クリニック経営をサポートするプラットフォーム構築を目指すベンチャー企業

2019年 3月 4日

カルー社ロゴ

インターネットが普及したのに、生活者が必要とする病院検索サイトがない。世の中にないなら自分が作ってみようと起業したカルー株式会社 代表取締役の具志 林太郎 氏に、起業の経緯、事業内容、今後の展望についてお話をお伺いしました。(2019年2月取材)

インタビュー

カルー株式会社 (2012年5月から2018年3月まで慶應藤沢イノベーションビレッジに入居)

代表取締役 具志 林太郎 氏

起業、会社のおいたち

学生時代から起業を考えていたのですか

代表者画像

慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)には学生時代に起業する方もいますが、私の場合は当時は起業など全く考えていませんでした。卒業後は外資系金融機関に入社し、生まれ育った神奈川県を離れて東京都で生活していましたが、結婚して1歳の子供に病院を探そうとした際にとても苦労したのです。そのころインターネットで検索しても病院情報はほとんどありませんでした。住まいを替えたら内科、外科、小児科・・・と一揃いの病院の心当たりが必要になります。そこで、病院についても「食べログ」のような口コミサイトがあったら役立つのではと考えたことが起業のきっかけになりました。

ただ、実際に起業したのは、外資系金融機関に5年間勤めて区切りをつけ退職してからです。とくに最後の1年間は、起業して成功しているSFC出身の先輩たちのような生き方をするのか、それとも金融機関で働き続けるのかをしっかり考えたうえで決断しました。妻は不安があったでしょうが、反対はされませんでした。SFCで同じサークル(NPO法人でのボランティア)の後輩だった松原(現CTO)と今村(現デザイナー)の3人で2010年3月に会社を立ち上げました。

事業の展開と現在

起業後のご苦労について教えてください

病院口コミ検索サイトカルー
インターネットの病院口コミ検索サイト「Caloo(カルー)」

我々が目指したビジネスは受託開発ではなく、サービスを提供することにより収益を上げるモデルでしたから、利用者がいなければ売上げにはつながりません。

まず、病院検索サイト完成まで半年かかりました。ここまでは覚悟していましたが、サイト完成後もアクセス数ゼロが続き、毎月の売上高が0円だったので最初は焦りました。よく考えてみると世の中に存在しないサイトを大海原にオープンしたようなものですから、アクセスがなくて当たり前ですね。そこでポスティングを実行してみたのですが、それでもアクセス数はゼロで全く効果がありませんでした。その後、徐々にアクセス数が増えて黒字化に転換することが出来ました。ちなみに、当初はクリニックや患者からはお金をいただかず広告収入で運営を始めました。

営業マンがいない5,6名の体制が4年間続きましたが、営業を採用するようになってから事業は拡大基調になり、事業の拡大に伴ってエンジニアを採用し、さらにアルバイトのスタッフがつくというサイクルが回るようになりました。現在では従業員は26名、アルバイトが16名の企業に成長することが出来ました。その内訳は、営業が16名、デザイナーが3名、残りはエンジニアです。現在は病院口コミ検索サイト「Caloo」と動物病院口コミサイト「Calooペット」を運営しています。

採用や組織運営で気を付けていることはありますか

世の中のベンチャー企業でありがちなのは、資金調達を行って優秀な経営層クラスを採用するというパターンですが、当社は資金調達しておらず株式公開のプレッシャーがありませんので、常に今いる従業員よりも若い人材を採用するようにしています。企業の成長速度は遅くなるかもしれませんが、着実に成長することが出来ます。というのも、先輩が後輩を育成してくれますし、責任感や愛社精神も生まれます。「部活カルチャー」とでも言いましょうか、ここには私の学生時代のサークル活動での経験が生かされています。

また採用する際には、会社のカルチャーとフィットする人材かという点を大事にしています。わが社が大事にしたいカルチャーは「誠実・真摯である」ということです。たとえば営業先では自社以外のサービスも顧客に提案することが多々あります。あくまで結果的にですが、営業経験者を採用したことはありません。「正しい在り方を追求する」、「長期的な関係を構築する」ということが、事業の拡大につながると信じています。

