が評価され、昨年には国内の半導体大手から初めて受注を獲得している。

台湾以外にも

 大塚製薬グループの環境装置企業で触媒などを研究していた大橋氏は、大塚製薬の事業再編に伴い、平成14年に触媒開発のOESを創業した。その後、アンモニア分解用の触媒開発に特化したところ、大手企業から評価されて排ガス処理装置を開発した。そんな中、二酸化炭素排出削減など地球環境保護への意識が高まっていたことから、「無公害装置を考え始め」、20年に無害化装置の開発に成功したが、「まだエネルギー効率が悪かった」。23年には岐阜県垂井町に試験場を設置し、改良を重ねた。
 そんな折、地元の金融機関などから中小機構を紹介され、コーディネーターから新連携事業を勧められ、新装置の開発につなげた。現在は新連携事業に基づき、特許や海外市場開拓、資金繰りなどでフォローアップ支援を受けている。
 台湾からの大型受注を見込み、「機械部分の委託製造先も確保し、触媒の量産に向けた実験も進めている」と準備も着々。台湾だけでなく「中小機構の支援を得ながら、韓国などにも売り込んでいきたい」と大橋氏は意気込む。

 

水素燃料も視野

大橋二也代表取締役
アンモニアガス処理装置を前に「触媒の研究開発型企業として成長したい」と話す大橋二也代表取締役(岐阜県垂井町の研究所)

 OESの技術開発はまだ続く。現在のアンモニアガス分解装置は濃度1.8%まで可能だが、「2%以上に高めれば加熱のための電力が不要どころか、分解熱を回収できる」。つまり、エネルギーの「回収」が可能という画期的なもの。すでに名城大に最新装置の実証試験を依頼し、開発のめどは立っており、「来年度初めには投入したい」。
 独自の触媒技術について、将来的には「アンモニア以外にも広げたい」という大橋氏。その視線の先には、夢のエネルギーとされる水素も入っている。無公害の水素は自動車用燃料として開発が始まっているが、水素は爆発の危険性も指摘される。大橋氏は「アンモニアから水素を抽出できる触媒を確立すれば、アンモニア燃料自動車も実現する」と、大きな夢を描いている。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年9月1日発行 第1103号