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シルク化粧品を国内外に発信 【(株)アーダン(鹿児島県奄美市)】

絹活用の医薬部外品にも進出へ

 

にっぽん元気カンパニー

(株)アーダン
【事業内容】 シルク化粧品製造販売
【資本金】 7000万円
【従業員数】 35人

シルク素材で商品づくり

 「シルクロードに象徴され奄美大島の特産『大島紬』の原料でもある、シルク(絹)という素材を生かした商品を世界に伝えていきたい」─アーダンの西博顯(にし・ひろひと)社長は胸を膨らませる。
 シルク化粧品の製造販売を手掛けるアーダンは今から17年前、母親である現会長が創業した。当時奄美大島の多くの女性が従事していた大島紬を紡ぐ1人だった。西社長はそうした母親の背中を幼少のころから見て育ち、絹に特別な親近感を持つ。「繭を洗うと手がきれいだね」─奄美大島で紬を紡ぐ女性の間で代々伝わる言い伝えだ。
 西社長は鹿児島県の公立高校を経て京都大学医学部に進学。「臨床というより研究に興味を持っていた」(西社長)。以来、母親の仕事を側面から応援し、化粧品の厚生労働省への認可申請業務などを手伝った。本格的に奄美市の本社で事業に専念し始めたのは5年ぐらい前から。社長には2年ほど前に就任し、絹を素材とした独自の商品づくりに力を注ぐ。

絹とともに歩む

シルク化粧品
「良いものに出会えてうれしい」などの顧客の声が続々寄せられているシルク化粧品

 事業展開するに当たり、「絹の効果などをしっかり伝えられる商品展開をしたい」(同)と、絹とともに歩む姿勢を改めて決意する。シルクは科学的にその成分が解明され、人の肌と同じアミノ酸が集まったタンパク質でできている。その18種類のアミノ酸の比率も人の肌とほぼ同じといわれる。つまりシルクは「自然の素肌」ともいえ、同社のこだわりでもある「シルクを基礎の材料とする化粧品」は、こうした絹の力を余すことなく引き出す。
 同社の化粧品はシルクが85%も含まれる。常識を覆す高級基礎化粧品だ。原料の繭は現在年間1.5トンほどを消費する。繭は長野、群馬、埼玉県などから買っているが、足りずに「30年前に消えてしまった奄美大島での養蚕業復活に2011年から行政、関係業界などと取り組み始めている」(同)。

新工場を近く稼働

 近年、絹は再生医療分野でも注目を浴びる。この点では西社長の医学分野における研究・知識を実際のビジネスに生かすことができる。現在、さらにシルク化粧品の次の展開として、同社初の医薬部外品製造を手掛ける考えで、その新工場を本社から車で30分ほどの龍郷町に建設、稼働する予定だ。シルクを活用した独自の医薬部外品が注目されるのは必至で、同時に地元の雇用創出面への貢献も期待される。
 同社の悩みの一つは販売。「奄美大島の知人である経営者に中小機構の存在を聞き」(同)、同機構九州本部に支援を依頼した。これをきっかけに、くまもと大学連携インキュベータ(熊本市)に平成24年2月に入居し、ここをコールセンターとして商品配送センターのある京都支店につなぐ仕組みを作った。テレビショッピングを行った際、商品のサイクルが短く、「お客様の声を直接聞くことができないという印象を受けた」(同)という教訓から自社でコールセンターを持ち、通販を行っている。今後はウェブの本格活用が研究課題だ。

 

中小機構の支援で

西社長
社名の由来であるアダン(阿檀)の木を背に、「シルクの持つ力を生かして化粧品、医薬部外品を世界中に伝えていきたい」と語る西社長

 さらに海外展開を目指す同社は5年ほど前から独自に上海などに出かけて、ビジネスの機会をうかがった。しかし「商習慣の違いなど自分たちでコントロールできないことが多く、宿題になっていた」(同)。こうした折、中小機構に海外展開F/S(事業化可能性調査)支援事業があることを知り、早速応募したところ24年度事業として採択された。
 昨年9月に中小機構の専門家の同行で、絹織物で世界的に有名なフランスのリヨンとファッション・化粧品の都パリを訪問した。現地に行ってみると、絹織物技術はあるもののシルク化粧品はほとんど見られない。「化粧品は触って、嗅いで、塗ってみないと─その反応、感触を探るのに現地に行って本当に良かった」(同)。リヨンでシルク化粧品の委託生産を予定する数社の企業とのヒアリングも行い現在、リヨン進出の準備を着々と進める。
 西社長は社員に「忙しく仕事をしていられるのは中小機構との出会いがあり、支援を得ているから」といつも語りかける。今後「シルクは世界中の女性が魅了され続けた素材。このブランド力を生かし弊社製品を世界に発信していきたい」と言う。そして5年後ぐらいにはIPO(株式公開)を実現したい考えだ。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成25年2月15日発行 第1090号