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第10回 在米日系中小企業経営者がセミナーで交流

カリフォルニアで開催

 さる2月12日(火)〜13日(水)の2日間、米国で活動している日系中小企業の経営者・管理者の方々を対象とした「米国展開日系中小企業経営者交流セミナー」が開催されました。

 日本ではまだまだ冬本番のこの時期、カリフォルニア州レドンドビーチ(ロサンゼルスの南約30キロ)は、気温70度前後(※)の穏やかな陽気で、サイクリングで駆け抜ける若者を多く見かけるハーバー前のホテルがその会場となりました。


※華氏(Fahrenheit)なので、これを摂氏(Centigrade)に直すと
(70°F−32)×0.55 ⇒ 約21℃


 このセミナーは、米国内ですでに事業を展開している日系中小企業の現地法人経営者などを対象に、米国における経営ノウハウ等に関する講演やディスカッション・経営相談会といった参加者交流の場を提供することを通じて、その事業活動を支援することを目的に開催されたもので、当中小企業総合事業団ニューヨーク事務所が主催して行ったものです。
 (当初は、2001年11月に開催する予定で、案内状を送付しようと準備していた矢先に、「同時多発テロ」(9月11日)が発生。遠方からの参加見合わせなどが見込まれたため、急きょ開催日を延期し、2月開催としたものです)


 当日の参加者は、合計35名。


 カリフォルニア州内のみにとどまらず、バージニア州、ケンタッキー州、イリノイ州といった遠方の州からも現地法人の経営者の方々が参加したほか、日系ビジネス新聞社・銀行・商工組合中央金庫といった関係機関からの参加も得ることができました。


 なお、セミナー参加の案内は、当事務所が調査・作成した「米国進出日系中小企業リスト」に掲載された企業や、その他親会社が中小企業であるとみられる企業(全米で合計約300社)に、案内状を郵送するなどの方法により呼びかけたものです。


 セミナーの内容・スケジュールは次のとおりで、「講演」と参加者同士の「ディスカッション」「交流会」、「個別相談会」が目玉です。

セミナーが開催されたホテル

セミナーが開催されたホテル

<第1日>


午後6時:ウェルカム・レセプション


太平洋に沈みかけた夕陽を眺めながら開始。


パーティ形式で参加者全員がお互いを自己紹介し、参加者同士が自由に交流・懇談しました。


<第2日>


〔講演(1)〕「スローダウンしつつある米国市場で生き残るため、中小企業の経営はどうあるべきか。不況対応の経営戦略」


講師:宮本公明氏(マネージメントコンサルタント/経営戦略コーポレーション)


〔講演(2)〕「日系中小企業が活用すべき米国における人事管理戦略」


講師:正田平八郎氏(シニアマネジャー/ドロイト・トゥーシュ)


〔中小企業総合事業団の事業説明〕
「中小企業総合事業団はどのようなサポートが出来るか」
説明:高石光一(本部調査・国際部)田岡 博(NY事務所)


〔ディスカッション〕 「参加各社の経営上の問題点」


 米国で中小企業を経営するにあたって直面している問題点やチャレンジはどのようなもので、それらをどのように解決しているか、など。参加者同士の情報交換。


モデレーター:宮本公明氏


〔講演(3)〕「米国でビジネスをゼロから大成功に導いたモリニューTOFUのケーススタディー」


講師:雲田康夫氏(社長/森永乳業USA)


〔講演(4)〕「中小企業としてのアウトソーシング・サービスの上手な使い方」


講師:柿本真正人氏・寺平徳子氏(CPA、MBA/柿本会計事務所)


〔個別相談会〕参加者が直面している問題への個別相談

レセプションでの懇親会

レセプションでの懇親会

 このうち、森永乳業USAの社長の雲田講師は、まだまだ豆腐が米国人に「嫌われていた」1980年代後半から豆腐の普及に尽力。多くの失敗を繰り返しつつも、米国人家庭の食生活を実体験しながら新しい事業を成功に導いた経験を熱く語り、参加した経営者に貴重な示唆を与えてくれました。


 またセミナーのもうひとつの目玉である「ディスカッション」においては、宮本氏がモデレータとなって、自社が抱えている問題を講師や他の参加者に投げかけるスタイルで活発な討議が行われました。


 議論が集中したのは、「労務管理」や「人事管理」、「アウトソーシング」などに関するもので、次のような話題がテーマとなりました。


○従業員にインセンティブ(短期のもの&長期のもの)を与えるための具体的方法は?


