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くんちぇ広場(中央台高久地区仮設店舗(楢葉町避難先))

仮設からの報告【第3回】─福島県いわき市(楢葉町)1─
「あって良かった」の声に「やって良かった」共同店舗

くんちぇ広場(中央台高久地区仮設店舗(楢葉町避難先))

原発で役場、町民も全員退避

 福島県楢葉町は、東京電力福島第1原発から20キロ圏、福島第2原発を富岡町と共有する。山と海に囲まれた自然豊かな町で、Jヴィレッジがある町として知られている。現在、町民7700人のうち6255人が県内に、1455人が県外に避難しており、地震・津波に加えて原発災害の「複合災害」で、復旧・復興に向けた取り組みが思うように進んでいない。こうした中、楢葉町からの避難5000人が暮らす隣町のいわき市に二つの仮設店舗が営業開始した。

商工会運営に、共同経営で出店

三本木充男代表
(右)と吉田晃代表三本木充男代表 (右)と
吉田晃代表
 その一つは、いわき市の中央部に位置する「いわきニュータウン」内の応急仮設住宅に隣接してオープンした「くんちぇ広場」(楢葉町・高久仮設店舗)。楢葉町の常磐線木戸駅前で鮮魚店「三木本商店」を営んでいた三木本充男さんと同竜田駅前で「吉田魚店」を営んでいた吉田晃さんが生鮮食品、菓子、惣菜、日用品などを販売する共同店舗として開店した。二人は、楢葉町商工会青年部で共に活動してきた数十年来の仲間である。商工会で仮設店舗入居の説明会が開かれたが、「採算面で難しい。誰も名乗りをあげなかった」という。「高齢者が多い仮設住宅では買い物に行けずに困っている」という町や商工会の要請で出店を決意して、昨年10月末に開店した。
 

「あって良かった」の声に「やって良かった」と二人

くんちぇ広場 くんちぇ広場
 「“くんちぇ”の店名は、双葉地方の方言で「下さい」という意味で、「仮設住宅に住む楢葉町から避難している高齢者」を考えてのネーミングであった。
 くんちぇ広場がある中央台高久には、楢葉町の避難仮設住宅395戸のほか広野町避難仮設住宅や周辺住宅からの来客も徐々に増えており、「予想以上の賑わいを見せている」。店舗は、生鮮食品を中心だが、鮮魚店だったことから鮮魚類は、大手スーパーのように切り置きはせずに、「注文を聞いてからさばいて、刺身を切る」という鮮魚専門店ならではのサービスに徹しており、このため「鮮度の良い刺身」が人気を呼び、店の看板商品になっているという。
 開店から3カ月経て、「一日当たりの来客数は、100人から120人の常連顧客が付いた」。また、くんちぇ広場の店舗内では、「どこに避難していたの」「元気でいた…」など、楢葉町からのお客さん同士の会話が交わされ、交流の場としての役割を果たしている。
 このためか、仮設住宅に住む避難の町民からは、「仮設店舗があって良かった」という声が寄せられ、三本木さんと吉田さんも「やって良かった」としみじみ感じている。