経営者をサポート >  海外展開(進出・販路拡大) >  調査報告書 >  海外調査 >  ニューヨーク >  第15回 日本がいちばん慎重

第15回 日本がいちばん慎重

 ヤンキースの松井とマリナーズのイチロー両選手の直接対決が実現したゴールデンウィークの頃、ニューヨークでは多くの日本人旅行客を見かけるものと期待しましたが、実際にはそれほどでもなく、日本からの旅行者が一昨年のテロ以前の状況に戻るにはまだまだのようです。


 ビジネス面でも同様で、当地での日本人駐在員たちが日本からのビジネス客の支援や対応をする機会も、なお少な目のままです。


 同時多発テロ→炭疽菌→アフガン攻撃→イラク攻撃→SARS…と、立て続けに不安要因が重なり、外国への旅行やビジネスを差し控えるムードとなっていることは、セキュリティ管理の観点から仕方のないことですが、アメリカに住んでいると、どうも日本のツアーやビジネスにおける反応は、過剰に保守的で、他の国に比べても極端に慎重過ぎるのではないかとさえ感じられます。


 例えば、デトロイトの日系中小企業現地法人のある管理者の方は、SARSで揺れたトロントに近いという理由で、日本との行き来(出張)を親会社から暗に嫌がられたと怒っていましたし(両都市間は約400キロもある!)、ロサンゼルスの日本人向けハイヤー会社の社長も、「他の国の観光客はもうとっくに戻っているのに、日本だけなんですよ、こんなに落ち込んだままいつまでも戻らないのは…」と、日本の過剰ともいえる旅行控えぶりに苛立ち、嘆いていました。


 今年2月に当事務所が実施した在米の日系中小企業現地法人向けアンケート調査でも、日本の親会社への要望として、「現地の事情を知らなすぎる」「こちらの悩みがちゃんと理解されていない」など、現地で起こっていることに対する正しい理解が不足していることを嘆く声が多いのも目立ちます。


 セキュリティ対策に十分配慮して、危機管理に万全を期すこと自体、たいへん重要なことですが、あまりに慎重になりすぎてビジネスチャンスを逃している面があるのでは、との懸念が多少よぎるのもまた事実です。

フィフス・アベニュー(五番街)でも日本人の姿は減ったまま…

フィフス・アベニュー(五番街)でも日本人の姿は減ったまま・・・