半導体業界に新たなビジネスモデルで挑戦するファブレス型ベンチャー企業

2015年 4月 1日

製品画像

日本の半導体製造各社を信頼とネットワークで結ぶことで、液晶パネル表示用電子部品の競争力のあるファブレスメーカーとして事業を行う設立2年目のベンチャー企業「リボンディスプレイジャパン株式会社」代表取締役の須山 透氏にお話をうかがいました。

インタビュー

お話:代表取締役 須山 透 氏

起業、会社のおいたち

なぜ起業しようと思ったのでしょうか

代表取締役 須山 透 氏

われわれが開発している製品は液晶ドライバーという「液晶を駆動させるための半導体」です。シリコンウェハー上のチップを切りだしフィルム上に実装して製品化します。私は大手半導体・液晶パネルメーカーで液晶ドライバーの設計と事業開発を担当してきました。TV、PC、タブレット、スマートフォン向け液晶ドライバーの市場は約7000億円あるのですが、日本、韓国、台湾、中国の企業が激しい競争を繰り広げています。液晶ドライバーというのは薄利多売の事業構造で、激しい価格競争とリーマンショック後の為替高に追随できずに事業は赤字に転落し継続することが困難になりました。敗因の一つに日本は個々の企業が頑張っていましたが1つにはなれていなかったという点があります。一方、海外勢はというと韓国は韓国、台湾は台湾でまとまって戦っているという印象がありました。2014年、私は日本国内で液晶ドライバー事業を復活させるために前職を退職し起業することを決めました。

社名の「リボン」には「REBORN(再生・復活)」の意味が込められているそうですね

日本の半導体製造業は、海外勢に負けない強みがたくさんあります。この市場で勝負するためには価格、技術、品質、継続性が重要になります。日本は技術力や品質では海外勢に負けていませんが、価格競争を避けてきました。ところが日本国内のサプライヤーを見てみると厳しい価格競争の中でもしっかり経営されている企業がある。我々がファブレス企業として、これらのサプライヤー企業と連携することで価格競争をしても立派に戦える企業グループを形成できると考えました。社名に付けられた「リボン」には企業をリボンで結ぶ、半導体製造業を日本で復活「Reborn」させるという意味が込められています。

事業の展開と現在

急成長されていますね

当初の事業計画を上回る速度で成長しています。お陰様で多くの方に協力をしていただいた結果であると感謝しております。Win-Winの関係を構築できている点が重要だと考えています。日本の液晶パネルメーカーも低価格な液晶ドライバーを必要としていますので全面的に協力していただいています。技術的な面でも協力していただいており、多くの品種を早く、多く、垂直立上げできる点が我が社の強みです。7000億円の市場の中でTV向けが1500億円、その中で日本は100億円市場です。この市場を第一優先で確立していきます。最も価格競争が激しいTV市場で競争に勝ち抜くことで市場の評価が変わりました。

現在は、このビジネスモデルで価格、技術、品質、継続性の面で海外勢と十分戦えるということを証明している最中です。ここでビジネスモデルと呼んでいるのは、1.ファブレスにすることでコストを抑え、迅速に対応できる経営、2.国内の製造会社をグルーピング、3.大企業が開発してきた技術をフル活用するという点です。日本には日本にあった技術立国の姿があると信じています。我々はそのモデル企業でありたいと考えています。

これまでに御苦労されたことはありますか

社名の意味

現行のディスプレイは、白色LEDバックライトとRGBカラーフィルターで色を再現しているのですが、われわれが開発した赤と緑の量子ドットと青色LEDの組み合わせは、液晶ディスプレイの理想に近いバックライト光源が実現できるため、現行の白色LEDと比べて色域と色再現性を格段に高くすることが可能です。現在、多くの企業から引き合いがあり、それらの期待に応えられるよう奮闘しています。また、多く皆様に応援していただき量産工場を建設中です。

そして、これから

2018年に株式公開を目指しているそうですね

このまま順調に進めば3年後には売上高100億円を突破できそうです。そこまでは従業員を大幅に増やすことなく達成します。しかし、われわれは安いものを売り続けたいわけではありません。100億円に到達した後は、今の事業領域でさらに拡大を目指すのか、高収益事業にシフトするのか、見極めが必要だと考えています。

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

最初はインキュベーションのことは知りませんでした。ある企業の一角をお借りするつもりでしたが、その企業の社長から京大桂ベンチャープラザを御紹介いただきました。入居後に企業を設立しました。

入居しての変化

会社の設立やビジネスの進め方、資金調達など様々な面で支援を受けることができました。入居企業の方との交流で刺激を受けることもたくさんあります。

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

京大桂ベンチャープラザに入居して良かったことはいろいろあります。中小機構が行う資金調達イベントに参加したことで資金調達も出来ました。一番良かったことは様々な情報を提供していただいたことで、経営の意思決定において選択肢の幅が広がった点です。これから起業する方はだまされたと思って入居してみたらよいと思います。決して後悔することはないと思います。

会社情報

会社名
リボンディスプレイジャパン株式会社 
代表取締役
須山 透
事業概要
液晶ドライバ製品の企画、開発、販売、コンサルティング等

会社略歴

2014年8月 リボンディスプレイジャパン株式会社設立
2014年9月 京大桂ベンチャープラザ入居
2014年11月 資金調達イベント「ベンチャープラザ近畿」に参加
2014年12月 次世代液晶パネル駆動モジュールの開発開始
2015年3月 京都市ベンチャー企業目利き委員会Aランク認定

製品紹介

液晶ドライバ「RDJG240P」

液晶ドライバ「RDJG240P」

業界初の垂直統合継承型ファブレスメーカーとして、大型TV等の液晶パネルの表示データを書き込む機能を司る液晶ドライバの企画、営業、設計、販売を行っている。半導体業界出身の経営陣のノウハウとネットワークを活用し、撤退大手の技術資産の譲渡、製造中小メーカーのグルーピングを行うことで、海外メーカーに負けない技術と価格を実現している。

担当マネージャーからのコメント

同社は、お金も場所もないけれど、液晶ドライバーを日本に残すという使命感で、思いを共有する同僚、企業グループの協力を得て起業されました。大手企業を退職して起業された方を数多く見て来ましたが回りの人々が応援したくなるような稀な社長です。社長が動けば道が開けるようなカリスマ性も感じます。昨今この関連業界は激動期ですが、乗り越えて行けるようサポートしていきたいと思います。

京大桂ベンチャープラザ
チーフIM(インキュベーションマネージャー)原田 易典

インキュベーション施設

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