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国産材の製材・加工で躍進 【(株)木村産業(岩手県一戸町)】

一本の丸太を無駄なく活用

 

にっぽん元気カンパニー

(株)木村産業
【事業内容】 製材・木材の加工販売
【創業】 昭和61(1986)年4月
【資本金】 900万円
【従業員数】 54人

急きょ、社長就任

  「会社にしよう」―木村産業の舘幸男社長は、それまで組織図も命令系統もなかった会社を組織として動ける会社にすることを自分と社員に誓った。今から2年半ほど前、社長に就任した時のことである。
 平成21年12月、常務取締役で土浦営業所長をしていた舘社長に突然の悲報がもたらされた。創業社長である木村康司氏が急逝したという電話だった。木村前社長は昭和61年に個人事業として同社を創業、製材・木材の加工販売、丸太の販売にゼロから取り組み、20年余で同社を業界の有力企業に育てた実力者。社長個人の図抜けた力で会社を引っ張ってきた。
 急きょ、跡を継いだ舘社長は年末のあわただしい中、仕入れ先の青森県の原木業者などを回り、従来通りの原木納入を依頼、社員にも「仕入れ先も応援してくれている」と安堵感を与えた。「仕入れができ社員が残ってくれれば事業はやれる」と同社長は、土浦営業所で10年ほど販売に取り組んだ経験から先行きに絶対の自信があった。

国産材に徹する

舘社長
「中古機械を自社に合うよう作り変え、増産と自動化に対応しています。終始一貫して、そういう設備投資をやってきました」と語る舘社長

 わが国の木材自給率は約2割と国産材に比べ外材の占有率が高い。
 その中で同社は「日本の自然風土に育った国産材」のみを関東や東北地方中心に供給する。現在では、生産能力が年間原木消費量にして約8万立方メートルと板ものを挽く企業としては、東北でトップクラス。敷地内には複数の全自動無人生産ラインを持つ。
 こうした生産体制の下、同社は丸太の中心50%を製材へと加工し、バーク(樹皮)はボイラー燃料(熱源)に利用、さらに加工後発生するチップは製紙会社へ、オガ粉は地元畜産会社などで利用するといった具合に、1本の丸太を無駄なく活用できている。

中小機構と出会う

 ただ社長就任直後の舘氏は大きな課題を抱えていた。組織と生産管理など経営全般にメスを入れ、本来の企業組織として動ける会社にすることだった。
 これより先、平成18年に同社は株式会社化され、その3年後に岩手県などが出資する「いわてベンチャー育成ファンド」の出資を受けており、折よく「その運営責任者から中小機構の存在を聞いた」(同)。同社長はさっそく同機構東北本部に自ら出向き相談した。社長になってわずか1カ月余しか経たない平成22年2月のことだ。
 この中小機構との出会いが同社を大きく変えた。生産管理体制の強化を切り口に経営そのものを強化することをテーマに専門家派遣による支援を受けた。支援は徹底した現状分析を踏まえ、「初歩の段階から丹念にアドバイスしてくれた」(同)。「稼働率の概念すら頭になかった」同社が組織としてのルール、事業計画、指示命令系統などを定めて実践し、以前とは「全く変わった企業になった」(同)と感謝する。

乾燥材の拡大を

工場の内部
工場では複数の無人自動化生産ラインが稼働、原木仕入れから造材まで一貫生産体制を敷く

 経営全般の計画経営、生産性向上、営業力強化をテーマとする改善活動を専門家派遣による支援を受けながら社員挙げて継続して取り組んでいる。これらの積極的な活動が功を奏し、売り上げ、利益に好影響を及ぼしつつある。
 今後の目標では近年、利用率が高まっている乾燥材の市場でシェア拡大を目指したいという。国産材では現在、乾燥材の供給体制が非常に弱いといわれる。天日による乾燥では湿度にムラができる一方、木材乾燥機による乾燥は完成後の木材の割れもほとんど発生せず高い品質も保持できる。
 乾燥機の導入に越したことはないものの、難点は設備投資負担が伴うこと。このため同社長は「地域ぐるみで乾燥材の供給体制を構築するのも一つのやり方」と語る

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成24年6月15日発行 第1074号