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第6回 異文化越え現地にあった新しい仕組みづくりを

 中小企業総合事業団の実施する現地管理者セミナーが、11月から上海、大連で開催されています。先日、その準備のためこちらの日系企業を訪問し、日本人経営管理者の方々にお話を伺いました。


「数年経った今でも、中国での企業経営の難しさに直面しています。特に人材育成に悩んでいます」と、まずは率直な感想。生産現場では、加工組立の作業や段取り効率の悪さ、納期の遅れ、不良品の客先への流出が発生し、また現場の従業員については「責任を恐れて指示された以上の行動力に欠ける」、「横のつながりに乏しく人に伝える必要性を感じていない」、「お金に敏感でライバル意識が強い」、「言い訳が多い」といった評価が聞かれます。


 こうした現状に対応できていない原因は、現地人幹部である工場長や部課長クラスの問題意識が、日本で働く日本人従業員と大きく異なっているからのようです。「品質・納期・原価の目標に対し、現状をどう改善するかに考えが及んでいない」、「効率に対する観念が薄い」、「部下に対するリーダーシップが発揮されていない」など、日本人経営管理者は日々頭を抱えており、現地人管理者に対する期待と現実のギャップはまだまだ大きいようです。


 一方、鉱工業生産額に占める国有企業の割合が30%程度に下がった現在、確かなビジョンと志、そして戦略を持った私営企業の経営者や、まさにベンチャーと言って相応しい起業家たちの存在が日増しに大きくなっているという現実もあります。


 企業とともに自己も成長する、あるいは組織内の調和を第一に考えるというのが日本の伝統的な職業文化でしょうか。「幹部クラスがより賃金の高い企業へ転職してしまい困った」、「日本へ研修に出したが、戻って来た途端に別の企業へ転職してしまった」などの話を聞くと、日本人との視点の相違を感じます。働くのは生活のためと割り切り、現在をいかに生きるかに重点を置いているのでしょう。


 しかし、日本流を持ち出して押しつけることでは成功しないと言われます。管理者としての役割認識を明確に持たせ、責任者は誰なのか、目標を達成するための方法・手段・評価はどうするのかといった具体的な仕組みを、中国式に新たにアレンジすることが求められます。それらを根気よく継続して実践し、定着させる必要があるのでしょう。


 部下を何とかマネジメントしようと努力しても、個々の価値観と資質の差が大きく、比較的均質な日本人を相手とするのとは違い大変な労力が必要です。現地人幹部自身も実は悩んでいるとのこと。どちらが“根勝ち”するか、トップもミドルも何度も何度も繰り返し頑張っています。


 現地人幹部が自ら進んで動ける環境づくりが重要です。セミナーが少しでも新しい仕組みづくりに貢献できるよう、当事業団も根気強く頑張っていく所存です。

上海の縫製工場

現地人が十二分に能力を発揮できるよう、

管理者は日々努力を重ねています

(上海の縫製工場にて)