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第2回 ニューヨークの中の日本

 ニューヨーク・マンハッタンの街中を歩いていて一番に感じることは、たくさんの人種の異なる人たちが行き交い、しかもその異なった人種がお互い自然に混ざり合って同居している、ということです。まさに人種のるつぼ、世界中からの移民が住みついているこの国では、まるで地球を凝縮したような多様さがスタンダードです。


 統計によると、全米の人口は2億7,500万人で日本の約2倍。この内訳を人種別にみると、"ホワイト"(いわゆる白人)が約72%、"アフリカン・アメリカン"(いわゆる黒人)が約12%、"ヒスパニック"(メキシコや中南米の血筋を持ち主にスペイン語を話す人たち)が約12%、さらには"アジア・パシフィック"(アジア地域や太平洋地域の血筋を持つ人たち)が約4%、"アメリカン・インディアン"などの先住民が約1%、という構成になっています。(最近では"ヒスパニック"の人口が増えてきているといわれています。)


 それぞれに肌の色や髪の色・顔のかたちや体型が全く違いますので、同じような上背で目の色・髪の色が同じ人ばかりが歩いている日本の街角とは全く様子が異なります。

 黒人ばかりの居住地区や、チャイナタウンやリトルイタリ−など、同じ人種の人たちが集まっている場所も中にはありますが、オフィス街や地下鉄など、どこにおいても多くの人種が混ざり合い、それが何の抵抗もなく同居しているというのがとても印象的です。

ミッドタウンの街角

ミッドタウンの街角

 一方、街中では多くの日本人もまた見かけることができます。
 ニューヨーク市の人口は約740万人ですが、外務省の統計によるとニューヨークに在留している日本人(3ヶ月以上の長期滞在者と永住者)は約58,300人で、これは世界の都市の比較ではいちばん多い人口です。(2位はロサンゼルス(約35,800人)、3位はロンドン(約24,500人))

 一方、企業についても少し眺めてみますと、日本企業の現地法人やニューヨーク在住の日本人による各種の営業など、数多くの活動が展開されています。

 JETRO(日本貿易振興会)や当ニューヨーク事務所の調査によると、米国で活動している日系企業(日本企業が設立した現地法人)は、約4,600社ほどが把握されており、うちニューヨーク州に所在しているのは約700社(これはカリフォルニア州の約1,200社についで第2位)程度。さらにこのうち(日本の親会社が)中小企業に該当するものは推定で40社程度と見られています。(主として製造業や商業など)

 これに加えて、日本人が行っている小売店・飲食店・美容院・法律事務所などの営業については、正確なデータがありませんが、ざっと便利帳的な情報誌を眺めただけでも500ほどのお店が掲載されています。


 さてそんなわけでニューヨークの中にもいろいろな日本を見つけることができます。
 日本でも話題になった『漢字』の刺しゅうの入ったウエアなどはさすがにもう下火気味ですが、お寿司やおそばや天ぷらといった日本食レストランなどは実に健在で、少し歩けば何かしらの店にたどりつくことができ、中に入ってみると日本人に混じって大勢のアメリカ人たちが、箸を上手に使って日本食を楽しんでいます。

 特に寿司についてはここ数年で確実にアメリカの食文化の一部として定着した感があり、カリフォルニア巻き(ネタはアボガド、のりは中に巻かれていてまわりが米のシャリ)などの"MAKI"(巻き)をはじめ、"NIGIRI"(にぎり)"TORO"(トロ)などの英語(?)が自然に使われています。

銀行も日本人にアピール

銀行も日本人にアピール

 マンハッタンのミッドタウン、46丁目のFifth Avenue (五番街)から少し入った近代的なビルの一階にある、『GENKI寿司』は、なんと回転寿司のおしゃれなお店です。

 天井の高さが日本のお店の倍以上もある広い空間に、満席で30人ほど座れるカウンターと20人ほどのテーブル席で、ニューヨーカーたちが箸を上手に使いながら、お皿にのって流れてくるTuna Roll(鉄火巻き)やCalifornia Roll(カリフォルニア巻き)などをヒョイと取りあげてほおばっています。

 この店は、宇都宮市に本部のあるフランチャイズチェーン「元気寿司」の加盟店で、ニューヨークにはこのほかダウンタウンにも同様の店があります。

回転寿司?

これが回転寿司?

 B&B SUSHI, INC. というニューヨークの会社(会社の規模としては中小企業)がフランチャイジー(フランチャイズチェーンの加盟店)として、「元気寿司」のロゴやシステムを使用し、ニューヨークではまだまだめずらしい回転寿司という日本の食スタイルを提供している、まさに元気印のお店です。


 フランチャイズチェーンですから、品揃えや店舗システムは本部の方針に沿ったものとなりますが、ネタの仕入れや店のスタイルなどにはニューヨークに合った工夫が加えられていますし、肝心のニギリや巻きの技術については日本人の職人がじっくり教育して、現在では腕のいいシンガポールの職人たちが受け持っているとのことです。

 ランチタイムはいつも満席で、回転する寿司皿をすぐに手にできるカウンター席はやはり人気。そして驚いてしまうのは、お寿司なのにお客はほとんど(常時95%以上)アメリカ人で、日本人の客はむしろめずらしいこと。


 主として日本人客向けに日本の味と雰囲気を提供している一般の日本料理店とは異なり、この店はすっかりアメリカナイズされた寿司レストラン。寿司という日本の食文化を、そして回転寿司という日本の独特な営業スタイルをアメリカ社会のど真ん中で提案し、これが立派に受け入れられてニューヨーカーたちに支持されている、という光景は、日本ビジネスのたくましさと、ひと味違った日本にふれたようなかすかな心地よさを感じさせてくれます。


 同じ東洋でも、チャイナタウンの中国人やコリアタウンの韓国人など、パワー全開で独自の生活圏まで築き上げてしまうお国の人たちに比べ、日本人は比較的穏やかな存在ですが、その伝統と実績に裏打ちされた文化やビジネスがここニューヨークにおいてもたくましく鼓動しています。

午後3時頃

午後3時ごろの店内。客はみんなアメリカ人