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田舎工房(北信仮設店舗・倉庫)

仮設からの報告【第11回】─長野県栄村─
移動販売車の導入なども検討

田舎工房(北信仮設店舗・倉庫)

栄村復興の象徴として

がんばろう栄村駅前店

 日本有数の豪雪地で知られる長野県栄村。その中心部にあるJR飯山線森宮野原駅前に、中小機構が建設していた仮設店舗・倉庫が完成したのは平成24年の年明け早々。1月28日には「栄村北信仮設店舗完成引渡式」が降りしきる雪の中、栄村役場、栄村商工会、中小機構など関係者らを集めて行われ、軽量鉄骨造り2階建て、延べ床面積約244平方メートルの仮設施設が中小機構から栄村に引き渡された。建設計画の立案、関係機関との調整を経て、村民の期待を集めた仮設施設の運用がこの日から正式にスタートしたことになる。

 震度6強の「長野県北部地震」が栄村を襲ったのは、東日本大震災翌日の平成23年3月12日未明のこと。栄村の全世帯数902戸のうち、全壊33戸、半壊169戸、一部損壊486戸と、実に8割近い家屋が被害を受ける過去最悪の地震災害となった。森宮野原駅前商店街もほぼ壊滅的な損害を被り、特に栄村の北信、森両地区にあった生鮮食料品店が全壊したため、食料の調達も困難を極める事態に陥った。
 このため、生活基盤としての生鮮食料品を取り扱う店舗の早急な整備を熱望する村民の声に応え、仮設施設の建設計画が浮上、栄村としてもこのプランを「栄村復興のシンボル」として重く位置づけ、昨年11月下旬から建設に着手していた。

 

地震で工場も店舗も壊滅状態に

田舎工房 石沢一男 代表取締役田舎工房 石沢一男 代表取締役
 この仮設施設に入居したのが、しめじやきくらげなどキノコ類の栽培、米をはじめ地元特産品の卸・販売を手掛ける田舎工房だ。石沢一男代表取締役(62歳)は、地震により「栽培工場など設備が損壊、道路も寸断し、水道も2カ月間止まるなど22人の従業員を待機させる状況を余儀なくされた」と振り返る。加えて実弟の石沢幸男取締役(60歳)が経営する生鮮食料品店も壊滅状態となり、「本業のきのこ栽培などをやめる気は全くなかったが、食料品店については営業再開を一時、諦めようかと弟と話し合った」と当時の思いをこう述懐する。

再開を望む声に店舗再開を決断

 そんな折、村役場、商工会から生鮮食料品店再興の要請が持ち込まれる。栄村は高齢化率が46.5%と長野県下で3番目に高い“お年寄り”のまち。食料品を買いに行くには、車やバスを利用して千曲川を挟み7キロメートル離れた新潟県津南町まで行かなければならず、高齢者からも食料品店の再開を望む声が強く寄せられていた。「お年寄りにとって、買い物で近所の人と顔を合わせ、会話をするのは一つの楽しみであり、生きがいでもある。そうしたまちづくりを取り戻すことが復興につながる」。石沢社長は、諦めかけていた店舗の再開を考え直す。とりわけ「駅前商店街の復興が栄村の復興であり、その象徴としての仮設店舗での再開を弟と決断」、その思いを込めて店舗を「がんばろう栄村駅前店」と名付けた。
 その再開への最中の昨年8月、幸男氏が過労により療養入院したため、現在は石沢社長が3人の従業員と店舗を運営する形となっている。
 「採算的には厳しいものがありますが、地域への貢献ということで地元企業としては清々しいものがあります。今後は復興の段階に合わせ、移動販売車の導入などニーズに対応した店舗経営を考えていきたい。とにかく弟が復帰するまで頑張っていきます」と話す。

震災を境に村の取組み姿勢に変化が

 震災は確かに大きな被害をもたらした。しかし、栄村にはそれをバネに新たな道を模索する動きが見え始めている。栄村の特産品開発にしても、これまでトマトやきのこ栽培などが取り上げられたが、「今までは村を挙げて何かに取り組もうという姿勢があまりなかった。震災後は村ぐるみで商品開発しようという機運が芽生えてきている。このことを大事にしたい」と石沢社長。今年10月をめどに栄村の復興計画がまとまる予定だが、「村民の心を一つにした復興が実現できるよう、今後は私の人生をかけ地域振興に貢献したい」と決意を新たにしていた。

 

島田茂樹・栄村長

活力と魅力あふれる村づくりを

島田茂樹・栄村長栄村長
島田茂樹氏

 3月12日未明の午前3時59分、栄村を直撃した震度6強の地震に村長以下、職員も道路事情等で早急に登庁できず、災害対策本部を役場に設置したのは午前6時。その後も震度6弱2回、同5弱2回の大きな揺れと余震が続発、危険を感じたため秋山地区を除いた村民全員の避難を決定しました。秋山地区を除き被害を受けた他の25地区では水道施設が全て使用不可能となったため、役場、小・中学校、公民館、特養施設等の避難所7箇所に緊急避難し、最大1787名(収容延べ人員2万2622人)が避難指示解除までの10日間、劣悪な条件での避難生活を余儀なくされました。
 この間、消防団、消防署、警察署の皆さんには徹夜で各集落の警戒に当たっていただき、また、役場の全職員も庁舎や避難所で村民と寝食を共にし、不眠不休で被災者の支援にあたりました。更に長野県、姉妹都市の東京都武蔵村山市、近隣市町村など各方面から消防団応援、給水車対応、保健師派遣等のご支援をいただき、またボランティアの大勢の皆さんからもご協力をいただきました。全国各地からは心温まる支援物資や1万2700件余の個人、企業の皆さんからの義援金など被災者支援や復旧活動へのご支援をいただきました。心から感謝を申し上げます。
 栄村では、地震前の村に復興できるよう本年10月を目途に「栄村震災復興計画」を策定中です。「村民の暮らしの早期再建」「災害に強い安全で安心な村づくり」「災害をきっかけとした活力のある村づくり」「中山間地域の新たな復興モデルの創造」を計画の基本に掲げ、村民が安心して栄村に暮らし続けられるように、被災された方の一日も早い生活再建・地域コミュ二ティの維持を最優先に進めてまいります。現在、災害村営住宅31戸を被災者の希望に沿って、今まで住んでいた集落に建設中です。今の仮設住宅等から今年の降雪前の入居を予定しています。
 過疎と豪雪の小さな村ですが、元気を取り戻し、活力と魅力あふれる村づくりを目指して頑張っていきます。

 

【入居仮設施設】

平成24年8月1日発行 第1077号