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手造りパン工房パオ(石巻立町復興ふれあい商店街)

仮設からの報告【第9回】─宮城県石巻市1─
「生ゆばパン」を目玉商品に新会社で事業再開

手造りパン工房パオ(石巻立町復興ふれあい商店街)

仮設商店街への入居が決まって再建へ

谷地田けい子代表(右)と服部信一会長 谷地田けい子代表(右)と
阿部信一会長
 JR石巻駅前にオープンした「石巻立町復興ふれあい商店街」には飲食、食品販売、家電販売、化粧品、衣料品販売、理容店など23事業者が入居している。その一角に「手造りパン工房パオ」が営業している。石巻市井内に工場、市内中央2丁目に店舗を持っていたが津波で全壊、自慢のスエーデン・レベルト社製の回転窯は使用不能となり、店主の阿部信一会長(74歳)は、一旦は「廃業」を決めた。しかし従業員5人が、お金を出し合って新会社を設立、再建の道をさぐっていた矢先、仮設店舗が整備されると聞き、申し込み、抽選で入居が決まったことをきっかけに事業再開を目指して活動開始した。
 

レベルト社製の焼き窯にこだわった理由

 全壊した工場を修理して何とか使えるようにする一方、金策のため公的金融機関を回ったが、廃業→新会社のため「新規開業」の壁が立ちはだかり、資金面でのめどが付かない中、レベルト社製の回転式パン焼き窯を何とか導入したいと考え、日本支社に「展示品の中古機械を安く分けて欲しい」と交渉した結果、1188万円の機械を半額の550万円で譲ってもらい事業再開のめどが立った。
 レベルト社製窯にこだわったのは、「大手パンメーカーがひしめくパン業界にあって、大手が手掛けないパン作りをしないと生き残れない」という阿部会長の長年のパン作り職人の経験から得たものだった。

ブログから全国へ、評判の「生ゆばパン」

 12月10日にオープンした「手作りパン工房パオ」の目玉商品は、「生ゆばパン」。国産小麦50%と生湯葉50%の生地を練り込み天然酵母で低温長時間熟成した後にレベルト社製回転窯で焼き上げた高級パン。「シルクのような美しさともちもちとした独特の食感」が評判を呼び、石巻でボランティア活動を行った若者が震災復興情報としてブログに「石巻の生ゆばパンは美味しいよ!」「食べたら止められない」などと紹介したことから全国から注文が舞い込むようになったという。最近では、「県外からの復興支援ツアーのお客さんがお土産に買って帰る例も増えた」と谷地田けい子代表(店長)は嬉しそうに語る。生ゆばパンは阿部前店主が、「5年かけて開発、世に出して8年目のパン」。「天然酵母パン」「米麹酵母ステックパン」「発芽玄米酵母ステックパン」「玄米ミルクパン」なども看板商品。
 震災から1年、阿部会長は、「これまで生きることに精一杯だったが、やっとここまでくることができた」と半年間を振り返り、谷地田店長も「仮設店舗に入れたことで、お客さんと再会することができたし、沢山の新しいお客さんが来てくれ、夢を持つことができた」と笑顔で明るく語った。

【入居仮設施設】

平成24年6月15日発行 第1074号