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6月 上海市発展10カ年計画

 以下は、JETRO上海センターが「上海市の今後10年計画」と題し「通商弘報」(日本貿易振興会発行、通商産業省貿易局監修)に寄稿した原稿を編集引用させてもらいました。上海市の総合都市計画を理解し、未来の上海市をイメージしてみましょう!


 上海市対外経済貿易委員会主催の「上海、今後10年の発展計画」セミナーが開催された。以下、本セミナーで行われた講演の概要について紹介する。

 

「上海市発展計画」は、1981年に国家中央政府の批准を受け、今年で19年目に入った。以来上海市は、本計画に基つき様々のプロジェクトを企画、実施して来た。例えば、浦東地区の発展計画は上海市の国際的な経済、金融、貿易センターとしての地位を確立する上で特に重要なポイントと位置付けられ積極的に進められて来た。これらを受けて、今後10年間の更なる発展計画について、上海市は以下のような構想を立てている。

 

工商業、住宅地の棲み分け

 はじめに環境に悪影響を及ぼす工業ゾーンの移転分布計画である。上海市全域を浦東新区、市区、郊外に分類し、現在市区に有って大気汚染等の公害をもたらしている工業ゾーンを市区外に移転させ、今後は県ごとに市レベルの工業区を設立し工業分布の重点を郊外に置くことを計画している。更にこれと並行して、市民の居住地区の分布については、全体を新住宅地区と旧住宅地区に分け、旧住宅地区は2000年までに家屋の取り壊し、改造を完了させることとしている。高架路内環状線と外環状線との間に有る新住宅地区は全体を17のブロックに分け、主要交通幹線で結ぶ予定である。商業地域の分布については、主に第三次産業の発展を重視し、市または区、県レベルの商業センターの設立を計画している。市レベルのものとしては、四街道(南京路、淮海路、西蔵路、四川北路)や四商業城(豫園商城、徐匯商城、不夜城(上海駅近辺)、新上海商城(浦東ヤオハン)」を候補地として、区、県レベルのものとしては、提蘭橋(虹口区)、曹家渡、静安寺(静安区)を候補地としてそれぞれ視野に入れている。

内環高架路と南浦大橋

上海市中心部を循環する内環高架路と黄浦江に架かる南浦大橋

交通網の整備

 総合交通計画では、空の便は虹橋空港(現在2本目の滑走路建設の予定有り)と浦東新国際空港を併用、浦東を国際線、虹橋を国内線及び一部の国際線への供用とし、2つの空港間は地下鉄2号線で結ばれる予定である。港は従前から黄浦江沿岸港を使用していたが、今後、コンテナ業務や船舶積載トン数の増大要求に応じる形で長江沿岸港に移転する計画である。深水港の建設は現在検討中。
鉄道は現在の上海駅の他、新たな駅(第二客駅)を建設すべく既に第一期工事に着手している。高架路は「申」字型を構成している。内環状線を「申」の「口」の部分とし、東西方向には延安路、南北方向には成都路がそれぞれ伸びている。内環状線と外環状線以外にも郊外の県間の交通を1時間弱に短縮できるよう郊外環状道路の建設を計画している。現在1系統のみ運行されている地下鉄は将来的に計8系統、モノレールは計11系統建設する計画を立てている。

元サッスーン別荘

虹橋地区にある元サッスーン別荘

都市アメニティーの整備

 環境面への配慮としては、前述の工業ゾーン移転の他、グリーンゾーンの設置に力を入れる。以前に比べ緑化面積はかなり拡大されてきたが、社会発展に伴う需要の基準を満たしているとはいえない。以下のようなプランでグリーンゾーンの設置増加を図る。環形:外環状線沿い一帯の緑化。台形:市区内緑化地帯。廊下型:黄浦江、蘇州河、高架路の両側。園形:共青森林公園(楊浦区)の他、奉賢、南匯、青浦県に森林公園を設置する。また、観光区として余山、淀山湖風景区を計画している。黄浦江、蘇州河沿岸には汚水処理工場を建設、水質を改善し、沿岸住宅地帯の居住環境を改善する。

衡山路のプラタナス並木

衡山路のプラタナス並木

歴史的建築物等街並みの保護

 歴史的伝統建築物及び街道、地区の保存に関しては、既に400ヶ所余りが保存対象として指定を受けている。特に外灘(バンド)及び豫園、徐匯、虹橋地区に集中している歴史的伝統建築物、街並みの保存計画は現在作成中である。現在市内には2,600余りにものぼる高層ビル(高さ24メートル以上)が有るが、今後新たに建設されるものについては、その数を制限して行く。その他、大気汚染、ゴミ処理、屋外広告板等の管理についても規定を準備中である。

市内基本インフラの整備

 終わりに、市政施設計画について。電力は、華東地域電力網を利用しており、電力供給は余剰が生じているのが現状である。ガスについては、浦東地区は現在東海天然ガスを利用、今後、黄浦、南市区にも導入の予定である。上水道について、量的には問題ない。今後は水質の改善に取り組んで行く。長江口飲用水プロジェクトも進行中である。