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大元昆布海産(いわき四倉中核工業団地 仮設事業所 )

仮設からの報告【第5回】─福島県いわき市1─
72事業所の大型「仮設工場」誕生

大元昆布海産(いわき四倉中核工業団地 仮設事業所 )

72事業所入居の大型「仮設工場」に双葉郡4町の事業者も入居

大元昆布海産 新妻正啓社長大元昆布海産
新妻正啓社長
 いわき市は、福島県の東南端、茨城県と境に接した南東北の拠点都市。昭和41年、14市町村の広域合併で誕生した当時「日本一広い都市」で、「炭鉱」から「観光・産業」に転換・再生した。3月11日東日本大震災と津波、東京電力福島第1原発事故と重なった複合災害と頻発する余震による崩壊で被災が拡大、「震災は未だ収束していない」と渡辺敬夫・いわき市長は訴える。いわき市には久之浜町地区に仮設店舗「浜風商店街」が完成。さらに中小機構と福島県との共同事業で整備した「いわき四倉中核工業団地」(いわき市四倉町)には、双葉郡4町からの原発避難を含めた牘事業所が入居の大型仮設工場が誕生、事業再開した。
 

「きざみ昆布」の大元が、事業再開

 四倉中核工業団地入り口のC区画に、いわき市久之浜町地区で被災した中小企業3社が入居した。その1社、「大元昆布海産」は、昭和39年に久之浜町中浜に創業した海草、昆布の加工・製造会社。役員を含め社員は30人で、東北・関東では昆布のなじみ深い商品である「きざみ昆布」を主力に年商3億円まで業績を拡大した。2代目の新妻正啓社長は、震災発生時、津波情報に「作業を中断して社員を帰宅させた」が、自分は加工場に残った。「大津波が襲来するとは予想しなかった」が、第2波は、巨大津波で本社、加工場、倉庫はすべて流された。新妻社長は、加工場内にいたが流され奇跡的に助かった。
 しかし、「会社・工場・商品とも全てを失い、社員は一時解雇せざるを得なかった」。「事業再開したい」と暗中模索していた矢先、6月に久之浜商工会を通じて、仮設工場が四倉中核工業団地内にできるという情報を得て、仮設工場への入居を申し込んだ。昨年11月、引き渡しを受け、包装機械などのきざみ昆布生産に必要な機械設備を導入、今年1月から事業を再開した。

社員7人再雇用し、1アイテムで生産・販売を

大元昆布海産 大元昆布海産
 原料の昆布は北海道から調達、流通業者を通じて福島県内のスーパー、小売店向けに販売している。30種のアイテムあったが、今は「40グラムパック」商品1アイテムだけ。社員7人を再雇用しての再開は、「風評被害で販売先の確保も思うように進んでいない」のが現状。
 

九死に一生、58歳のゼロからの挑戦

  今後の見通しは、「平坦ではないが、やらないで後悔したくない。何とか次のステップを踏めるまで頑張りたい」と語る。「原発の問題があり、本格的な事業再開には時間がかかる」というのが福島県浜通りの事業者が共通する認識だ。「贅沢を言ったらきりがない。立派な仮設で事業再開できるのは有難い」とし、「3年をめどに震災前の3分の2まで事業再開」が目標。「九死に一生を得た58歳、ゼロからの挑戦ですよ」と新妻社長は自らを鼓舞するように語った。

 

 

【入居仮設施設】

平成24年3月15日発行 第1068号