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1月 中国 新世紀のはじめに

 新世紀を迎えました。昨年2000年の中国の国内総生産(GDP)は8兆9,000億元、対前年比8.0%の伸びとなり、92年以来毎年減少傾向にあった成長率はここに来て再び増加に転じました。この増加の主たる要因としては、98年以来政府が注力してきた積極財政による固定資産投資や各種所得政策等の景気対策が効を奏し始めたということ。更に99年以降、日本はじめアジア諸国の景気の底打ちとアメリカの景気拡大を背景に輸出が力強い伸びを示したこと等が考えられます。

 このように高度の経済成長を続ける中国に有って、とりわけ上海市では、昨年一人当たりの国内総生産(GDP)が3.46万元(4,180米ドル)に達し、中国国内では香港、マカオ等を除いて唯一、省級都市としては初めてGDP4,000米ドル台の中等収入国家(中進国)レベルの仲間入りを果たしました。市統計局が本年2月5日発表した『2000年上海市国民経済と社会発展統計公報』によると昨年の上海市のGDPは4,551.15億元。対前年比10.8%の伸び。これにより上海市のGDPは1992年以来何と9年連続で二桁の伸びを保持したことになります。参考にこれ以外のデータを挙げると、対外貿易輸出入総額が547.1億ドル(プラス41.7%)、社会消費小売総額が1,722.27億元(プラス8.3%)、固定資産投資総額1,861.17億元(プラス0.2%)、外資導入額は63,9億米ドル(プラス55.7%)、労働者平均給与は15,439元(プラス9.1%)等々となっています。

 事業団上海事務所に寄せられる対中直接投資、取引等に係る相談、来客の件数もまた昨年年初あたりから増加傾向に有ります。バブル崩壊後の景気低迷が長期化し、海外投資も全般的にやや手控え感が有ったここ数年の間も、事業団の「中小企業国際化支援アドバイス事業」に係る国内アドバイス実績の第1位は常に中国案件が占めて来ましたが、先にも述べた日本及びアジア諸国経済の回復基調と、更には中国のWTO加盟が早晩実現することがほぼ確実となったこと等により、先行投資的な意味合いでの直接投資案件が急増しているようです。

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 わが国企業による対中直接投資は、一昨年末、当事務所が実施した「2000年中国進出日系企業経営実態調査報告書」でも明らかなように、基本的には多様化が進んでいると言えます。それでもやはり製造業がその太宗を占めていること自体に変化は無く、全体の約8割に達しています。内訳は電気機器、繊維・アパレル、化学等が上位。欧米系企業には比較的多く見られる金融、サービス業分野での進出ははかばかしくありません。進出地域別では、やはり沿海部、殊に上海市を中心とする華東地区への集中は今後も更に進展するものと思われます。特にIT関連産業の集積という観点からは江蘇省の昆山、無錫、呉江を中心とするエリアに台湾系企業の大量進出が見られ、今後これら企業を核とした各国企業間の連携をとおして中国におけるIT関連機器、部材の産地が形成される可能性があります。企業の進出動機としては、従来型の再輸出、委託加工を志向するのであれば、広東省を中心とする華南地区が沿海部でしかも安い労賃のメリットを最大限に生かせるというのが現地の声。中国国内市場へのアクセスを志向するのであれば、よろず業種に関わらず、外資系企業が集中し一般購買層の所得水準も相対的に高い華東地区というのが定説のようです。

 新世紀のはじめとなる今年、中国は大きな節目を迎えることになります。ひとつは先程も述べたWTOへの加盟。現在は、既にジュネーブで加盟議定書の最終調整が行われている段階とのことで、本年後半には加盟が実現する見通しです。これまで中国政府が実施してきた一連の経済改革はWTO加盟を前提としたものであり、よってその成否はひとえにこのWTO加盟に懸かっているとも言えます。そして二つ目はAPEC(アジア太平洋経済協力閣僚会議)とその関連の国際会議が、上海市において、この春先より順次開催されます(総会は10月)。中国政府としては、WTO加盟と平行して、これら国際的な脚光を浴び世界の耳目を集める絶好の機会を最大限活用し、対外的には国際舞台における(あくまで発展途上国としての)プレゼンスの拡大、対内的には改革・開放政策の更なる深化と加速を図りたいところです。

 更にこれら以外にもまだ有ります。7月には2008年のオリンピック開催地が決定されます。中国から北京市が、日本からは大阪市が、他の欧米の3都市とともに名乗りを挙げているところですが、直前(2004年)の大会がヨーロッパ(アテネ)で開催されることを考慮するとアジア地域での開催が色濃くなります。ただし日本はこれまでにも冬季を含めて既に3回の開催実績が有りますが、中国ではまだ一度も開催されたことが有りません。北京は前回シドニーオリンピックの際も最後まで候補として残った経緯があります。加えて前述のような世界の目の動きを追っていくと、大阪市もかなり厳しい戦いを余儀なくされるのではないかと思います。中国政府も日本のあの高度経済成長の時代に東京オリンピック開催が果たした役割には十分注目しており、ここは何としても開催に漕ぎ着けたいところなのでしょう。以上のほか、日中関係を考える上で注目しておきたいのは、今年は中国にとってかなり大きめ(重め)の周年行事が重なるということです。即ち、辛亥革命90周年、中国共産党成立80周年、満州事変勃発70周年、太平洋戦争勃発60周年、等々。これらは日中両国近現代史の負の要因が錯綜する部分でもあり、政治・経済両局面への少なからぬ影響を考慮し、取り扱いに関しては双方の慎重な対応が求められるところです。いずれにせよ、今年も中国は元気です。

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