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水質浄化ビジネスで地球環境に貢献 【(株)アクト(徳島県吉野川市)】

50年前の里山の自然を取り戻したい

 

にっぽん元気カンパニー

(株)アクト
【事業内容】 環境商品の製造・販売
【設立】 昭和58(1983)年10月
【資本金】 1200万円
【従業員数】 7人

環境分野への参入

凝集剤「水夢(SUIMU)」
排水の多様な水質に合わせブレンドして製品化している凝集剤「水夢(SUIMU)」

 平成24年3月、「環境保全に資する水性塗料廃液処理用の無機系凝集剤の開発と水処理の用途開発推進」で「2011四国産業技術大賞」の技術功績賞・最優秀賞を受賞したアクトの尾北俊博社長は、「私が子供の頃遊んだ里山の川にはフナやどじょうがたくさんいて、夏にはホタルが飛び交いました。50年前の生き生きとした水の流れる川や自然を取り戻したいとの思いで、この仕事に取り組んでいます」と、ビジネスにかける自らの思いを語る。
 公共下水の設計を中心に公共事業の補償コンサルタント・測量設計業として昭和58年に創業したが、バブル経済崩壊や公共事業の減少に直面。大手を中心に建設業の異業種転換が始まり、同社も新しい事業分野を模索するうちに、水質・土壌の浄化技術の研究に取り組み始めた。
 平成14年に「土壌汚染対策法」が施行されたのを機に、生態系にやさしい商品の開発を進め、無機系の水質浄化剤「水夢」と土壌改良剤「土夢」を生み出し、販売を始めた。環境分野事業への参入である。
 だが、「建設業が下火になる時期に、公共工事用として建設業に売り込んだのが戦略の失敗でした」(同)と苦笑する。

排水処理剤の開発

 大手企業が手を出さないニッチ分野でオンリーワン企業として事業展開することを模索し、中小機構四国本部などが開催するセミナーや勉強会にも積極参加した。
 そんな折、EU(欧州連合)諸国の厳しい環境規制に着目。EU諸国は、二酸化炭素と同様、揮発性有機化合物(VOC)の削減が進んでおり、いずれ日本でも、塗装や接着、洗浄工程で使用されるVOCの規制が厳しくなると考えた。
 平成16年の大気汚染防止法の改正、消費者の環境意識の高まりになどにより、産業界で水性インキや水性塗料、水溶性接着剤などへの切り替えが進むと、廃液の処理が新たな課題となってきた。水溶性廃液は溶剤のように容量が減少せず、全量を産廃業者に託すことになる。
 大規模処理装置の設置が困難な中小企業にとっては、この廃棄処理費用が大きな負担となる。中でも、VOC排出量の多い塗料分野に的を絞り、平成18年8月、水溶性廃液を水と廃物質に分離する水性塗料専用の廃液処理剤を開発し、塗装工場などに販売を開始した。

中小機構による複合支援

 とはいえ、馴染みのない業界での不慣れなマーケティング。平成19年に紹介された中小機構四国の相談窓口を訪れたことが、事業躍進の契機となる。「販路開拓コーディネート事業」による販路開拓の支援を受けることとなり、「公共事業の入札受注の経験しかなかったので、コーディネーターさんと共に初めて企業廻りをして、名刺交換や自社製品のプレゼンテーションを行う中で、これがテレビなどで見るビジネスの世界か、と心躍りました」(同)と振り返る。
 翌20年度から、事業戦略や営業管理体制の構築のための専門家派遣や経営実務者(OB人材)派遣のほか、香川(当時は高松)高等専門学校の多川正教授らとのマッチングによる産学官連携など、中小機構の支援ツールの複合活用を始めた。

産学官で新開発

ニゴリすっきりタブレット
香川高専との連携で誕生した「ニゴリすっきりタブレット」

 香川高専の多川教授らとの出会いは新商品開発を促した。平成21年に、新たな処理剤と廃液処理装置を共同で開発。主に中小企業向けにセット販売するビジネスモデルを構築した。「中小企業総合展や環境展などの展示会にも出展し、商社や代理店からの引き合いも増えている」(同)という。
 香川高専とはさらに、水槽の濁りやアオコを30分程度でスピード除去するタブレットも共同開発した。大手ペット用品メーカーとの業務提携により昨年1月から販売を開始している。
 また、うどんのゆで汁などの食品汚泥で頭を悩ませている香川県と香川高専を含めた三者契約により、嫌気性の菌を使った食品汚泥の削減を目指す研究・開発に取り組みはじめている。

新たな挑戦

尾北社長
「生き生きとした水を取り戻すのが私の使命と思い新たな挑戦を続けます」と語る尾北社長

 環境保全を自らの事業テーマに掲げる同社は、除染に伴う放射性物質洗浄排水(セシウム)の浄化処理剤の開発に乗り出しており、「除染の有効な廃水処理剤として採用されれば、震災復興に少しでも貢献したい」(同)と意気込む。
 「中小機構の支援により、ビジネスのノウハウやビジネスのおもしろさを知り、事業に対する自信やゆるぎない思いが生まれました。今は、次なる戦略を考えたりすることがとても楽しい」と新たな挑戦に向けて顔を輝かせる。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成24年12月1日発行 第1085号