東北大学等と連携し、東北発・大学発ベンチャーの創出を促進するビジネスインキュベーション施設

2018年 3月 23日

東北大学連携ビジネスインキュベータ外観
東北大学連携ビジネスインキュベータ外観

「東北大学連携ビジネスインキュベータ」は、東北大学を中心に大学の研究シーズを活用し、その事業化・ビジネス化を図るための事業用貸室を提供し、相互研鑽/産学連携推進/経営サポート等によって、東北発・大学発のベンチャー創出や、ビジネス展開を促進する大学連携型ビジネスインキュベーション施設。(2017年12月取材)

インキュベータ概要

東北大学連携ビジネスインキュベータの概要

東北大学連携ビジネスインキュベータ(以下、「T-Biz(ティービズ)」)は、東北大学等の研究シーズに基づく起業・新事業展開、大学と連携して地域の新事業展開を促進することを目的に東北大学青葉山キャンパス内に整備した大学連携型のインキュベーション施設であり、東北大学が世界的にも競争力を持つ金属材料・ナノメカニクス・情報通信・環境エコシステム・バイオデザイン分野等の企業が多数入居する。

東北経済産業局、宮城県、仙台市、東北大学などの各機関が、産学官連携で研究開発から事業化までの取組みを一貫して支援する体制を構築しているが、大学発・地域発の優れた新技術の開発や製品化の促進、ベンチャー企業・新産業の創出によって、東北経済の活性化と社会貢献に積極的に寄与しようと取り組んでおり、T-Bizもその一翼を担っている。

ロケーションとしては、東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)に隣接しており、産学連携・共同研究に関する相談が気軽に出来る環境にある。また2015年12月に仙台市地下鉄東西線が開通し、最寄りの青葉山駅から徒歩2分と利便性が大きく向上した。

特徴的な支援活動内容

インキュベーションマネージャー(IM)の活動状況

情報通信機器メーカー出身の工藤IMは、多機能モジュール開発、光多重通信装置開発、海外大学ICT研究所での次世代通信ネットワークシステム構築研究や、システム構築に関わる事業企画本部での実務経験を持ち、その経験と知見を活かしてT-Biz入居企業の事業化支援や、大手企業・商社等への販路開拓、助成金や各種資金調達支援等を行っている。

Bio Tech2017出展の様子
Bio Tech2017出展の様子

T-Bizの特徴としては、東北大学を中心とした大学発ベンチャー企業の入居数が約80%を超えており、各社が保有する先端技術を利活用したターゲット市場への参入を迅速に進めてゆく中で、広く自社を市場に知っていただく為の広報活動が必要不可欠になっている。このため、ベンチャーピッチイベントへの参画支援や、大企業やベンチャーキャピタル(VC)との商談機会の創出、各種展示会への出展支援などを実施し、更に事業化を加速するために、県内や近県の工業会組織との連携を利用した地場企業との製造協業など相互ビジネスマッチングなどに関しても包含的な支援を広く実施中。

なおT-Bizには有望な企業が多数入居しており、入居企業・卒業企業の一部を以下に紹介することとしたい。

主な入居企業の概要(順不同)

株式会社マテリアル・コンセプト

株式会社マテリアル・コンセプト
株式会社マテリアル・コンセプト

株式会社マテリアル・コンセプトは太陽光発電用太陽電池セルに使用されている銀ペーストや電子デバイスの基板配線などを、価格が100分の1程度となる銅ペーストを利用することで太陽電池基板の大幅なコストカット実現を可能する技術開発を行っている。太陽電池への銅の利用には焼成時の酸化による抵抗値の上昇等の様々な課題があり実用化が困難とされていたが、東北大学小池教授が世界に先駆けて開発した技術により実用化の道が開けた。産業革新機構からの出資なども得て、国の研究機関や、メーカーでの高品質・高信頼性テスト等が続けられている。

