多様な元素によるナノ粒子の微細構造制御技術で社会課題を解決するハイテク・スタートアップ

2018年 10月 5日

製品技術写真

化粧品、電池、バイオ、そしてロケットまで、あらゆる産業に素材からアプローチし、これまでの「不可能」を「可能」にすることを目指す株式会社ケミカルゲート。今般、代表取締役・工学博士 曽我弘氏に、起業の経緯、事業内容、今後の展望についてお話をお伺いしました。(2018年8月取材)

インタビュー

お話:代表取締役・工学博士 曽我 弘 氏

起業、会社のおいたち

起業の経緯について教えてください

CEO顔写真

最初は現取締役・博士(工学)の山田とその他のメンバー2名が、2014年の秋に「NEDO・スタートアップイノベーター(SUI)支援事業」に採択されたことがきっかけでした。この3名が創業メンバーとなり2015年3月3日に株式会社ケミカルゲートを設立しました。その時にNEDOのメンターを務めていたのが、私(曽我、現代表取締役・工学博士)と顧問・工学博士の安友でした。この事業では1億円の出資を受けて、2年間で目標を達成するというものでした。しかし、2016年10月にNEDOの支援事業が終了する段階で目標を達成することができずに創業メンバーは退社し、残った山田が2016年12月に代表取締役に就任します。

NEDOの支援事業の採択率は約30倍という狭き門で、取り組んでいたテーマが非常に社会的意義のあるものでしたので、「このまま終わるのは惜しい」という思いで、私と安友も経営に参加することになりました。新生ケミカルゲートのスタートです。

事業の展開と現在

ナノ粒子の微細構造制御技術で何を実現しようとしているのですか

まず、当社のナノ粒子に関する技術の特徴は、ナノ粒子の原料として利用できる元素が非常に豊富(周期律表の103分の62原子)であるという点です。さらに様々な原料(物性が均一な粉体)の化学組成を組み合わせて複合化し、粒径や形状を精密に制御することで市場・顧客が要求する多種多様な機能・性能を実現することができるということが最大の特徴です。粒径は30nmから3,000nm(3μm)、形状については中実構造(中が詰まった球状粒子)、中空構造、その他ポーラス構造などの酸化物、複合酸化物、金属のナノ粒子を市場・顧客に提供することが可能です。

しかし、我々はスタートアップですので、潤沢に資金があるわけではありません。そこで最も有望で社会的意義が大きい市場を定めました。それが歯科分野です。近年の医学により高齢者にとっての奥歯の重要性が明らかになってきました。奥歯がなくなると転倒リスクが高まること、そして噛む力が弱まることで脳への刺激が減るので認知症リスクが高まるというものです。今でも奥歯の歯科材料は存在するのですが、1本10万円以上で保険が効かない自由診療という高額な治療になるために誰でもが受けられる環境にないという問題があります。我々は非常に頑丈な奥歯を現状の価格帯より数段安くするナノ粒子と製法を開発しています。今は大手企業と共同研究契約を締結し、強度の信頼性を高める段階まで来ています。原料は既に薬事承認を受けている化学組成なので、新たな薬事承認は必要ありません。死の谷を早期に脱出できる分野を選定しました。

これまでのご苦労を聞かせてください

一番は資金調達です。我々はスモール・ベンチャーになるつもりはありません。リスクを取ってでもJカーブで大きく成長するハイテク・スタートアップを目指しています。そのためには開発段階で多くの資金を必要とします。2017年にベンチャーキャピタルから1億円の出資を受けることができました。この時に「曽我さん、最後まで逃げないでくださいね。」と念を押され、2017年11月に私が代表取締役に就任しました。2018年1月に名古屋医工連携インキュベータ(NALIC)に拠点を構え、日本政策金融公庫からも資本制ローン4,000万円を受けて、新生ケミカルゲートの本格的な活動がスタートしました。

