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「地産地消」の乳業経営貫く 【中央製乳(株)(愛知県豊橋市)】

地域資源使った乳製品で全国展開も

 

にっぽん元気カンパニー

中央製乳(株)
【事業内容】 乳製品の製造・販売
【設立】 昭和12(1937)年10月
【資本金】 1億3300万円
【従業員数】 146人

地域と共に生きる

 「弊社だけでなく地元の酪農家、消費者の皆様と心を一つにして物事に当たり、共に繁栄するという社是を大切にして生きてきました」―中央製乳の川澄宏匡社長は強調する。
 「一円融合」。この二宮尊徳の言葉を社是に掲げ、渥美半島の地元豊橋・田原など東三河地域で産する資源に何よりこだわる。この方針は同社の生い立ちに深く関係する。昭和12年、同社は現在の地に、静岡県の志太煉乳工場と兵庫県淡路島の藤井煉乳工場の両社が合併して設立、煉乳を中心とした乳製品からスタート、今年で75年を迎える。

多種多様な製品群

中央製乳の正門前
中央製乳の正門前からの風景。「中央牛乳」(商品名)と書かれたトラックが何台も待機、活気に満ちている

 設立当初、この地は養蚕が主な産業で酪農は未開発だった。しかし年間を通じ気候が温暖なこともあり酪農振興に力を入れ、同社も地元産生乳を使った乳製品を製造・販売、「専業酪農家と協力し合って酪農経営と乳業経営に行動を共にしてきた」(川澄社長)。今では生乳は愛知県内生産量の約38%に当たる7万5000トンにも達する酪農地帯となった。
 同社の製品は年とともに増え飲用向け牛乳を中心に、バター、粉乳などの加工品、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー、食パン、清涼飲料とチーズを除く多種多様な食品を製造・販売する。経営の基本は、「地元の牛乳は地元で消費する地産地消」(同)。販売エリアは東三河とその他の愛知県、岐阜、三重、静岡県の一部。バター、粉乳などは全国の菓子メーカー、飲料メーカーにも出荷する。地域では地元密着の優良企業として親しまれる。

連携して製品開発

 製品の代表的なものが豊橋産生乳100%使用の「のんほい牛乳」(のんほいは方言で、そうだねの意)、同じく田原産生乳100%使用の「どうまい牛乳」(すごくうまい)などの地産地消シリーズ。パンについては一般的なパン作りで使われる水の代わりに牛乳、植物性油の代わりにバターを使った食パンだ。「こうした地域資源を使った製品に力を入れることで地産地消をアピールしている」(同)。地元の小・中学校の給食にも同社の乳製品が広く採用されており地域に深く根付いている。
 同社は代々、プロパー社員が社長に就任、川澄社長も同じく6代目。5年前に16歳年長の前社長から指名され、「大変だと思った」(同)ものの54歳でトップに就いた。
 同社長は地産地消を基本としながらも、「これと並行して地元の農産物と弊社の乳製品を一緒にした商品を開発したい」という思いがあった。取引のあった生活協同組合コープあいちから、地域の加工用トマトを使った乳製品はできないかとの相談もあり、トマト加工品メーカーの県内大手、コーミと連携、生協の協力も得ながら平成22年にトマトアイスクリーム「愛知で育ったとまとのあいす」(商品名)を開発した。

中小機構に相談

川澄社長
「『愛知で育ったとまとのあいす』を作って一番うれしかったことは、トマトの嫌いな子供がおいしく食べたと、その子の母親から聞いたことです」と語る川澄社長

 問題はこれをどう本格的に事業化し販路を広げていくか。こうした折、地元の金融機関から中小機構を紹介され、同機構中部本部を訪れ相談した。昨年夏頃のことだ。以来同機構の専門家のアドバイスを受けながら事業をブラッシュアップ、事業計画を作り、地域資源活用事業の認定を今年2月に受けた。今後フォローアップ事業として、地域資源関連展示会、イベントなどを通じて新商品を全国展開したい考えだ。
 「これを突破口に他の地域資源についても商品化できるものがあれば開発していきたい」(同)とも。これは「地元の農産物を使い乳製品として当エリア以外にも出していくことは地域にとっても非常に意義がある」(同)との考えからだ。
 品質・生産管理については「何と言っても品質が基本。食品の安全・安心をさらに追求するため、すでに認証取得しているISO9001(品質マネジメントシステム)、また活動中の『総合衛生管理製造過程』以外の外部認証取得についても視野に入れていく」と同社長は飽くことのない挑戦を誓う。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成24年8月1日発行 第1077号