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第1回 操業段階の規制にも十分な知識を

 現地法人の設立手続きや委託契約の締結など、行政機関や相手方との交渉で苦労した挙げ句の事業スタート。ところが、ホッとすると同時に、発生する数々の問題処理に日々追われるという話をよく耳にします。


 ここ上海中小企業デスクには、連日、日本と中国両方の中小企業の皆さんから数多くの問い合わせが寄せられています。そのなかから今回は、皆様にとって興味深いと思われる送金問題についてふれてみたいと思います。


 現在、中国における外貨管理は厳しく、特に海外への送金は大変厳しくコントロールされています。送金内容や送金額の根拠が不明確な項目の海外送金は一切認められないそうです。


 例えば利益が出た場合の配当の送金について言えば、税金を納め、三項基金(準備基金、企業発展基金、従業員奨励福利基金)を積み立て、合法的な配当金はその書類を提示して(一部、外貨管理局の承認を得て)やっと銀行の外貨口座から送金することができます。当然、合弁企業の場合は出資比率に応じて董事会で決議を経て配分された配当金額を提示して承認を得ることになります。


 しかし、非貿易取引で何らかの理由で証明に欠けるものは原則認められませんし、理由があっても、例えば、日本国内の親企業が中国に設けた子会社のために立て替えた費用を清算するために、その子会社から送金することもダメとのことです。いずれも送金に関しては、ケースバイケースでの交渉も必要になってきます。


 ところで、私が上海へ赴任してからの数カ月間にあった問い合わせは、主に投資検討段階である日本からのものと、操業段階に入った中国国内からのものと、ほぼ同程度の件数となっています。


 日本からは、「事業参入の法的可否」、「工場・事務所設立の手続き」、「委託加工の候補先照会」、「開発区(いわゆる政府開発の工場団地)の概要」、「中国での事業展開上の留意点」などへの質問が多くなっています。他方、中国国内で既に操業されている方からは、「外資事業に対する政策変更点」、「賃金動向」、「業種転換にともなう課題」、「各種統計」、「委託加工の候補先照会」、「新法人設立手続き」などに関するものが目立ちます。


 また、上海中小企業デスクのあるジェトロ上海センターへは税務・会計、法務・労務に関するご相談が数多く寄せられています。


 中国展開を考える企業は、中国市場を睨むなど積極的な海外展開を図るべく、経営戦略を策定し、フィージビリティ・スタディ(事業化調査)を実施するわけですが、操業段階における中国特有の法的・制度的規制についても十分知識を得ておくことが重要です。


 私ども支援機関もこれらの情報提供に積極的に努めていく必要性を感じています。


※上海中小企業デスクの場所
上海市延安西路2201號 上海国際貿易中心21楼 日本貿易振興会上海代表処

山中和彦写真

上海中小企業デスク 山中和彦