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10月 朱鎔基総理の日本訪問にあたり

─新聞記事から


 【国際商報(2000年10月12日)より抜粋】
 国務院総理朱鎔基が10月12日、日本を訪問する。日本は各界ともこの訪問を非常に重視しており、また大変歓迎している。朱総理の訪日が中日両国人民の相互理解と中日経済貿易協力の新たなる段階への更なる推進力となることを期待したい。朱総理のこの度の訪日は世紀の交わり、これまでの両国の関係を承継し、新たな関係を築いてゆく重要な時期であり、21世紀の中日両国の末長い友好関係の発展に向けて、両国の協力関係を更に強化、結実させる上で重要かつ深遠な意義を有するものである。よって本日本紙はここに署名入りの文章を発表し、中日経済貿易発展の歴史と未来の展望について紹介する。

中日経済貿易協力を新たなる段階へ推進させる

─駐日本国中国大使館公使 経済商務参事官 呂克倹


 中日国交正常化以来、両国の経済貿易関係の持続と速やかな発展は、両国人民に巨大な利益をもたらしてきた。日本の景気回復は緩慢であり、円相場は不安定、更に中国は正にWTOに加盟しようという、斯様な情勢下、如何にしたら更なる中日の経済貿易協力関係を開拓し、両国の友好関係の発展を継続推進させることが出来るか、これこそ我々が当面真剣に研究すべき最大の課題である。


 中国と日本とは一衣帯水の隣国であり、それぞれに悠久の歴史を有している。特に1972年中日国交正常化以来、両国関係の発展は順調で、経済貿易協力も非常に密接である。1998年には江沢民首席が日本に公式訪問し、中日両国は平和と発展の友好協力パートナーの枠組みの確立に力をいれ、更に両国が各分野で実際の協力の重点と方向を決定し、両国の21世紀における発展の堅い基礎を固めた。


 中日の経済貿易交流は両国の対外関係の中でも特に重要な位置を占めている。中日両国政府と民間の共同の努力の下で、この28年来、中日の経済貿易関係の発展は迅速である。1993年以来、日本は連続7年間中国最大の貿易相手国であり、中国もまた日本にとって第2番目の貿易相手国である。双方の貿易額は、1972年国交回復時の10億ドルから1999年の662億ドルへと増加している。同時に、やはり日本は中国に対する政府借款の最大の提供国であり、中国が外資を吸引し、技術を導入している主要な国家である。互いに利益を得て互いに補い合う、その形式は多様である。ますます綿密で安定的に発展する中日の経済貿易協力関係は既に初歩的な段階に達している。


 目下、日本の経済は回復しつつある。円の大幅な上昇は、中国の外国貿易企業にとって日本との経済貿易協力の好機である


 まず、伝統的な市場を保ちつつ拡大発展すると同時に、輸出商品の構造を高める。高付加価値で、技術性の高い商品と機電設備が輸出商品に占めるシェアを拡大する。

初歩的な分析によれば、目下、中国の輸出製品のうち技術性の比較的高い製品は25%前後を占めている。日本政府はハイテク分野で改めてアメリカを追い越す為に研究開発型企業に力を入れ、科学技術発展の方向を調整して情報技術(IT)と生物技術(バイオ)を二つの重点的な発展対象とし、"新世紀工程"と呼ばれている。中日両国はパソコン、インターネット、移動通信、電子商取引、ソフトウエアなどIT産業領域において非常に多くの共通の課題と利益を有している。だから中国は出来る限り早くこのチャンスをものにし、確固たる地位を築かなければならない。日本から見ると、いくつかの研究開発型中小企業は比較的高い技術と資金、人材を有しているが、国内生産はコストが高く付くため外国のパートナーを積極的に求めるようなった。よって中国の同種の企業はこうしたチャンスに積極的に応え協力を進めるべきである。

 次に、日本国内の消費動向の掌握に努め、新しい市場の開拓と新たな輸出増大のポイントを見出す。

 日本は、いわゆる資源の乏しい国家である。毎年国外から鉱物、原料、食料品など約7兆トンもの輸入に頼っており、それは1.2億人の人口から計算すると、一人当たり毎年6万トンにも達し、市場規模は大きい。日本の老人健康用品や花卉、果茶などの市場や遺伝子組替えを行なっていない商品の潜在力はとても大きく、発展の可能性が大きい。近年、日本では人口の老齢化問題が重くのしかかっており、医療保健に係る費用が増加し続けている。中国の関連企業が中医薬(漢方)等医療保健領域での優れたノウハウを十分に発揮し、販売ルートに見合った効能のある医薬品等の研究開発に力を注げば、こうした関連の製品輸出を増加させ日本向け輸出の幅、品種を開拓することが出来るかもしれない。

