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「これからが勝負の時」 たかぎ呉服店【宮城県亘理町】

本格復興への決意

たかぎ呉服店(宮城県亘理町)

 「震災から3年4カ月。これでようやくスタートラインに立てました」
 こう話すのは、JR常磐線の亘理駅から徒歩約5分の地で、7月下旬に新店舗をオープンする「たかぎ呉服店」(宮城県亘理町)の高城勝晃代表取締役だ。
 亘理町は震災で町の面積の半分近くが浸水。海沿いの荒浜地区で呉服や洋装品などを販売していたたかぎ呉服店も、すべての商品が流された。その後は町内に一軒家を借りたり、隣接する岩沼市のマンションで移動販売した。かつての店舗があった土地は危険地域とされ、戻れないためだ。店舗がなくては顧客の満足を得られないと感じ、「このまま商売を続けていいのか」と悩む一方で、「このままでは終わりたくない」との思いも強かった。
 そんな折、町内に仮設商店街ができると聞いて店舗の再開を決め、平成24年2月に仮設で営業を始めた。このときに「次の場所をどうするか」と継続の決意を固めていた。
 転機となったのが、国のグループ補助金(中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業)だ。認定されたグループは、中小企業の場合、復旧費用の4分の3の支援が受けられる。地元の商工会の案内で知り、仮設に入居する荒浜地区の商店に声をかけたところ、35社以上が参画した。中小機構の復興支援センター担当者から「何度もアドバイスを受けて」申請したところ、昨年1月に適用となった。並行して探していた新店舗の場所も見つかり、2度目の移転で本格スタートを切る。

新店舗が軌道に乗って初めて震災を乗り越えたことに

高城さん(左端)と創業者である両親

新店舗前でオープンを心待ちにする高城さん(左端)と創業者である両親

 ただ、新店舗は震災前の場所から約7キロ離れ、なじみ客も少ない一方で、商圏は広がる。補助金採択が決まってからも「どういう店舗にするか」を中小機構のアドバイザーに相談し、検討を続けた。
 その結果、従来の和装、洋装に加え、宝飾品、寝具、雑貨の売場を充実させた。とくに寝具は有名大手メーカーから仕入れようとこだわり、「何度も直談判し、熱意が伝わった」ことで仕入れ可能となった。
 新店舗は2階建てで、広さは延べ約260平方メートルと震災前の規模を確保。1階が売り場、2階は催事場として使う。オープンは7月27日だ。呉服と寝具は高城さん、洋装、雑貨、宝飾品はかつて宝飾品販売の経験を持つ奥さんを責任者とし、創業者で高城さんの両親の一治さん、はる子さんも加え、呉服店として2代目夫婦が中心となって切り盛りする。
 「売りっ放しではなく、売った後も、例えば寝具の調整などの相談に乗ります。そうした地域密着を一番の強みとして新しいファンを増やしたい。ここが軌道に乗って初めて、震災を乗り越えたことになります」。高城さんは決意を新たにしている。

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成26年7月1日発行 第1123号