経営者をサポート >  海外展開(進出・販路拡大) >  調査報告書 >  海外調査 >  上海 >  9月 「加工貿易新管理制度」の実施に向けて(その2)

9月 「加工貿易新管理制度」の実施に向けて(その2)

 やはり予想通り!と言ってしまっては、あまりに安易な表現に流れてしまいますが、前々回お伝えした「加工貿易新管理制度」の制限品目の範囲が本年10月1日からの本格実施を前に拡大されました。


 この事実が明らかになったことの発端は、9月半ばT市において日本の大手商社関連の企業が、制限品目に羊毛、砂糖、植物油、天然ゴムの4品目が追加されたとの伝達を受け、税関から輸入原材料額の約4割相当のデポジットを要求されたことから始まりました。ことの真相を明らかにすべく上海市内でも日系企業が多数進出している閔行区の税関に確認したところ、制限品目の追加はないとの回答を得ていましたが、この度、その事実を裏付ける中国当局側の文書を入手することにより制限品目の拡大はほぼ確定的となりました。


 文書は「外資企業の輸出拡大のための新措置」(71号文件)といわれるもので、その第9番目の項目に従来加工貿易を行う上で輸入割当制度をとって管理していた品目のうち、羊毛、砂糖、植物油、天然ゴムの4品目につき割当て制度を暫定的に停止し、10月1日より導入される加工貿易新管理制度の制限品目として追加されるとの内容が記載されています。この結果、加工貿易新管理制度による制限品目は、既に公表されている(1)一次形状ポリエチレンを含むプラスチック原料、(2)ポリエステルチップ、(3)ポリエステル長繊維と化学繊維短繊維を含む化学繊維原料、(4)綿花、(5)綿糸、(6)綿織物、(7)鉄・非合金鋼材とステンレスを含む鋼材など計7品目にさらに今回の4品目を追加した合計11品目となりました。B分類、C分類に分類された企業はこれら制限品目を輸入する際に原材料価格の約4割に相当する保証金の前納(実転)を求められることとなり税関の厳格な管理を受けることになります。


 また一方で、これら制度の実施に向け、保税区外に有る加工貿易企業は保証金積立の免除を受けられるA分類に分類されるための申請手続を開始していますが、これに該当するためには輸出額が1,000万米ドル以上なければならないということです。しかし、現実には90%以上の企業がこの条件をクリア出来ません。そこで、わが国はじめ香港、台湾等の各業界団体が中国当局に対しこの申請基準額を下げるよう要望しているところですが、実はこれとは裏腹に、各地方政府が独自の判断でこの申請基準額を調整し、A分類申請手続を行うよう求めているとの報告もあります。例えば、広東省では500万米ドル、ハイテク関連企業で有れば300万米ドル、南京では500万米ドル、上海市内でも浦東新区だけは100万米ドル以上など、ただし、これらは許可基準ではなくあくまで申請基準であるとのことです。


 このまま行けば親元が中小企業で、現地での展開規模の小さな所は勿論、現地に進出している日系加工貿易企業の多くはBまたはC分類に分類されることになります(シンセン地域では8割の企業がC分類に分類されるとの予想もあります)。これら企業の保証金積立への対応は、親企業からの借入や銀行からの借入に頼るとの回答が大部分ですが、仮に銀行から借入をするとすれば6.612%/年の利息をとられることになりますが、保証金を供託した場合の利息は0.99%/年ですから、この利差分の損失が発生することとなります。こうしたなか、先般、9月上旬に厦門で行われた投資説明会では輸入原材料の現物や製品、銀行口座等の「法定担保物件」を以て保証金との代替を認めるとの発表もありました。「資金繰りが苦しくなる」との反発に対する緩和措置とも考えられます。しかし、いずれにせよ「加工貿易新管理制度」はまだ始まった訳ではありません。本格的な施行が行われた後もどの様な制度改変がなされるのか予断を許さぬものがあり、今後とも注視していく必要があります。


参考

A分類:違法行為のない保税区内工場

B分類:違法行為のない一般企業

C分類:1年間に2回の違法行為あるいは5万元以下の不正通関申告のあった企業

D分類:2年間の密輸あるいは通関不正申告額が50万元以上の不正企業