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検証Webマッチング─J-GoodTech始動1年─【中】

 

 中小企業の優れた技術を埋もれさせず、大手企業のニーズと引き合わせる国内で初の取り組みが、中小機構が運営するマッチングサイト「J-GoodTech(ジェグテック)」だ。Webによる簡便なシステムを活用することにより、費用負担もなく取引先を見つけ出せるのが特徴。販路拡大を図りたい中小企業と、技術的な課題を解決したい大手企業の双方が、メリットを享受できる仕組みでもある。始動から1年。早くも多くのマッチング例を見ることができる。

掲載ヒット率の高さに驚く─フラスコ(愛媛県西条市)─

 愛媛県西条市で精密機械部品、省力機械などを製作するフラスコは、1973年の創業。当初は近隣にある世界的な大手家電メーカー向けに省力機械を供給していた。だが、頼りの工場は閉鎖され、知り合いの紹介で半導体製造装置の部品製造を始め、活路を見いだす。
 その後、真空関連機械部品も手掛け、最新鋭の設備を導入するとともに難削加工をやりとげる技術ノウハウを蓄えてきた。
 「削れないものはない。チタン、タングステンなど他社ではやりたがらない部品製造もウチなら対応する。切削技術は国内トップクラスだと自負する」と代表取締役社長の藤原弘一氏は強調する。難削加工を可能にする技術は、旋盤に取り付けるバイト(切削工具)の刃先を職人たちが工夫しながら作り上げているからできる技である。
 「高価な材料を無駄にする失敗を何度も繰り返してきた。その積み重ねが現在の技術力の源泉だ。難削加工を苦にしない職人たちの技術で、さまざまな製品を生み出している。技術力は絶対の自信がある」ともいう。
 現在、取引先からの発注は、試作部品の製造依頼が大半。量産化段階になると他社の海外工場に移るのが流れだ。単品製造とあって製品ごとの利益率は高いが、効率的な生産、品質管理などが遅れ、中小機構の専門家派遣を受けて生産体制を改善した。5年前のことだ。
 そこからのつながりで中小機構四国本部からジェグテックを紹介された。

刃先の紹介

バイトの刃先を工夫して、どんな難削加工も可能にする

 

半信半疑で掲載

 これまで県主催の展示会や東京で開催される専門展にも参加してきたが、これとは異なる手法に魅力を感じた。ただ、Web活用では、多くの専門サイトなどに技術情報をアップしており、ジェグテックも同様のものだと感じていたという。「効果は未知数だが、費用負担もないし大手企業が技術を探しに来てくれるという期待感もあった」というのが当初の感想。
 必要な情報を掲載した後に、大手総合電機メーカーの研究所からのニーズを受け、提案を送信した。その後に連絡があり、5月に大阪で開催された新価値創造展(主催・中小機構)で担当者と会い、図面を渡されて見積もりの依頼を受ける。
 この商談は結果として成約しなかったものの、同じ大手企業から別件の部品製造依頼があり、これは無事に納品している。「最初から大型商談は無理でしょう。確実に足掛かりができたのは大きな成果」だった。
 さらに、大手精密機械メーカーからも省力化自動機の製作の話が入る。これは18日から東京・有明で開催される「新価値創造展」で担当者と会い、具体化に向けた商談を行う予定になっている。
 現在の社員数は30人。試作部品の製造が中心で比較的、景気に左右されないが、発注先を増やして仕事量を確保していかなければならない。取引先に大手企業が多くあれば、技術力が認められた証明にもなる。それだけに営業ツールとしても使えるなどのメリットも大きい。
 藤原社長はジェグテックについて「これだけ商談につながるとは驚きだ。これからも大手企業のニーズに対しては積極的に提案をしていく」という。
 また、ジェグテックの海外向けの活用については、「インドに拠点を設立したこともあり、海外需要など勉強しながら検討していきたい」と今後の展開を語る。

藤原社長

「難易度の高い依頼は意地でもやり遂げる」
のがフラスコの姿勢という藤原社長

発注者の声

中小機構の介在が効果生む

 

リコー未来技術研究所エネルギー研究室
SBS開発グループリーダー
小名木 伸晃氏

小名木 伸晃氏

 2020年の製品化を目指し電池システムの開発に取り組んでいる。開発の初期段階では自分たちで必要なものを作れるので不自由なことはないが、開発の高度化につれ、機械系や部品類など自分たちでは、とても対応できない状況になる。もちろん社内を探せば対応できる部署はある。だが、すぐに人を回してもらうことは、なかなか難しい。
 結果として、製造できる会社を探すことになる。誰もが取り組むのは関係部署や人脈を使い、必要な技術をもつ会社を紹介してもらう伝統的な手法だ。ただ、これで求めている会社と巡り合えればいいが、そうでない場合は、時間と労力の無駄使いに終わる。開発にも支障が生じる事態さえある。
 どうすればいいのか困り始めていた時に、中小機構のジェグテックの話を聞いた。当初は、新しいことに手を出すことが面倒としか思えなかった。それでもニーズをサイトにあげ、提案のあった5社と会った。
 このうち求めている技術を持つのは2社。開発実績を重視して1社を選定し、2回目に会った時にNDA(秘密保持契約)を結んだ。仕様決めの際にも提案を受け、それを見て求める技術との差がないことを改めて実感。社内手続きを進め、このほど契約を締結することになった。
 ジェグテックを活用したことで、理想的な形でのマッチングができたのは嬉しい。時間の大幅短縮だけではなく、品質、発注コスト面でも大きなメリットを得ることができた。
 オープンイノベーションが浸透しつつあるが、まだ個人差がある。ただ、この成果もあり、今後は社内の他部署でもジェグテックが広がっていくと思う。
 中小機構が第三者となり、ニーズとシーズを結びつける役割を果たしているのは効果的だと思う。その中で感じることは、社内や人脈による紹介よりも、ジェグテックが持つ中小企業の情報量が桁違いに多いことだ。発注先をネットで探すような場合、検索しても、求める会社にたどり着くまで、非効率な作業が伴う。これはと思った会社もホームページだけの情報では、分かりにくい。この面からも探す努力が軽減できるジェグテックは利便性が高い。
 もうひとつ、現在は2段階でフィルターが設けられており、開発情報が広く伝わることはない。この段階がさらに増えると発注者側に安心感が出る。大手企業がさらにニーズを出せるような工夫も検討してほしい。
 ジェグテックが今後も安心で利便性の高いシステムとして、より発展していくことに期待したい。それが発注側、中小企業側ともに利益をもたらすと思うからだ。(談)

 

中小企業施策普及紙「中小企業振興」/平成27年11月15日発行 第1156号

 

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