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工業用ダイヤモンドに挑む 【三和ダイヤ工販(株)(大阪市)】

シリコンなど硬質・脆性材料を高精度切断

 

にっぽん元気カンパニー

三和ダイヤ工販(株)
【事業内容】 工業用ダイヤモンドを主原料とする切断・研磨用工具の製造販売
【設立】 平成3(1991)年1月
【資本金】 5000万円
【従業員数】 90人

歯医者での出会い

 「父(先代社長)がある時、歯科医院でドイツ製の工業用ダイヤモンドを使った金属のバーで患者の歯を削る光景を見て、それは何かと歯医者に尋ねると、目の飛び出るほど高価なものであることを知り、これを(仕事として)やればいいんじゃないかなと考えたようです」─工業用ダイヤモンドとの出会いについて、三和ダイヤ工販の松田雄策社長は苦笑交じりに話す。
 先代社長が70年ほど前に創業したのが同社の前身である三和ダイヤモンド工業。工業用ダイヤモンドを使ったカッターや一般研削砥石を成型するダイヤモンドドレッサーなどを作り出した。根っからの技術者で、息子である松田社長にも後に人工ダイヤモンドを日本でも作る研究まで奨める。
 松田社長は大学で物性物理を専攻し、父親の会社に卒業後すぐ入社、奈良工場(大和郡山市)に技術担当として赴任した。「先代社長が特に評価されるのは、ダイヤモンドバンドソーマシンの製造」(同)。現在は太陽光発電用の結晶シリコン、液晶テレビ用の石英マスクなど硬質・脆性材料の切断に多く使われている。この2分野は、現在の三和ダイヤ工販の「2大客先」でもある。先代社長の取得した特許件数は実に約150件の多くを数える。

苦難の「第2創業」

松田社長
「滋賀の工業レベルが高いうえ土地がフラット、しかも琵琶湖に豊かな水もある」と団地の利便性を語る松田社長

 松田社長が経営のかじを取り始めたのは、平成3年。先代社長が他界する1年ほど前のことで、三和ダイヤ工販設立の年に当たる。先代社長からの会社相続の際には数十億円に上る相続税の問題に直面し、引き継いだ会社、個人の資産をすべて売却して税の支払いに充てた。「工場の一部をリースバックの形で残した以外何もなくなり、ゼロからの再スタートだった」(同)と、苦難に満ちた「第2創業」当時を振り返る。

ユーザーは見捨てず

 しかしユーザーは同社を見捨てなかった。同社の持つ技術を高く評価していたからだ。製品は特許製品であり、よそでは作っていなかった事情もあった。「自社の製品はそんなに優れているのか、自分ではわからない。お客さんがどう評価してくれるかだ」(同)。その後もユーザーからの同社の技術を求める仕事は間断なく続いた。
 平成10年には、大口径ダイヤモンド穿孔機(マックスビットマシン)を開発し、「ベンチャービジネスコンペ大阪」で優秀賞を受賞した。その2年後これを使って、高速道路の橋脚を作る川底工事で、川の流れる水の上から鉄筋コンクリートに穴をあけ、外径1.3メートル、長さ1.5メートルのコンクリート鉄筋コアを300本、10カ月間かけて引っ張り出した。「新工法として認知され大きな実績となった」(同)。先代社長と共に工業用ダイヤモンドを使った刃物開発という同じ目標に挑み、「父も私も技術屋」(同)と語る姿は、まさに父子鷹(おやこだか)。松田社長の特許件数も約120件を数え父親に匹敵する。
 こうした挑戦を後押しするかのように、川底工事と同じ時期に、太陽光発電用多結晶シリコン切断用のバンドソーマシンを大手電機メーカー数社に納入、それ以降、太陽光発電用シリコン切断装置の需要が飛躍的に高まっていく。

中小機構の団地へ

滋賀工場
高速道路の甲南インターから近い、甲南フロンティアパークに立地し好調な経営を続ける同社滋賀工場

 さらにセラミックス・ガラス・シリコン・フェライトなどを精密切断するダイヤモンドカッティングソーなどへの需要も同時に拡大していった。
 平成19年には中小機構が運営する甲南フロンティアパーク(滋賀県甲賀市)に工場用地を取得した。他にも候補地はあったが、新名神高速道路から近く、しかも甲南インターからすぐの場所で、「ここが大変気に入って選んだ」(同)。ユーザー企業に1時間程度で行ける好立地で、翌年に奈良に続く2番目の滋賀工場として稼働した。「機械装置の製造の増強とメンテナンスサービスおよび新規機械装置の開発研究拠点とする狙い」(同)と、一段と高まる需要に対応する。
 今後については、太陽光発電用シリコンをいかに正確に、早く、安く加工できるかを追求する中で、若い人材をそこに重点的に投入し彼らの技術で改良を継続してもらいたいと考えている。この「エネルギー分野は絶対に仕事はなくならず、企業として将来展望は間違いなく開けている」(同)と若い人材に言い続けている。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成24年10月1日発行 第1081号