そして、これから

今後の展望をお聞かせください

メンバー写真

まずは、歯科材料分野の事業化を早期に目指します。これとは別に市場性のある新たな分野で名古屋大学と共同研究契約を締結することができました。非常に機密性が高い分野なので詳細をお話しできないのが残念なのですが、これまでの技術では超えられなかった壁をわが社の技術で突破できそうです。

ナノ粒子分野の量産化に向けて製造技術を任せることができるエンジニアと顧客候補を訪問し課題を発掘・市場調査を任せられるマーケティング要員を求めています。我々のビジョンに共感してくれる方は是非参画してみませんか。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

2017年までは福井大学の研究室を借りて活動をしてきましたが、教授が退官されることになったので新たな拠点を求めていました。私が横浜、山田が福井、安友が名古屋なので、候補地探しをしていました。愛知県にはセラミック関連の大企業や研究機関が集積していることと、目指す分野が歯科材料であったのでNALICに決めました。

入居しての変化

今までは集まることが大変でしたので、皆が一つの拠点に集結できて良かったです。ここは名古屋大学、名古屋工業大学が近く、共同研究を進めるにも便利です。また、大学の実験装置・評価装置を利用することができるので、スタートアップにとっては最適な場所です。

入居して良かったこと、将来の入居者へのメッセージ

常駐のインキュベーションマネジャー(IM)が助成金、展示会、連携先などを微に入り細に入りサポートしてくれます。地の利も良く研究開発環境として素晴らしいと思います。

会社情報

会社名
株式会社ケミカルゲート 
代表取締役
・工学博士
曽我 弘
所在地
愛知県名古屋市千種区千種2-22-8
名古屋医工連携インキュベータ 210
事業概要
革新的ナノ粒子の製造販売事業

会社略歴

2014年10月 NEDO・スタートアップイノベーター(SUI)支援事業に採択
2015年3月 株式会社ケミカルゲート設立
2016年8月 イノベーション・ジャパン2016に出展及びプレゼン発表
2016年10月 イノベーションリーダーズサミット2016に出展及びプレゼン発表
2017年4月 福井大学から「ナノ粒子高速製造」の特許(第5413898号)を取得
2017年8月 イノベ—ジョン・ジャパン2017に出展及びプレゼン発表
2017年10月 イノベーションリーダーズサミット2017に出展及びプレゼン発表
TOP20ベンチャーピッチに選ばれ、登壇
2017年12月 インデペンデンツクラブ(福井開催)にて事業計画発表
2017年12月 ベンチャーキャピタルより出資を受ける
2018年1月 名古屋医工連携インキュベータ入居
2018年8月 日本政策金融公庫・資本性ローンによる資金調達を実施
2018年9月 NEDO・企業間連携スタートアップに対する事業化支援(SCA)に採択

製品紹介

革新的ナノ粒子

革新的ナノ粒子写真

我々の製品は、コア技術であるナノ粒子製造プラットフォームによる革新的ナノ粒子です。革新的ナノ粒子とは、他社では実現し得ない球状、且つ化学組成や微構造がナノレベルで均質な粒子のことです。また、粒径及び粒径分布も制御可能であり、これらの特徴ゆえに、様々なアプリケーションに革新をもたらすことができます。

担当マネージャーからのコメント

顔写真

同社が誇る「ナノ技術」は、化粧品、電池、バイオ、ロケットに至るまでのあらゆる産業に素材からアプローチし、これまでの「不可能」を「可能」に変える可能性があるものです。一方、曽我社長は大企業を定年退職後にシリコンバレーに渡って起業、その後、アップル社への会社売却も経験された起業家で、そのノウハウを当社にも活かして大きな飛躍が期待されます。IM室でも更なる成長をサポートしていきます。

名古屋医工連携インキュベータ(NALIC)
チーフインキュベーションマネージャー 石黒 裕康

インキュベーション施設

名古屋医工連携インキュベータ