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理容丸山(たろちゃんハウス)

仮設からの報告【第10回】─岩手県宮古市2─
10年かかっても店出す決意

理容丸山(たろちゃんハウス)

思い出が詰まった店舗は跡形もなく流出

理容丸山 丸山栄明さん理容丸山 丸山栄明さん
 「理容丸山」を営む丸山栄明(しげあき)さん(38歳)も、昭和39年に父親が田老地区で開業した理容店を受け継いだ2代目。東京オリンピックの年にオープンしたという先代の思い出が詰まった店舗は、やはり津波で跡形もなく流出した。「(父は)震災の1年前に亡くなりましたが、生きていたら、さぞ悲しんだでしょうね」。それでも「落ち込んでいられるか」と、栄明さんは被災直後から「必ず店を出す」と心に決めていた。津波から逃れられた妻と子供2人の家族を守るためにも、自らを奮い立たせる気持ちもなかったとはいえない。
 

もう一度、田老の海の近くで自分の店を持つ!

 高校卒業後、「父親に騙されるように理容学校に通った」栄明さんが、本気で理容業を継ぐ決意を固めたのは15年前。20歳で結婚し、長男がすでに身籠っていたため「ほかに道はなかった」と、その理由を照れるように語る。とはいえ、今は家業に誇りと生きがいを感じている。「長男は大学に進学し、この先どうするか決まっていませんが、下の娘が理容学校に入りたいと言ってくれている」と、後継者の"出現"に嬉しさを隠せない。
 仮設店舗に移ってからも一人で店を切り盛りし、「売り上げは震災前のまだ半分ていど」の現状だが、「もう一度、田老の海の近くで自分の店を持つ。あと10年かかっても」と話す。その強い意志こそが復興への原動力なのであろう。それは「たろちゃんハウス」入居者の共通する思いでもある。


 

山本正徳・宮古市長

「必ずや復興します」を合言葉に

山本正徳・宮古市長宮古市長
山本正徳氏

 東日本大震災から1年の今年3月、被災した33地区の復興に向けたまちづくりのための「宮古市東日本大震災地区復興まちづくり計画」を策定しました。その策定には住民の合意形成がもっとも重要であり、そのために住民自らが参画する方法で復興計画をつくりあげてきました。
 今後は計画に基づく具体的な復興スケジュールを年内にかけて作成したいと考えています。その意味で、平成24年度は震災復興の本格的なスタートの年と位置付けています。
 復興に向けた取り組みの基本的な考え方は、「市民生活の安定と再建」「安全で快適な生活環境の実現」です。特に重点的な取り組みの方向として、(1)すまいと暮らしの再建(2)産業・経済復興(3)安全な地域づくり─の三つを復興の柱に据え、生活の再建や産業の復旧に不可欠な住宅、インフラ、生産基盤の再建などを中心に取り組んでまいります。
 「すまいと暮らしの再建」「安全な地域づくり」では、まずは安全で快適な暮らしを実現できる地域をどこに設定するかが重要なポイントです。「産業・経済再建」では、市の基幹産業であるわかめなど水産業の生産量を、今後2〜3年で大震災前の100%の状態まで戻すよう努力してまいります。
 これらを実施できるところから着実に実行に移す上でも、中小機構の仮設施設は大きな役割を果たしており、今後とも有効に活用していきたいと思います。
 私たちは「宮古市は必ずや復興します」─を合言葉に、スピード感をもって全力で復興に取り組んでいく所存です。

 

【入居仮設施設】

平成24年7月15日発行 第1076号