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4月 日系製造業、これから

「中国のWTO加盟は早ければ今年の11月頃になるでしょう。」本年4月上海市外事弁公室が各国総領事等を招いて開催した中国のWTO加盟に係る意見交換会で上海市幹部(王戦氏[上海市発展研究センター主任、上海WTO事務諮詢センター理事長])はこの様に述べました。

 

 この春、日本貿易振興会(JETRO)が発表した2000年度「ジェトロ在アジア日系製造業活動実態調査」のデータからは、アジア域内での国際間競争の激化に曝される現地日系製造業の実態とその奮闘ぶりを読み取ることが出来ます。とりわけ中国企業は改革開放の深化とともに確実に地力を付けています。先日、現地の委託提携先検討のため上海市を訪れたある金型メーカーの経営者が「中国産の金型は精度の面でまだまだだと思っていたが、このまま行くと日本の金型産業もあと3年で中国に取って代わられるのではないか。」と危惧していたとのことですが、実際、医療品と鉄鋼製品以外の製造業では、中国企業は既に多くの分野で日系企業の強力な競争相手となっています。中国のWTO加盟はもはや時間の問題です。そして中国のWTO加盟は斯様な日系製造業にとっても、今後、更に少なからぬ影響を及ぼすものと考えられます。

 

 同調査によれば、中国のWTO加盟について、アジア全体では43.5%の日系製造業が自社の経営に対して何らかの「影響がある」と考えています。とりわけ中国に進出している日系製造業からは「影響がある」と回答する率が高くなっています(67.1%)。中国全体で「影響がある」との回答率が特に高かった業種は、繊維(糸・織布)の70.2%、電気機械の61.2%などです。

 

 また中国以外の他のアジア地域に進出している日系製造業にとっては、中国のWTO加盟が自社にとって「マイナスの影響の方がプラスの影響より大きい」と見る傾向が強く(ASEAN55.7%、インド68.2%)、反対に中国に進出している日系製造業からは「プラスの影響の方がマイナスの影響より大きい」とする回答が多く(61.8%)寄せられています。因みに韓国の日系製造業は、中国に対する輸出機会増加への期待から「プラスの影響の方がマイナスの影響より大きい」とする回答が多く(66.7%)なっています。香港、台湾に進出した企業の感触も概ね「プラス」の評価です。いずれにしても中国を含めアジア全般的には殆どの業種で自社にメリットが有るとの認識の方が自社にマイナスになるとの認識を上回っています。

 

 ただ中国に進出している日系企業は殆どの業種がWTO加盟後、「関税の引き下げ」や「規制緩和」、「制度・政策運営面での透明度向上」、「国内市場開放」、「情報公開」等、自社にとってプラス面での影響を期待する半面、「外貨優遇措置の段階的撤廃」、「外資企業による対中投資の増大」、「中国企業との競争激化」、「輸入品との競争激化」等、マイナスの影響も懸念しています。

 

 ここで在アジア日系製造業の2000年の営業損益に目を転じてみると、各国、地域(ASEAN(76.6%)、インド(57.9%)、韓国(83.9%)、香港(84.0%)、台湾(84.9%))ともに概ね黒字計上(予定)と回答しています。同様に中国でも72.7%が黒字(予定)であると回答しています。

 

 最後に2001年の売上げ見通しですが、ASEAN(65.1%)、インド(73.9%)、韓国(57.1%)では総じて「増加」と楽観しているものの、香港、台湾では逆に「横ばい」「減少」の合計がそれぞれ60%、57.2%となるなど、中国のWTO加盟に伴うマイナス影響を嫌気したか、やや右肩下がりとの見方が強くなっています。一方、中国に進出した日系製造業の売上げ見通しは「増加」が72.1%とWTO加盟を控えなお多くが明るい見通しを立てています。