そして、これから

今後の展望をお聞かせください

集合画像

営業担当者を採用してクリニックへの訪問を増やした結果、色々な課題や新たなサービスの必要性に気づきました。世の中には医科約10万軒、歯科約6万軒、合計で約16万軒のクリニックがあります。このうちの約7割は、患者の獲得という点ではじつは困ってはいません。

課題は全く別のところにあります。一言で言うならば「院内マネジメント」です。そもそもクリニックの世界は、医師がオーナーであり、経営者であり、プレイヤーです。クリニック内では看護士の採用、新しい設備を導入するための業者との打合せ、税金関係の手続きに至るまで、多くの業務があり、医師はかなりの高負荷状態にあります。

たとえばコンビニや薬局はそれぞれ約6万軒程度といわれ、チェーン化が進んでいます。ところがクリニックは16万軒もあるのに、先生一人ひとりが苦労されているクリニックがじつに多いのです。私が考えているビジョンは、当社がクリニックの経営をサポートするプラットフォームになるということです。先生を支える存在でありたいと思います。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

学生時代には、慶應藤沢イノベーションビレッジの事を知りませんでした。起業してしばらくは自宅兼オフィスで仕事をしていたのですが、わが社に4番目に加わったメンバーが、慶應藤沢イノベーションビレッジで起業した経験があり、その存在を教えてくれました。

学生時代のサークルの先輩が慶應藤沢イノベーションビレッジで株式会社パンカクを起業しておられたので、CTOの松原と一緒に話を聞きに行きました。

入居しての変化

最初はSFCからエンジニアを採用できればと考えていましたが、結果的にはゼロでした。しかし、藤沢、辻堂エリアに拠点を構えたことで、通勤環境の厳しい東京で働くよりも地元で働きたいという人材を採用することが出来ました。

入居して良かったこと、将来の入居者へのメッセージ

湘南には、本当は地元で働きたいのに希望する職場がないと考えている人材が多くいることを知りました。藤沢市という立地は人材採用という面では競争力があります。

慶應藤沢イノベーションビレッジでは、事業の拡大に合わせて部屋を増やして拡充しやすい点が助かりました。また、様々な面で常駐のインキュベーションマネージャー(IM)がサポートしてくれるのも大変心強かったです。

会社情報

会社名
カルー株式会社 
代表取締役
具志 林太郎
所在地
東京都目黒区中目黒1-1-26(本社)
神奈川県藤沢市辻堂神台2-2-1 アイクロス湘南8E(ラボ)
事業概要
医療機関検索サイトの運営

会社略歴

2010年3月 東京都目黒区にてカルー株式会社を設立
2010年9月 病院口コミ検索サイト「Caloo」公開
2011年10月 動物病院口コミサイト「Calooペット」公開
2012年5月 神奈川県藤沢市の慶應湘南藤沢イノベーションビレッジにラボを開設
2018年3月 神奈川県藤沢市のアイクロス湘南にラボを移転

サービス紹介

クリニック経営サポート

カルー株式会社が提供する「事務長代行サービス」は、事務長のいないクリニックに対し、増患(患者数を増やす)対策、レセプト(明細書)分析、マーケティング、スタッフ管理などの経営業務を代行し、院長の経営課題をサポートしています。

担当マネージャーからのコメント

中井氏画像

カルー株式会社は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の卒業生がチーム組成し、慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)を拠点として成長された後、藤沢市内に定着したベンチャー企業です。今や40人を超える雇用を藤沢市に創出され、地域貢献度も高い理想的な創業スタイルを実践しておられます。

今後は、SFC-IVや湘南産業振興財団とのコラボレーションで、藤沢市の創業機運醸成事業にも参画していただくことを予定しており、共に地域のベンチャー支援に貢献していく大事なパートナーです。

慶應藤沢イノベーションビレッジ
チーフインキュベーションマネージャー 中井 彰人

インキュベーション施設

慶應藤沢イノベーションビレッジ