国際化FAQ

これまで、国際化支援アドバイス制度にご相談いただいた中でよくある質問を、カテゴリー(地域別・項目別)に分けて
掲載しております。海外ビジネスをより効率的に進めていくためのツールとして、ぜひご参照下さい。

「仲裁」の国際取引上の意義


FAQ:
当社は近々、産業用電気機器部品の輸入取引に関し、中国の某社と契約を締結し発注する予定です。当該品の仕様上の欠陥などにより取引当事者間にトラブルが発生し、その解決に手間取っている事例を時々聞きますので、当社としては取引にあたり、あらかじめその解決手段として「仲裁」を売買契約書の条項に記載したいと思っております。この「仲裁」の国際取引上の位置づけについて教えてください。


ANSWER:
 まず、紛争解決手段としての「仲裁」の位置づけを簡単に示しますと、以下の2分類になろうかと思います。
 

(A)中立的立場にある第三者が両当事者に対し「和解の勧め(斡旋)」や「解決案の提示(調停)」を行い、当事者が受け入れることによって解決する場合(注;受け入れない場合は未解決となります)

(B)中立的立場にある第三者が両当事者に対し、単なる解決案ではなく当事者を拘束する判断を示し、当事者が従わない時はその内容を法的に裁判所の強制執行手続きをすることによって解決する場合(「裁判」や「仲裁」が該当します)
 

 仲裁とは、両当事者の合意のうえで選ばれた中立的立場にある第三者(「仲裁人」と呼びます)が判断し、両当事者(それぞれ「申立人」「被申立人」と呼びます)がその判断(「仲裁判断」と呼びます)に合意(「仲裁合意」と呼びます)し紛争を解決することをいい、法によって認められた制度です。(注;「仲裁判断」には、法律により「確定判決」と同一の効力が認められています)
 

 仲裁の特徴は以下のとおりです。(注:スペースの関係上、詳細は割愛します)
 

(1)当事者は、紛争の内容に応じて「仲裁人」を自由に選べるが、裁判の場合は「裁判官」を選ぶことはできない

(2)「仲裁手続き」および「仲裁判断」は非公開。裁判における「対審」および「判決言い渡し」は公開

(3)裁判と違って「仲裁」は上訴がなく、「一審制」である

備考;(社)国際商事仲裁協会(2003年1月1日、日本商事仲裁協会に名称変更)の事例では、申し立て請求額2000万円以下の場合に原則的に適用される「簡易手続き」による仲裁は、3カ月以内に「仲裁判断」を得ることが可能である。簡易手続きによらない通常の仲裁の場合は、「仲裁の申し立て」から「紛争の解決」まで約1年半かかる。

(4)「仲裁判断」には1958年のニューヨーク条約により国際的強制力がある
  備考;現在、わが国を含め142カ国以上が本条約に加盟している。
 

 詳細は社団法人日本商事仲裁協会のホームページをご参照ください。


 


国際化支援シニアマネージャー 牛腸 純和 2012年2月



 

食品の海外輸出と知的財産権問題


FAQ:

地方特産の食品を製造販売している企業です。当社の製品は、国内では多少の知名度はあると自負しています。今までは国内だけでの販売でしたが、日本はこれから人口漸減時代に入り、日本市場における胃袋の数も減少していきますので、販売対象市場を韓国や中国、台湾、ASEAN諸国にまで広げることで、業績の拡大を図りたいと考えています。当社製品には、特許を取れるほどの特別な加工方法や技術は使われていませんが、海外向け食品の輸出に際し、知的財産権の面で気をつけなければならない点はありますでしょうか?

