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8月 ネット起業家を育成する

 先般、中国インターネット情報センターが発表したところに拠れば、今年6月末時点の中国のインターネット利用者数は、1,690万人に達したとのことで、この僅か半年の間に800万人も増加したとのことです(2000年7月28日「文匯報」)。
 日本でも新聞紙上「中国のインターネット業界が"百花繚乱(りょうらん)"期を迎えた。」(2000年7月31日「日経」)との書き出しで、「捜狐」、「網易」など、米店頭株式市場(ナスダック)に相次いで上場した中国系ポータルサイトのネット起業家たちを紹介する記事が掲載されたのをご覧になった方もおられると思います。 中国では、インターネット業界もまた暑い秋(とき)を迎えています。


 こうした中、上海市浦東新区"張江ハイテク技術園区"の一角に"ネット起業家"の創業支援を目的に新たに設立されたインキュベーター企業の活動は十分注目に値するのではないでしょうか。


 現在、この「国家火炬互聯網創業中心(国家火炬(トーチ =たいまつの意)インターネット創業センター)」では計14社のネット起業家たちが目前に迫った飛翔のチャンスに向けて着々と準備を進めています。このセンターは、今年4月から 中国国家科学技術部の支持を得て主に民間資本(国有企 業系資本も一部入っている)により設立された上海互聯網創業投資有限公司が運営しています。経営陣5人のうち3人が1960年代の生まれ。全員が大学院博士課程以上の修了者であり、米国、日本等からの留学帰国者ということで、正に高学歴、新進気鋭の小集団です。

センター玄関にて

センター玄関にて

作業スペース

センター内の通路両側に設けられた起業家たちの作業スペース(ネットならぬネスト…か)

 地上5階建てのビルのワン・フロアーには10数個に仕切られたガラス張りの小部屋があり、それぞれに創業に必要な事務機器、オフィス什器やパソコン等機材がセットされています。センターの基本的な収入はこれらネット起業家からの家賃と施設等使用料です。


「企業の性格としては、ネット起業家育成のためのインキュベーターですが、同時にまたベンチャーキャピタルでもあります。我々は、親鳥と雛といった関係ではなく、創業パートナーなのです。」
とは取材時、経営陣の一人からの説明。それは、以下のような経営形態からも明らかになります。


 すなわち、創業に当たり、ネット起業家が資金面で問題が有る場合にはセンターは「天使(エンジェル)基金」、「科学技術部中小企業創業基金」、「センター自己資金」等を原資として当該企業に投資を行い創業をサポートします。更に、同センターは情報通信産業界で名を馳せた専門家や博士課程修了者等で構成される専門的人材を豊富に抱えているので、人材面、技術面で行き詰まった場合にはこれら専門家からの適切なアドバイスを受けることも出来ます。

 このようにしてセンターはネット起業家と共同で創業した企業が将来一定の収入が見込まれる段階になるまで、一貫して面倒を見てくれます。更に、この間、センターは規程により創業企業の株式の何割か(例えば30%程度)を取得します。そして、創業企業の成長に伴い株価が上昇した際にこれを売却して利益を得るという仕組みです。

小部屋

この小部屋から全世界をコントロールする

人物写真

試作(思索?)を繰り返す。

 計画では、北京、西安、成都など大学が集中している地域にも同様のセンターを設ける予定があるとのこと。今後、国内外のインターネット需要の更に急速な高まりとともに、多様化した中国系ポータルサイトへの世界各地からのアクセス増大が見込まれます。 


 「インターネット企業そのものは必ずしもハイテク企業ではないかも知れません、しかし、重要なのは市場に密着することです。新経済の波が沸騰する今日、中国人自身が自ら作り上げたインキュベーターで自分達の企業を創造していくことは、中国の巨大な市場を人手に渡さないということでもあるのです。」(2000年7月13日「新民晩報」)
 目前となったWTO加盟など、刻々と変貌を遂げて行く内外の経済情勢下、中国民営企業はより逞しく、より果敢に市場に反応して行きます。

若いネット起業家たち

スクリーンの向こう側に何が見える?(若いネット起業家たち。)平均年齢は25歳