 第三に、考え方を変え、ブランド戦略を実施する。量の勝利から品質の勝利へと転向させる。

 一部条件の良い対外貿易企業と科学研究院は、持株形式で商標ブランドを購入し、技術や人材を導入し技術提携(例えば日本企業から放出された技術者など)を展開することができる。そうして輸出商品のレベルと付加価値を向上させる。

 第四に、日本円為替レートの変化に注意し、外貨回収リスクに対する意識を強化する。

 中国企業は日本円為替レートの動向に注意を払うべきである。特に外貨の選択と為替レートの予測を行なう際にはリスク防止の準備を怠らぬようすべきである。日本企業の信用貸付調査、及び外貨回収安定性(企業破産が多い)に注意し、取引の早期実現を焦ったり、以前からの付き合いがあるからといって、信用貸付調査を甘くしたりせず、不愉快な詐欺行為の防止に努める。このような方面の教訓は少なくない。

 第五に、全面的多種の貿易方式を利用する。例えば連合請負、中継貿易等。

 日本経済が、回復するにつれ企業が生き残りをかけて海外に進出しようとする。その結果、それら企業のコスト低減のための合作パートナー選びが頻繁となり、請負プロジェクトが多くなる。中国企業はこうした情報を収集して、まず一部の請負から始めて、日本企業の海外プロジェクトに参加し、更に進めて連合して請け負い、互いに長所を取り、短所を補い合いながら共同で利益を受けるようにする。設備の輸出を促進する上で労務や研修に係る協力業務も増加する。

 第六として、様々な協力関係を利用して、研修労務の輸出を拡大する。

 日本経済の歩一歩の回復の後、中小企業の生産活動もいよいよ盛んになり、企業の労働力需要も更に増大する。日本の一部産業の労働力不足のために、外国から労働力を導入することは当然であり、これは中国の労務輸出にとっては良い機会である。この様な研修や学習的要素のある労務輸出は、単に外貨の獲得だけではなく、中国国内に比較的高い技術を持つ熟練工を養成することにもなる。

 第七として、駐日本中国組織としての役割を十分発揮し、業務指導と管理工作を強化する。

 現在、日本には200社を超える中国系の事務所と企業があり、それらの殆どが市場調査、研究、仲介、国内事業の振興に力を尽くしており、特に日本への輸出の拡大、企業誘致、外資導入に大きな役割を果たしている。


 日本企業の経済的利益のますますの改善と、中国のWTO加盟に伴って、日本企業の中国向け直接投資と技術提携の機会はますます増加するであろう。環境保護、エネルギー及びハイテク技術、中国中西部の開発は正に両国の経済貿易協力の新たな分野となるであろう。多くの日本企業は既に中国のWTO加盟を中国との経済貿易協力の新たな出発点と位置付けている。豊田自動車、吉田工業、東芝、三洋電機、松下電工、日立製作所、日本電気、京セラ、富士通等日本の多国籍企業はみな中国向け投資と協力の増加を表明している。
 中国はWTO加盟以降、投資環境は更に改善され、特許技術に対する保護も更に完全なものとなり、中国市場における外国資本の競争はますます激しくなる。中日両国はハイテク技術分野における提携を強化しなければならない。また同時に、中西部地域にはエネルギー、資源、市場、労働力が豊富であり、西部大開発戦略の実施に伴い、日本企業による中西部地区への投資の増加もまた加速するであろう。


 今年10月の朱鎔基総理の日本訪問で、両国トップによる相互訪問と中国改革開放の深化と経済発展持続により、中国と日本の経済貿易協力は必ずや新たな段階へと発展出来るものと信じる。


 今回は、また大胆に手抜きをしたな!と思うなかれ。
 引用した「国際商報」は、主幹:中華人民共和国対外貿易経済合作部の日刊紙。掲載した文章は、現役の駐日本国中国大使館公使 経済商務参事官の手になるものです。中国政府機関の日中両国経済関係の最もホットなセクションで日夜仕事をし、両国の政治・経済は勿論、人々の生活・習慣に至るまで十分に知悉した者の目を通した、いわば中国側から見た現在の日本像、更に中国側が求めている日中関係の望ましい将来像(一言で言えば、今後の"日中経済貿易関係に対する中国政府の基本的スタンス")が非常に解り易くまとめられているのではないかと思います。よって、何らコメントを付することなく、新聞に掲載された記事をそのまま(原文は中文。若干の意訳はありますが極力誠実に邦訳)引用させていただきました。
 日本の、中国と何らかの関わりを持ってお仕事をされる方々は、中国のこの辺りの考え方をよくよく理解しておく必要がありますね。