経営者をサポート >  海外展開(進出・販路拡大) >  調査報告書 >  海外調査 >  上海 >  第5回 周到な準備で中国国内販売の成功を

第5回 周到な準備で中国国内販売の成功を

 先日、事務所から車で10分程のところにあるフランス系スーパーの家楽福(カルフール)へ行きました。パイオニア、花王、サントリー等々現地生産の有名ブランド商品がずらり。しかしその中で、上海旭洋食品の豆腐、上海神東食品のデザートゼリー、上海佳通日清食品のビスケットといった日系中小メーカーの食品も光を放っていました。


 また、上海市第一百貨商店や上海太平洋百貨といった高級品を扱うデパートにも、大手の家電製品、化粧品、衣料品などの中で、上海内野毛巾のタオルや上海達吉斯(ダッチェス)高級内衣の女性用下着など、高所得者層を狙った日本の中小メーカーの商品が並んでいます。


 中国へ事業展開した日系中小製造業の多くが、製品の納入販売先を日本本社または現地日系企業としており、中国の地場企業や一般消費者を対象に中国国内販売に乗り出す企業はまだ少ないようです。その理由として、流通経路の確保や売上げの回収が困難だからだと言われていますが、実際のところどうなのでしょうか。上海達吉斯高級内衣と上海佳通日清食品でうかがってみました。


 上海達吉斯高級内衣は上海市内に五つの直営店を構えています。また、地場の下着販売専門のチェーン・上海古今胸罩の約80店舗に自社コーナーを設け、販売員を派遣して直接販売を行っています。さらに、現金取引からスタートして信頼関係が出来上がった代理店網が90もあるとのことです。


 上海佳通日清食品は、かつて日清製菓との合作により設立された菓子メーカーです。1966年、発売と同時に「モンドセレクション」(世界食品コンクール)で金賞を受賞、ヒット商品となったビスケット「バターココナツ」や、半生ケーキを製造しています。中国国内販売七割、輸出三割の生産量で、好調な売れ行きを続けています。


 流通チャネルを確保するために営業所を設け、問屋グループやスーパーに徹底攻勢をかけたとのこと。上海市内では直販体制を敷いています。それでもやはり、売掛金の回収や返品対応には苦労するとのお話です。


 これら企業の内販成功の秘訣は、第一に商品力、第二に経営の現地化、第三に現地に根ざす日本人技術者と信頼できる現地スタッフの支えだといえそうです。


 90年代初めから中国での生産を開始し、その後は中国「市場」を睨みつつ、中国の消費者に認められる商品ブランドの確立に努めてきました。同時に、対象となる顧客をセグメントし、商品の選択と経営資源の集中といったマーケット戦略の実践も着実に行ってきたのです。


 どの企業でも、当面の中国進出の目的は、安い部材の調達や人件費の格差を活用したコストダウン、工場勤務にも進んで従事する優秀で若い人材や頭脳の確保などだと思われます。その次の段階として、背後に広がる人口13億人の巨大な市場に目を向けない経営者はいないでしょう。ただし、成功者は必ず長期かつ地道な努力を続けています。経営資源の限られた中小企業にとってはなおさら、中国国内販売には相応の準備が必要だと感じました。

上海市第一百貨商店写真

日本の中小企業製品は高級デパートにも並んでいます