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マコ美容室(釜石市)

-被災前の営業はどちらで行われていましたか。

マコ美容室 阿部眞智子様マコ美容室 阿部眞智子様
 釜石市浜町で、40年前から自宅兼店舗で1人で営業してきました。ほとんどが、近くの常連さんで、何も言われなくてもいつも通りの髪型にセットしてあげていました。かしこまった美容院というよりは、ご近所の皆さんが集まる寄合所みたいな雰囲気でした。

 

-被災の状況をお聞かせください。

 地震の時は、今までに経験したことのない揺れに、「すぐさま津波が来る。早く高い場所に避難しなければ」と思い、すぐに自宅にいた小学校2年生の孫と孫の友達の手を取り高台へと避難しました。
 高台から津波が来る様子がいやでも目に入って、自宅が流されて行く光景を、孫は何が起きているか分からない様子で、おばあちゃんお家が流されていくよと、恐いやら、悲しいのか、かなりうろたえていました。自分がうろたえれば孫も動揺すると思い、また新しいお家建てようね、新しいピアノも買おうね、と気丈に話したものの、目の前で自宅が津波の中でバラバラになっていく光景は、自分でも本当にどうしたら良いのか考えもつきませんでしたし、ただただ信じられませんでした。
 

-仮設施設の入居申し込みをされたのはどのようなお考えからですか。

マコ美容室
 避難所生活の中で、店もそうですが、今後自分はどうすれば良いんだろうと、考えれば考えるほど、先は見えなくなっていました。ただ、自分とすれば40年も手を休めず動かしてきたのだから、絶対に店を再開させたいとの思いはありました。
 息子の美容室を手伝っているときに、以前の常連さんが足を運んでくれ、再開を待ち望んでくれたことと、私としても年齢的にも最後のチャンスかなと考え、再開しようと決めました。
 その後は、一番に店舗の候補地を探すことで、自宅のあったところで再開したいと考えておりましたが、防災上、行政の判断が決まっていないので、難しいと言われ断念しました。
 自分なりに、市役所や商工会の方にもお世話になりいろいろ候補地は紹介してもらいましたが、なかなか、ここでと思う物件はありませんでした。離れたところに再開しても、はたしてお客さんがきてくれるだろううかといったためらいもあり、願わくは、前の店舗に近いところで再開できればと思ってました。中小機構から仮設住宅のそばに仮設店舗の計画があると聞き、これでまたハサミが握れるとのうれしさで、まっ先に申し込みました。

 

-仮設施設に入居し事業を再開されて、どのようなお気持ちですか。

 部屋をみせていただいたときは、思ったより広いので希望が出て来て、当初予定になかった着付け室も新たに造り、みんなが協力してくれました。設備なども新品のものではなく、ディーラーさん達が一生懸命に探してくれたものなのです。そうした気持ちにも本当に感謝しています。思っていた以上に満足のいく店舗が出来て、お客様にも新築のお店のようだと喜んでいただきました。
 オープン時はみんな生き生きしていました。今まで来て頂いたお客さんもそうですが、私自身が、本当に再開できたのと、またハサミも握れるし、着付けもやれるんだなあと感慨深い気持ちでした。手を休める事なくふたたび継続できて嬉しく思うのと、また収入があることで今後に繋げることができ少し安心しています。理想的な場所で再開でき、本当に釜石市と中小機構に感謝しています。

 

-今後の展望、将来に対するお考え等をお聞かせください。

マコ美容室外観
 避難所で何もしないでいると、はたして再開してハサミを持っても、手が動くんだろうかと不安になっていましたが、今は、その時の考えは何だったんだろうという感じです。今後は、外面の美しさもそうですが、顔の見える商いで会話を通し、心のケアもしていければと思っています。住み慣れた土地で生きてきた自分たちには、やはりこの場所で生きて行くしかありませんし、この土地に落ち着きます。いずれは、再び店を持つことを目標に商いを続けます。
 

 

 

【入居仮設施設】

平成23年12月14日取材

企業データ

住所:岩手県釜石市天神町5番17号
名称:マコ美容室 

 

ダイアナchiZ