 

ANSWER:

 知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つを「産業財産権」といい、著作権や種苗権などと合わせて「知的財産権」と総称します。
※従前は「工業所有権」と呼ばれていたもので、2002年の知的財産大綱の制定で、「産学所有権」と呼ぶこととなった。
 

 産業財産権の権利者がその権利を独占できる期間は、国(地域)によって多少の相違があり、保護される権利の範囲も全く同じというわけではありません。しかし近年、各国(地域)の知的財産権制度はかなり似通ったものになってきています。
 

 ただし、日本国内で権利を確立していても海外では全く通用しませんから、対象とする国(地域)ごとに申請を行って権利を取得するか、特許庁を窓口とする国際出願をして、対象を絞り込んで対象国(地域)ごとに権利を取得していく必要があります。
 

 食品の海外輸出に際し、知的財産権の面で気をつけなければならないこととしては、他人による権利侵害から自社製品を保護するという必要最小限の役割を期待するだけでなく、積極的に知的財産権を活用して海外市場のマーケティングに結び付けるという考え方を採ることをお勧めします。
 

 その意味からしますと、保護され活用できる権利は多いほどよいと言えますが、あまり多くても費用がかさむので、採算性を問われるビジネスの現実としては悩ましいところです。貴社製品には特許権を取得できる製法や技術は使われていないとのことですので、実用新案権、意匠権と商標権によって貴社の権利を確立することができるか否かを検討されてはいかがでしょうか。商標権しか取得できないのであれば、容器を汎用品ではなく独自の特徴のあるデザインにして、意匠権を取得できるように工夫するのもよい方法です。
 

 海外では、会社の名称も他人によって商標として登録されてしまうことがありますから、社名も商標登録しておくことをお勧めします。また、知的財産権の措置を講じないまま海外の展示会などに製品を出展すると、それを契機にその国(地域)の人によって商標登録されてしまうことがありますから、展示会といえども安易に出展すべきではありません。 
 

 知的財産権を確立しておくことは、模倣品や偽物が流通したときに、それらに対して自社の権利を主張できる法的根拠を持つことを意味します。逆に言えば、知的財産権を確立しておかないと、模倣品や偽物が流通してもそれらに対して自社の権利を主張できる法的根拠がないだけでなく、本物である自社製品が「模倣品」や「偽物」として市場から強制排除されたり、貴社が権利侵害者として訴えられたりしかねません。現実に、国によってはこのような信じられない事態が起こっています。
 

 海外に製品を出す際には、販売対象とする国(地域)での知的財産権の確保に向けて、真っ先に手を打っておくべきでしょう。ご相談いただければ、国際弁理士(当機構国際化支援アドバイザー)とともに的確な助言をさせていただきますので、遠慮なく相談にお越しください。


 


国際化支援シニアマネージャー 牛腸 純和 2012年2月

製品を海外市場で販売する際にまずすべきこと


FAQ:

日本の国内マーケットは、今後、縮小していくことが予想されるため海外に販路を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか?

 

ANSWER:

 まず、製品の需要があるのかを見極めます。たとえば国内の納入先が海外に生産拠点を移した場合は、その製品の需要が移設先で発生していることになります。ただ、現地で同様の製品が簡単に手に入る場合は厳しい競争が予想されますので、自社の製品がどの程度の競争力を持つかを認識しておく必要があります。まずはターゲットとするマーケットの焦点を絞り、需要動向について、自ら現地視察を行うなど、状況を正しく把握することが第一と思います。

 販売の見込みがつく場合は、次に需要家との交渉になります。需要家は必ずしも日系企業とは限りませんので、多くの場合は英語での交渉になると思います。したがって、少なくともメールによる英語での意思疎通ができる人材がいることが望ましいでしょう。また、国をまたがる商取引となることから、貿易用語に対する正しい知識がないと、契約条件に関する認識の違いが発生して後々のトラブルの原因になる恐れがあります。従って、例えばFOB、CIF、L/Cなど、貿易に関連して頻出する用語の正しい理解が必要です。

 なお、海外との取引の場合は決済までに予期せぬ 事情により、時間がかかることもあり得るので、資金的に余裕をもっておくことも重要です。

 当機構の専門員は貿易実務に精通しており、リスクの所在なども明確化でき、英文契約書の内容についてもアドバイスできます。海外販路の新規開拓を計画される場合は、ぜひとも当機構の国際化支援アドバイス制度を利用されることをお勧めします。


 


国際化支援シニアマネージャー 山本 恵 2011年10月


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国際化支援センター 海外展開支援課

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