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超大型機で地方立地の強み発揮 【(株)ヨコハマ吉倉(福島県いわき市)】

ワンストップ一貫体制も売り物

 

にっぽん元気カンパニー

(株)ヨコハマ吉倉
【事業内容】 板金加工・製缶・機械加工
【設立】 昭和62(1987)年
【資本金】 1000万円
【従業員数】 40人

新規顧客開拓へ

大型5面加工機
地方の利点を生かして導入した東北最大級の大型5面加工機

 東北地方で最大級の超大型加工製作機と、短納期で注文に応える一貫生産体制。板金・機械加工業のヨコハマ吉倉(福島県いわき市)はこの2つを売り物に、大型建設機械部品や特装自動車部品、架台・フレームをはじめとする機械・自動車・土木関連向け各種加工品を受注生産し、着実に業績を伸ばしてきた。しかし一層の売り上げ拡大には、新たな顧客の開拓が必要となってきた。そこで「再生可能エネルギーや介護分野での新規受注を狙って、最新の機械を導入した」と、佐藤優・代表取締役は成長産業の取り込みによる更なる飛躍を期している。
 同社は社名が示す通り、横浜が発祥の地となる。創業は昭和62年(1987年)で、平成2年(1990年)に縁あっていわき市の工業団地に進出した。以後、社名はヨコハマでも福島いわきの企業として活動し今日に至る。もともと、板金加工業として立ち上がり、小物類の取り扱いがメインだったが、十数年前、大型5面加工機(門型マシニングセンター)を導入したのを機に、長さが8メートルに達するような大型部品の製造・加工に本格的に乗り出した。今では、建機・特装車の車台部分や自動車の検査用フレーム、各種の架台などの製造加工が大きなウエイトを占めている。

最短納期で

 佐藤代表取締役は「東京大田区や横浜のような都市部の中小企業ではスペースの制約から導入が難しい大型設備を持てるのが、地方の工業団地に立地している強み」と話す。さらに、レーザー加工機、ベンダー(曲げ加工機)、NC旋盤、ロボット溶接機をはじめ多種多様な設備を揃えることで、“ワンストップ一貫生産”を実現したのも同社のセールスポイントとなる。
 「一貫生産により短納期化が図れる。複数の会社で共同受注するようなケースでは納期管理が難しくて、どうしても日数を要してしまう。その点、社員が40人規模の当社は、社内がすべて“見える化”されていて仕事の段取りがつきやすく、最短の納期で応えられる」(同)とワンストップのメリットを強調する。

専門家を活用

 ところで、同社と中小機構の関わりは20年以上前に倒産防止共済に加入した時からと古くからのものだが、5年前、新連携事業に取り組んだのをきっかけに、より密接な関係となった。新連携ではソフト会社などと組んだ産学官プロジェクトにより中小企業向け大型3次元測定機を開発した。
 新連携事業に続いて専門家継続派遣事業、経営実務支援事業を活用し、実務経験豊富な複数の専門家の支援を受け、生産性向上や5S(整理、整頓、掃除、清潔、しつけ)のほか、溶接技術向上にも取り組んだ。「仙台や豊橋など各地から派遣していただいた先生方のおかげで、社員の士気が上がり、みんなのベクトルが同じ方向に向いた。社内に勉強会がいくつもできた」(同)。その成果として経営基盤が強化され、増収増益を達成した。また、溶接技術では8名が厚板溶接技量資格試験(SA-3F)に合格し、2名の溶接管理者の資格取得者が誕生した。

 

成長産業に照準

佐藤代表取締役と佐藤歩専務
佐藤歩専務(左)との親子コンビで経営のかじを取り、「将来性のある再生可能エネに力を入れる」と語る佐藤代表取締役

 同社の受注状況に目を向けると、近年は大手建機メーカーが主力顧客となり、とくに大型ショベルカー向け機械部品の製造加工が柱の事業となっている。高さが5階建てビルほどもある鉱山用超大型ショベルカーの部品製造も得意としている。
 将来を見据え、新たな柱を打ち立てようと、このほど大型5面加工機やターニング(立旋盤)を導入。工場一棟を新設し、新規受注案件の獲得に乗り出したところだ。導入機械のうち、門幅3.6メートル、テーブル長さ10メートルの5面加工機は全国でも10機あるかどうかの希少な超大型機だという。
 ターゲットは風力、水力、太陽光発電など再生可能エネルギー関連。「特にメガソーラー関係の情報が入ってくるなど、明らかな手応えを感じている」(同)。導入したターニングは風車、水車など回転系の大型部品の製造加工にうってつけと見ている。市場拡大が見込まれる介護や福祉関連の機器の新規受注にも期待を寄せる。
 また、これまで佐藤歩専務(社長の子息)が孤軍奮闘していた営業回りを補強するため、技術専門商社と提携した。中小機構の専門家派遣による人づくりと、社長の決断による新鋭機器の導入、そして商社ネットワークの活用による営業力強化が相まって、成長産業を取り込む土台が整った。
 東日本大震災では、同社の工場も大きな揺れに見舞われ、機械設備が損傷したという。震災から2年5カ月。同社のシンボルマークのダチョウのように、頑丈な足を地につけて全力疾走するスタートラインに今、立ったところだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年8月1日発行 第1101号