○優秀な人材を会社につなぎとめておくにはどのように対処すればよいか?


○賃金カーブの抑制などのルール作りにどのように取り組めばよいか?


○ベネフィットの水準、セールスの目標設定に対するボーナスの定め方など、どのようもの(データ)を参考 にすればよいか?


○アウトソーシング先に任せきりになってしまって、その後の社内的なフォローアップができない危険性が よくある(特にIT関連など)が、どのように取り組めばよいか?


○アウトソーシングの報酬は業務や会社によって10倍もの幅があるが、どのような考えで選んでいけばよいか?

雲田講師

雲田講師

 対面型にセットされた会場で行われたこれらの議論は、はじめは「講師との対話」だったものが、次第に「参加者同士の対話」に変わっていき、最後には、各参加者自身の問題意識が重なりあって、自身の解決策を披露し合う場面もみられるなど、参加型のディスカッションとして意義あるものになったのではないかと思います。

ディスカッション風景

ディスカッション風景

 さらに、講演終了後に受け付けた「個別相談会」にも個別の相談が寄せられ、宮本講師による解決のアドバイスが提供されました。


 全体として、セミナーの時間に限りがあり(特に「ディスカッション」)、また、仕事の関係でゆっくり参加・滞在できなかった方もいらっしゃったのは残念でしたが、閉会後に回収されたアンケートによれば、「セミナー全体を通しての印象」は、「とても有益であった」(72%)、ある程度有益であった(28%)、「あまり有益でなかった」(0%)、また「今後同様のセミナーを開催するとすれば参加したいか」については、「ぜひ参加したい(57%)」「条件が合えば参加したい(43%)」「参加したくない」(0%)など、全体として好評をいただけたものと思われます。


個別相談風景 (向こう側が宮本講師)

個別相談風景 (向こう側が宮本講師)

 その他、アンケートの具体的なコメントとしては、


〇参加会社の方と知り合えてとてもよかった。横の情報を得ることができた


〇有料のセミナー・トレーニングに何度か足を運んでいるが、無料でこれだ け内容のあるセミナーは初めて。


〇良かったと思う。が、Q&Aの時間が少な過ぎた。


〇ディスカッションの時間をもっと増やしてほしかった。


○米国事業のサクセスストーリーや苦労話も聞けてたいへん為になった。


〇駐在年数の長い人も浅い人も、それぞれに問題を抱えており、親近感をおぼえた。


〇事業団に国際化支援プログラムがあるのは知らなかった。知っていれば進出時に利用したと思う。


 といった感想・意見のほか、


〇業種をある程度限定してはどうか?会社規模をある程度分類してはどうか


〇小人数でのグループ・ディスカッションをすれば、より生の情報交換が出来るのではないか。


 といった提案・指摘、さらには、


〇ロサンゼルスにも事業団の事務所があれば助かる。


〇アドバイザーに弁護士も入れて欲しい。


〇今後事業団が発行している機関紙をぜひ郵送してほしい。


 といった要望も出されました。


参加者同士で交流

参加者同士で交流

 このように開催されたセミナーの模様は米国内の日系ビジネス紙の紙面でも紹介され、事業団の支援事業内容の資料を送ってほしいという依頼や、セミナー中にその活用を呼びかけた「国際化支援アドバイス制度(無料)」についてもさっそく利用したい、という申し込みが寄せられるなど、在米の日系中小企業に対するご支援を広げていくひとつのきっかけになっています。


 今年度、まずカリフォルニアで開催したこのセミナー。次回はカリフォルニアに次いで日系中小企業が集中している中西部方面に場所を移して開催できるよう検討をすすめているところです。


事業団の支援メニューを紹介

事業団の支援メニューを紹介