生まれ故郷で事業を起こす!二人三脚で始めた北海道発ベンチャー

2016年 10月 1日

株式会社LINISE

秋鮭由来の機能性素材「プロテオグリカン」でアンチエイジングに挑む、株式会社リナイスの代表取締役 中野氏に、会社の設立から現状ならびに今後の展望についてお話を伺いました。(2016年9月取材)

インタビュー

お話:代表取締役 中野 英春 氏

起業、会社のおいたち

起業の動機についてお聞かせください

代表取締役 中野 英春 氏

私も共同代表の鳴海もそれぞれ民間企業で10年以上働き生まれ故郷の北海道に戻ってきました。二人は経済産業省の地域資源活用型研究開発事業のプロジェクトマネジャー、研究員として出会い、その後バイオ系の民間企業の役員として立ち上げに関わりました。この時からすでに鮭の鼻軟骨から採取できるプロテオグリカンの効果に着目していましたが、工場の立ち上げを優先して出口戦略が無かったので事業としては上手くいきませんでした。当然、収益が得られなければ企業としての存続は厳しく、苦しい選択でしたが解散することになってしまいました。しかし、二人とも生まれ故郷である北海道で地域資源を活用して事業を興すという夢は捨てられず再起しようと誓い、2011年に(株)リナイスを設立しました。ちなみに、LINISEは「LINER」と「RISE」の造語です。一度ベンチャー企業の立上げに失敗しているので、一直線に上昇したいという思いを込めました。

プロテオグリカンにはどのような特性がありますか?

秋になると鮭は生まれ故郷の川に遡上してくるわけですが、臭覚を頼りに生まれた場所を目指す鮭の秘められた力に着目しました。超高齢化社会に突入し、「予防医療」、「健康寿命」に関心が高まってきている昨今、プロテオグリカンは膝関節痛を和らげる効果や保湿などアンチエイジング訴求成分として需要が高まってきています。我々は鮭の鼻軟骨からプロテオグリカン、II型コラーゲンを抽出・精製して化粧品メーカー・食品メーカーに原材料を供給しています。

事業の展開と現在

猛スピードで事業を立ち上げたので御苦労も多かったのでは?

工場の様子
工場の様子

共同代表の2名でスタートした後、設立から5年間で従業員は正社員5名、パート3名に増えました。事業も順調に成長してきましたが、ここに至るまでは苦労の連続でした。2011年1月に会社設立、実験ラボを設置して、6月には北海道中小企業応援ファンド助成金採択を受け実証実験開始と特許出願、9月には化粧品製造販売業許認可、そして2012年2月に量産プラント稼働開始とわずか1年間で事業を立ち上げてきました。製造プラントは中古装置を購入して自分たちでエンジニアリングとチューニングを行ってきました。もちろん、長万部での原料調達や貸工場探し、さらには事業計画立案・資金調達など様々な方々の御協力が無ければここまでは到底到達できなかったと大変感謝しております。

また出口が見つからなければ事業は成功しないという苦い経験から、少量サンプルしか提供できない時期に同時並行で量産プラントの準備を行い、取引先には「量産可能です」と交渉するなど戦略的に販路開拓に力を注ぎました。お陰様で現在では商品企画が出来る代理店数社と提携して事業を展開し、即断即決していただけるオーナー経営者を中心にお取引きしてまいりました。健康関連ビジネスでは信用が大事だと考えて、顔が見える取引先への販売を心掛けてきました。原料の効果を出すためには正しい配合が必要になりますが、商社を活用して原料を大量に販売しようとすると、加工メーカーで正しい配合が行われているかどうかが見えなくなってしまいます。このように最終商品の品質にも配慮してきました。

そして、これから

今後の展望についてお聞かせください

これまで苦労は多かったものの順調に成長することができたと思います。しかし、まだ成功したとは思っていません。今後は、アメリカ市場も目指したいです。そのためにはGMP(Good Manufacturing Practice)の取得が重要になります。外部の専門家のアドバイスを受けながら準備を進めています。人材の確保も重要になります。人材を確保しやすい地域へ製造工程の一部を移すことも今後検討しなくてはならないと思っています。

将来的にはIPOも視野に入れたいと思っています。そのためには科学的なエビデンスに基づいた素材を市場に提供し、さらにその素材の定量分析技術(最終製品にどれだけその機能性素材が配合されているか定量する技術)を確立することも私たちの使命と考え、ここ北大ビジネス・スプリング(北大BS)で第3者分析機関である日本冷凍食品検査協会とも連携し研究開発に取り組んでいます。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

これまでも北大BS近傍に立地する支援機関の道総研(地方独立行政法人北海道立総合研究機構)やノーステック財団(公益財団法人北海道科学技術総合振興センター)とは交流がありましたし、北大BSがオープンした時から「いつかは北大BSに入居したい」と考えていました。

入居しての変化

入居して5ヶ月ですが、取引先の我々に対するイメージが変わりました。公的機関の施設に入居していることから信用度が上がったと思います。様々な情報提供もありがたいと思っています。

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

情報提供や施策の紹介等をワンストップで聞けるし、企業ヒアリングの際にはアドバイスもしていただき本当に助かっています。入居企業の方々も連携できそうな企業が多く、今後積極的に連携していきたいと考えています。すべてを自社単独で進めるよりも連携した方が良いことも多々あると考えています。

会社情報

会社名
株式会社リナイス 
代表取締役
中野 英春 鳴海 正樹
事業概要
食品原料・化粧品原料の製造及び健康食品・化粧品の企画・受託製造等

会社略歴

2011年1月 会社設立 実験ラボ設置
2011年6月 北海道中小企業応援ファンド助成金採択(実証実験開始)
2011年6月 機能性物質の製造方法および生産装置に関する特許出願(3件)
2012年2月 量産プラント稼動開始
2012年8月 増資(札幌元気チャレンジファンド)
2014年2月 北海道チャレンジ企業(創業部門)認定
2015年3月 北海道経済産業局顕彰受賞
2015年6月 北洋イノベーションファンドによる増資
2015年12月 特許取得「特許第5847975号」
2016年3月 北大ビジネス・スプリング入居

製品紹介

SCPサプリメント

SCPサプリメント

鮭由来の機能性成分「非変性プロテオグリカン」と「非変性II型コラーゲン」を配合した SCP(Salmon(鮭)-Collagen(コラーゲン)-Proteoglycan(プロテオグリカン)) サプリメント。

担当マネージャーからのコメント

チーフインキュベーションマネージャー 佐々木 身智子

北海道には、豊かな天然資源が存在し、当施設にも北海道産機能性素材を活用したビジネスを進めている企業が多く入居されています。

その中でも株式会社リナイスは、技術力のみならずマーケティングにも積極的に取組まれており、事業拡大に伴って工場設立や原料確保について相談を受けているところです。今後、企業の仕組みづくりも重要になってきますので、積極的に支援させていただきたいと思います。他の入居企業に刺激を与えて頂けることを期待しています。

北大ビジネス・スプリング
チーフIM(インキュベーションマネージャー)佐々木 身智子

インキュベーション施設

北大ビジネス・スプリング