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6月 「第11回 ハルピン経済交易相談会」参観

 黒龍江省ハルピンに飛びました。


 今回の出張は6月15日から同地で開催される「第11回ハルピン経済交易相談会」(見本市)の視察を行うためです。ところが当初往復で予約を入れておいた北方航空便が出発当日の朝になって欠航となり、急遽ほぼ満席の上海航空の座席を確保、北京空港で約1時間半の時間調整を行い、夜10時近く、ハルピンに到着しました。折からの降雨で外気温は摂氏10度。上海からの旅行者にはやや肌寒く感じられました。


 翌15日は、朝から快晴。ハルピンは街を挙げてのお祭り状態で、車道は渋滞。しかも会場付近には交通規制が敷かれ、現場に向かう我々を乗せたタクシーも会場に近つくことが出来ず、はるか手前で降ろされてしまいました。しかし、ジリジリと照りつける思いのほか強い直射日光に北国特有のさらりと冷たい風が心地よく、思わず仕事であることを忘れかけてしまいそうでした。
 ハルピンはかつてロシア人も数多く居住したところです。街割もまだ当時の面影を色濃く残しているところが方々にあります。筆者もかつて仕事で旅したウラジオストックやモスクワの町並みを思い出していました。

経済交易相談会

経済交易相談会(見本市)会場正面入り口付近

 見本市は巨大なスケート競技場とその付属施設を利用して行われていました。ざっと見たところ出展ブースは300〜400ぐらい。もちろん圧倒的に多いのは中国国内企業による展示です。黒龍江省という土地柄もあり出展は農作物、食料品に関するものがかなり多かったようです。それ以外は家電・音響製品、自動車部品、タイヤ、皮革、繊維製品、木工製品など。外国企業の展示で、ブース数でも参観者でも最も多かったのがロシア人。列車で僅か1時間半という地の利を生かして両国の国境貿易も盛んに行われていると聞きます。それ以外ではハンガリー、韓国のブースなどがありました。
 わが国からは山形県と新潟県がかなりのスペースを割いて出展を行っていました。特に山形県は酒田港開港500年を期に1992年5月から環日本海圏の貿易拡大のために「東方水上シルクロード」を開設しました。ハルピンから松花江、アムール河、日本海を経て酒田港に至る2,800kmに及ぶ航路です。また酒田港は韓国釜山との間でもコンテナ定期航路をもっており、対岸諸国各港との貿易拡大に大きな期待を込めています。同県の酒造会社の展示ブースで清酒を"猪口で"試飲。反射的にそこにいらしたご担当の方に「こちらで作っているんですか?!」と訊ねてしまいました。原料の「米」の問題、そして何よりも「水」。「まだこちらではねえ・・」とのお答えでした。その後昼食を挟み5時間ほどかけて全会場をくまなく見学させていただきました。

会場内

会場内

 翌日は同市の郊外にある木製家具工場を見学させていただきました。市中心部から車で40分ほどのところ。いかにも国有企業といった感じの総レンガ作りの塀が垣巡らされた中にその工場はありました。塀の外側は大河(松花江)が近いことを感じさせる一面の荒地。見本市会場で初対面となった工場の営業担当に案内されるままに濛々たる砂埃を巻き上げながら我々を乗せたワゴンが工場敷地内に滑り込みました。よく見ると塀の中はかなり広大なスペースであり、その中には我々が目指す工場以外にもいくつかの工場が同居しているようでした。


 さて、車から降り立ちやや途方にくれていると、すぐ目の前が事務所の入り口でした。赤レンガむき出しの殺風景な建物の入り口の真上にはムク材製の洒落たプレートに「事務所」を表す表示がなされています。左右にはこの企業の概要説明が解りやすく書かれています。しかし、よく見るとどれもまだ真新しく、まるで見本市に訪れた参観者を案内するために押し着せでくっつけられたもののような気がしました。実際、後でわかったことですが、この6月にISO9002の認証を取得したばかりだとのことで、事務棟ばかりでなく各作業スペースは外観に似ずこざっぱりとして、機械や原材料スペースなどきちっと区分され、プレート表示がなされていました。
 この企業は86年に香港企業との合弁で設立され、直後、パートナーが資金不足のため撤退。99年にわが国企業と合弁し、現在に至っているとのこと。中国側の出資者は私有企業だそうです。工場内を見学しながら半製品なども見せていただきましたが、素人目に見てもなかなかのものでした。原材料は、一部、家具用の国内産の堅い材質の木材以外はすべてロシア産の赤松を黒河から輸入し使用しているとのことです。また、ここの工場で作った乾燥木材は大連経由で日本にも輸出しているとのことです。


 今回のような大型の見本市は中国全土でほぼ毎月に1回のペースで開催されています。今年も6月以降、7月には山東省青島、8月は吉林省長春、9月はシンキョウウルムチ、山西省太原と続々目白押しです。果たしてどれほどの経済効果があるものなのか非常に興味深いところではあります。今回、ハルピンでの見本市について言えば、参観者の大半が大口の取引先とはなり得ない一般の市民という感触でした。いわゆるバイヤーや取引きに結びつく業者の方たちは少数派だったのではないかというのが率直な感想です。いずれにせよ何処の見本市も省市を挙げての一大イベントとなっていて、そこに集う多くの人の流れや消費だけでも地域国内総生産の何パーセントかは動かすほどのボリュームがあることは確かだと言えます。

木工家具工場の作業場

訪問した木工家具工場の作業場