経営者をサポート >  J-GoodTech(ジェグテック) >  検証Webマッチング─J-GoodTech始動1年─ >  検証Webマッチング─J-GoodTech始動1年─【下】 海外編

検証Webマッチング─J-GoodTech始動1年─【下】 海外編

 

 海外に販路を広げたいと考える中小企業は多い。しかし、どの国にどのような企業があるのかが分からず、ましてニーズのある会社を探し出すなど途方もない作業に映る。
 このような中小企業の海外進出での悩みにジェグテックは対応する。Webには国境がないだけに、Webによるマッチングを国内だけにとどめる必要はない。海外展開の仕組みも国内と同じ。登録した中小企業の情報は中小機構が英文に翻訳し、海外企業から発信されるニーズは、日本語で読めるよう工夫されている。ジェグテックが仲介することで言葉の壁を感じることなく商談へと進むことができる。
 また、中小機構が主催するタイ、インドネシアなどとのリアル商談会の開催では、ジェグテックサイト内にある英訳された掲載企業情報を海外企業が事前に知ることができ、商談希望のある企業を事前に選択するので、効率的なマッチングが可能になる。
 中小機構はジェグッテックに登録する海外企業増への取り組みを積極化する方針。11月からアジア諸国の企業へ認知度アップを図るため、テレビCMの放映を開始。現在250社の海外登録企業の大幅増を狙う。これにより多くのニーズ発信を獲得していきたいとしている。
 今回は、海外企業との商談会に参加し、成果をあげている2社の状況とジェグテック活用を紹介する。

リアルの商談会にも参加─ブルー・スターR&D(神奈川県相模原市)─

 「日本には市場がない。量産工場が多く潜在需要がある海外で展開するしか当社の成長はない」とブルー・スターR&Dの柴野佳英会長は強調する。同社が製造するのは、部品製造には付き物のバリを超音波で取り除く「超音波バリ取り洗浄装置」。世界一の技術と自負する。バリとは、部材を切断、切削する際に加工面に生ずる不要な突起のこと。どのような製品でも製造過程で、このバリ取り作業が必要になる。
 柴野会長が、超音波洗浄の研究開発に携わっていた30年前、洗浄時間を短縮する強力洗浄機を開発し、製品を納入した。その後、顧客から「洗浄だけでなく、バリまで取れることを聞かされ驚いた」ことから、バリ取り専用機の開発に着手したという。
 「紆余曲折を経て12年前に中国に進出したが、結果はうまく行かなかった。日本に戻り設立したのが当社。現在は、認知度向上を図りながら需要がある海外での生産委託先を探している」という。
 携帯電話など量産品のバリ取り作業は人海戦術しかないのが現状だ。中国などの量産工場では多くの人員を割いてバリ取りが行われている。ここに「超音波バリ取り洗浄装置」を導入すれば、精密機械部品でも素材を傷めずにきれいにバリが取れる。省力化につながる画期的な製品だ。
 国内で製造し輸出するのは、従業員15人の会社では限界がある。それよりは需要のある国で委託先を見つけ製造する方が効率は良い。だが、どうやって委託先を見つければいいのかが課題として立ちはだかった。
 悩んだ末に相談を持ちかけたのが中小機構だった。「ネットで海外進出を検索すると、中小機構の施策が多くヒットする。公的機関ということで安心感もあったので出向いた」。そこから海外商談会を知り参加。受注にも結び付いている。その後、ジェグテックの存在を聞き、スタート時に登録。今は社内担当者を決め、日々の情報入手を欠かさない。
 10月末に開催されたインドネシアCEO商談会は、ジェグテックを通して案内があり、5社に面談を申込み4社と商談。「近くインドネシアを訪問して再会する予定。参加して無駄がなかった。密度の濃い話ができ、費用もかかっていないのもいい」と語る。
 「Webとリアルをうまく組み合わせた効率的な仕組みだと思う。情報だけでなくアドバイスが受けられるのは助かる」と話す。ジェグテックの稼働から1年間で国内企業から多くのニーズを受けているが、態勢が整わず対応できない状態。
 むしろ必要なのは海外生産委託先の発掘であり、最適なパートナーを見つけるためにも「海外企業の登録が増えることに期待したい。今後は、情報発信、ニーズへの提案など積極化していく」という。

柴野会長

超音波バリ取り洗浄装置を前に「この技術は世界一」と強調する柴野会長

専任の担当者を配置─名高精工所(京都府宇治市)─

 京都府宇治市にある工場団地の一角で自動車、航空機、油圧機器など精密部品の切削加工、組み立てを手掛けるのが、創業61年になる名高精工所だ。得意とするのは自動車用部品で、ターボチャージャー(過給器)ノズルやカーエアコン部品、ギア関連部品などの切削加工など。
 強みは旋盤加工、マシニング加工、研削加工、組み立てまで複数の工程を一貫して自社内で行える対応力。顧客の発注に合わせて、あらゆる形状の旋盤部品、マシニング部品に合う治具を考案し製作する技術力もある。
 「お客様を始めとする他社から学んだ生産技術。教えてもらい自社で試行錯誤しながら培った技術は当社の財産。どのような部品でも製造できる自信が総合力として発揮できている」と名高新悟専務取締役は強調する。こうして生産する部品製造の信頼度は高い。大手メーカーが2008年にタイに進出した際、現地法人を立ち上げてほしいという依頼がきたほど。
 「この時は海外リスクを考え断った。技術を教えるなど協力は惜しまなかったが、やはり現地では対応できないからと“三顧の礼”を受けて2011年にタイへの進出を決めた」。地理から人件費対応、もちろん言葉も分からない。すべてが未知数の初の海外進出だったという。
 現在は現地採用の社員が100人、日本人は実質1人の態勢でターボチャージャー用部品などの加工を行っている。「為替リスクが怖い。タイの仕事はタイで完結させ、国内は国内対応と切り分けている。日本で受注してタイで生産する方式はやらない」とタイ現法の受注先開拓が課題でもある。
 タイへの進出と同時期に、同業からの紹介で中小機構の担当者と知り合う。昨年は、ジェグテックへの掲載を始めたことで、多くの情報を得たという。そのひとつが今年5月に大阪で開催されたタイ大手自動車部品メーカーとの商談会への参加で、2社と商談した。
 「通常では会えない要人と直接会えるのはすごいこと。タイで再会することもでき、先行きのつながりが持てた」と話す。
 将来はタイを拠点としてアジア各地へ事業展開していく考えを持つ。「焦る必要もない。ジェグテックをツールに商談する機会を得て海外人脈を増やしていく。人とのつながりが後で必ず生きてくるはず」と、長期的な戦略を立てている。
 同社のジェグテック活用は、これまで名高専務が1人で対応していたが、担当者1人を任命し、メールチェックは当然のこと、サイト内の情報やお知らせを毎日、見逃さないようにしているという。「国内、海外を含め大手企業のニーズが増えてくれば、当社の得意分野へのヒット率が高くなるだろう。ただ、待つだけでなく情報発信や提案などを通し、攻めの展開を図る」と語る。

名高専務

加工した部品を背にする名高専務

 

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年12月1日発行 第1157号

 

<< 最初のページへ |123

中小機構関連ページ