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ライジン(名取市下余田仮設工場団地)

仮設からの報告【第8回】─宮城県名取市1─
塩辛など珍味工場が完成

ライジン(名取市下余田仮設工場団地)

巨大津波に襲われた仙台空港と漁港閖上

 仙台市に隣接する名取市は、仙台空港と古くからの漁港・閖上(ゆりあげ)の新旧二つの顔を持つ。しかし東日本大震災では、両方とも巨大津波に襲われた。仙台空港は、震災復旧の拠点としていち早く復旧、仙台空港アクセス線も再開された。閖上地区は、「現地再建」の方針が決まり、2次防御ラインに産業ゾーン、3メートルかさ上げした居住ゾーンが計画される中、被災事業者が入居する仮設店舗、仮設工場が完成、復興に向けて事業が再開された。

昨年7月1日に「手造りかまぼこ工房ささ圭」をオープン

ささ圭 佐々木靖子取締役 佐々木靖子・ささ圭取締役
 JR名取駅から閖上漁港方面に向かう下余田地区に「仮設工場団地」が完成した。市が借り上げた土地に仮設工場・倉庫16区画が建ち並ぶ一角に「ライジン」がある。閖上地区に本社・工場を持つ笹かまぼこ「ささ圭」グループの関連会社で塩辛などの生珍味の製造拠点となるライジン工場である。
 昭和41年創業、笹かまを中心とした水産加工品や珍味を製造、地元の店舗のほか高速道路サービスエリアや仙台空港の売店などで販売、年商7億1800万円の売り上げの大手笹かまぼこメーカーだったが、本社工場、本店工場、珍味工場の3工場を流失した。
 震災直後、佐々木圭亮社長らは、「再建は難しい」と苦渋の決断、従業員にもその旨を話して解雇を通告、「廃業」を決めざるを得なかった。しかし、「社労士さんから休業の形にして再建の道を探っては」とのアドバイスを受け、また地元や全国のささ圭ファンの方々から「再開を望む声」が寄せられ、「このままでは終わりたくない」という気持ちもあり、「廃業・全員解雇を撤回」し再建の糸口を求めて、唯一残った売店に手づくり工房を併設する形で、昨年7月1日に「手造りかまぼこ工房ささ圭」としてオープンした。
 

工場の完成は出発点、佐々木社長夫妻の挑戦はこれから

 手造りかまぼこは、石うすで材料をひき、手こねで、笹型に成形、かまぼこを焼く文字通り"手づくり笹かま"。復帰した従業員が、90歳の会長夫妻から教わり、何とかオープンにこぎ着けた。佐々木社長夫人の佐々木靖子取締役も、毎日店頭に立ち、再建に取り組んでいる。完成したライジン工場では、人気商品でもある塩辛など生珍味の生産・販売を開始する予定。また、仕入れ商品の「牛タンソーセージ」などの包装ラインや笹かまぼこに入れるイカなどのカット下処理工程も稼働する予定である。
 一方、自社用地に建設中の量産ラインを導入した笹かまぼこ工場は、今年9月に完成の予定。中小企業庁のグループ化補助金を受けて建設しているもので、完成すれば、笹かまぼこ、揚げかまぼこ各1ラインで製造、「80%まで復活できる」という。しかし、「工場の完成が終着点ではなく、あくまで出発点。何とか軌道に乗せて、皆さんからの支援や恩恵を返していける会社にしたい」と佐々木社長夫妻の挑戦はこれからが本番である

【入居仮設施設】

平成24年6月1日発行 第1073号