エーアイシルク株式会社

エーアイシルク株式会社
エーアイシルク株式会社

通常は電気を通さないシルクを精錬し高分子化合物を染料の技法でシルク繊維に化学重合させることにより導電性を持たせる技術で、装着時の不快感や皮膚・生体内での炎症、発汗などによる計測不良など従来の医療用電極が抱えていた課題・リスクを低減させることに成功。このフレキシブルシルク電極の製造・販売及び周辺機器の開発をウェアラブルIoT事業検討企業や移動体事業企業向けにエーアイシルク株式会社が手がけている。

ボールウェーブ株式会社

ボールウェーブ株式会社
ボールウェーブ株式会社

東北大学ベンチャーパートナーズ社より投資を受けたボールウェーブ株式会社は小型、高速、高感度なボールSAWセンサーを利用した高精度の微量水分計や水素センサー、手のひらサイズのガスクロマトグラフィの開発・製品化を行っている。2017年9月に仙台で開催されたFalling Walls Venture Sendai 2017において1位に選ばれ、11月にベルリンで開催されたthe Falling Walls science Start-Up of the Year Awardにアジア地区代表として参加。今年度の参加国は、EU圏を中心に14か国・26社であり、こうした場を機会にEU圏企業との商談を開始している。

株式会社C&A

株式会社C&A
株式会社C&A

株式会社C&Aは大学発ベンチャー表彰2015にて経済産業大臣賞を受賞。シンチレータ単結晶、圧電単結晶、デバイスの開発・販売、結晶ビジネスのコンサルティング等を手がける。工場を持たないファブレスメーカーとして、東北大学で開発した結晶などの材料をもとに自社で量産技術を確立し、地域で製造先企業を探して委託することで、地域企業が新事業に取り組むことを促進することにも貢献するコネクターハブ企業として東北地域経済の活性化に寄与している。

主な卒業企業の概要

株式会社TESS

足こぎ車いす「cogy」
足こぎ車いす「cogy」

株式会社TESSは、脊髄の反射を利用し麻痺などの障害で歩行が困難な方でも、少しでも足を動かすことができるなら自分の足で漕ぐことができる車いすを開発・販売している。社長の鈴木氏はJapan Venture Awards 2014において経済産業大臣賞を受賞。また足こぎ車いす「COGY」はACC TOKYO CREATIVITY AWARDSのクリエイティブイノベーション部門でグランプリ(総務大臣賞)を受賞するなど、注目を集めている。

株式会社エーゼット

鮮度保存シート「ポレハクリーン」
鮮度保存シート「ポレハクリーン」

カメラ店から独立創業後、医療機器、洗浄機器、鮮度保存シートの各分野へ第二創業を推進する株式会社エーゼットは東北大学と連携した電解水を用いた内視鏡洗浄用消毒装置なども開発。抗酸化機能による鮮度保存シート(ポレハ)事業に関しては2015年に中国・南京に工場を新設し、中国での製造・販売も行っている。

これからのインキュベータ

東北大学と連携し起業家支援を充実

東北大学との間で2017年2月に組織的連携協定を締結し、アントレプレナーシップ醸成のための様々な取り組みやイベントを企画。学生や研究者を対象とした起業支援セミナーなどを東北大学や地域企業と連携して実施・企画を進めている。
施設開設10周年を迎えた2017年10月には、東北大学がT-Biz内に「東北大学スタートアップガレージ」を開設。起業相談や立ち上げ支援、ピッチイベントのほか、起業塾・スクールも開催し、2030年までに東北大学発ベンチャーを100社にする目標に一体的に取り組んでいく。

支援スタッフ一同
支援スタッフ一同

グローバル市場の動向(ニーズ)及び大学が有するシーズに対する俯瞰的観点から、AIやIoT化への潮流がみえてきており、T-Bizとしては総合的な視点で産学官での連携体制の構築や、入居企業に対する情報提供などをこれからも推進してゆく。