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平成29年 年頭所感

独立行政法人中小企業基盤整備機構 理事長挨拶

 

 新年、明けましておめでとうございます。平成29年の新春を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。

 アベノミクスにより大企業を中心に緩やかな回復局面にあった日本経済は、英国のEU離脱問題、そしてトランプ次期米国大統領の就任を控え、先行きの不透明感が強まっています。グローバル化の進展により、今後も海外情勢が日本経済に大きな影響を及ぼすことは不可避であり、米国や欧州で進む保護主義的な流れは今後も注視していく必要があります。

理事長 高田 坦史

 理事長 高田 坦史

 

 一方で、アジア圏の経済成長と中間層の拡大は、日本へのインバウンド(訪日客数)急増という好影響をもたらしています。

 日本では、直近の国勢調査で初の人口減少が確認されるなど、国内市場が縮小局面を迎えていることがより鮮明になっています。そのような中で力強い活躍を続けていただくためには、中小企業も積極的に海外市場の成長を取り込んでいくことが肝要です。

 以前は、資金や人的リソースに余裕のある一部の限られた企業の選択肢と考えられていた海外展開は、ICTや物流サービスの発達によって、今や全ての中小企業や小規模事業者の身近な選択肢となりつつあります。

 例えば、昨年、中国ネット通販大手のアリババが運営するTモールで、世界最大の中国EC市場が最も熱くなる11月11日の「独身の日」に1日の販売額が過去最高の1兆8900億円に上り、内訳を国別に見ると日本製品がトップとなっています。これを見ても、日本の高品質の製品やサービスは既に海外で高い認知を得ており、ECという取引形態を選択することで中小企業や小規模事業者にとっても、新たな需要を掴む大きなチャンスがあることがうかがえます。

 アジアを中心に広がる自由貿易圏拡大の動きは、日本が今後、アジア地域の成長による波及効果をさらに取り込むのに追い風となることは間違いありません。私ども中小機構も、越境ECはもちろん、中小企業による海外の需要獲得に向けた取り組みをさらに後押しすべく、今年も専門家によるアドバイスをはじめ、セミナー、個別相談会やインターネット上での無料講座の配信など様々な支援策を拡充していく予定です。

 また、一昨年に立ち上げた、中小企業と国内外の企業とのビジネスマッチングサイト「J―GoodTech(ジェグテック)」では、当機構と提携関係にある海外政府機関などの協力を得て、現在までに優良な海外企業2500社にご登録いただいており、昨年には登録企業の業種やサイト機能も拡充しました。国内だけでなく海外展開における信頼できるパートナー探しのためのツールとして、今後も、さらに進化させていきたいと考えています。

 昨年は熊本地震や鳥取県中部地震、東北や北海道での台風による水害などが発生しました。被災された中小企業の方々の一日でも早い復旧・復興を心より願うばかりですが、私どもも引き続き精一杯のサポートに取り組んでまいる所存です。

 こうした自然災害に対する備えなど、中小企業にとっても「有事の備え」がとても重要になっています。しかし、「有事」は自然災害だけではありません。事業の存続に重大な影響を与えるという点と計画的に備えを行わなければならないという点では、事業承継についても同様です。

 中小企業経営者の過半数が既に60歳を超え、民間調査会社の調査によれば、60歳以上の経営者の後継者不在率は50%に上るとともに、黒字経営であるにもかかわらず廃業した中小企業の割合は4割を超えるという結果も調査報告されています。また、政府系金融機関の調査では、60歳以上の中小企業経営者の50%が既に廃業を予定しており、その3割は後継者の不在が理由として挙げられています。将来性のある会社が後継者難を理由に廃業しているとすれば、日本の競争力を維持するうえでも大きな損失と言わざるを得ません。

 実際、日本の中小企業数は、1986年の533万をピークに、2014年には381万にまで減少しており、一般的に5年から10年かかると言われる事業承継の準備期間と現在の経営者の平均年齢を考慮すれば、承継問題が喫緊の課題であることは明らかです。

 この状況を踏まえ、国は第三者への事業引継ぎも含め、事業承継をより円滑に進めるための施策として、2016年3月までに全ての都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を設置しました。支援センターでは、事業承継に係る無料相談やアドバイスを行っており、開設以来、相談実績は累計で約1万4000件に上ります。その全国本部を務める中小機構は、地域企業のM&A案件及び後継者不在を解消するため、売り手企業と買い手企業の情報をまとめたデータベースを全国規模で運用していますが、今年から地域の支援機関とも情報を一部共有し、広域マッチングをさらに加速させるべく取り組んでまいります。

 昨年7月には、中小企業や小規模事業者の生産性向上などを通じた「稼ぐ力」の強化を目的とした中小企業等経営強化法が施行され、当機構でも、事業分野別経営力向上推進機関への協力業務を行うこととなりました。

 「稼ぐ力」の強化は、顧客や市場の変化、技術革新などをいち早く見極め、それを取り込んでいくことで自らの競争力を磨くことに他なりません。人工知能(AI)やIoTといった、近年注目されている革命的な技術にも目を向け、新たな時代の潮流を捉えていくことが将来の大きなビジネスチャンスにつながっていくと考えています。

 そして、私ども中小機構も、支援する側としての力をさらに磨いていく必要があることは言うまでもありません。今年も、様々な課題やニーズをお持ちの中小企業の皆様に、より迅速に、かつより有益な支援策をお届けできるよう、全国の支援機関との連携をさらに深めつつ、職員一同全力で取り組んでまいる所存です。

 皆様方におかれましては、この一年がさらなる飛躍の年になりますよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。