IM次田の独り言コーナー

平成29年11月

  売上拡大の話 3.
 
  2.で指摘したように売上高を構成する定量的な要素は6つあり、夫々の要素ごとに売上拡大方法を例示したい。1.新規客を増やす→セールスマン等によるプッシュ戦略、広告等のプル戦略、新用途の開発、チャネル戦略の変更や代理店制度導入、新拠点進出等。2.流失客を減らす→固定客化、徹底した顧客把握、継続的な業務改善や差異化等。3.既存客の購買回数をあげる→商品・サービス等の進化、顧客利用機会の増大策展開、顧客囲い込み策の展開、購買サイクルの把握等。4.製品単価をあげる→1次品質(ハード面、機能面)、2次品質(ソフト面、使い方)、3次品質(ブランド、イメージ面)の向上やコストパフォーマンス・商品価値の向上、高単価品への誘導等。
5.1アイテム当りの個数を増やす→値下げや販売促進、クーポン添付等によるまとめ買いへの誘導。6.アイテム数を増やす→セット販売・関連販売、生活・使用シーン別の提案、買い忘れを防止する重複展示や陳列等。ちなみに1.から6.まで全て10%ずつアップすると売上高は1.6倍に、20%ずつアップすれば2.5倍になるが、現実的には1.〜6.の全てをアップすることはほぼ不可能である。
 

平成29年10月

 売上拡大の話 2.
 
 中小企業経営者の悩みは次の3つに集約できる。1.売上が伸びない。2.社員が育たない。3.運転資金が不足。要はヒト・モノ・カネの各側面で課題を抱えている。今回は売上高の構造について解説したい。
 顧客の視点で売上高をみれば「売上高=客単価×客数」で示すことができる。一般に客単価は好景気の時には高くなり景気低迷時には低くなる傾向にある。次に客数は「既存客+新規客−流失客」で表せる。ゆえに客数を増加させるには、1.既存客の購買回数・頻度をあげる。2.新規客を増やす。3.流失客を減らす。の3つの方法が考えられる。
 次に製品の視点で売上高をみれば「売上高=製品単価×個数×アイテム数」で示される。客単価と同様、製品単価も景気に影響を受けやすいが、製品単価の向上には多くの企業が景気に関係なく知恵を絞って取り組んでいる。ちなみに個数の増大には限界があるが、アイテム数増大は売上高増大に直接的に繋がりやすい。特に消費財メーカーや流通業の場合は製品単価とアイテム数の2つの視点で売上高増大を図っているケースが多く見受けられる。
 

平成29年9月

  売上拡大の話 1.
今回から7回シリーズで売上拡大に関する話をしたい。まずは中小企業の現状から話を進めたい。経済センサスによると下記のようにここ15年で中小企業数で約21%、小規模企業数(製造業社員20人以下、商業・サービス業5人以下の企業)の場合で23%減少している。
この減少の多くの要因は「経営者の高齢化」「業績不振」「後継者不在」の3つである。
ちなみに帝国データバンクの「2016年全国社長分析」の資料によると、1990年54.0歳であった社長の平均年齢は2015年には59.2歳と高齢化の傾向にあることが確認できる。
またここ数年「全国の倒産件数」は1万社前後、廃業・解散件数は2.7万〜3万社あることが下記の東京商工リサーチのデータから確認できる。この件数の要因も「業績不振」「高齢化」にあり、中小企業・小規模企業にとって業績不振からの脱出→売上拡大は深刻な経営課題であることが理解できる。

■経済センサス 中小企業数の推移 (単位 万社)

  1999年 2009年 2014年
中小企業総数 483.7 420.1 380.9
内小規模企業数 422.9 366.5 325.2

 

■休廃業・解散、倒産数  東京商工リサーチ

  倒産 廃業解散
2013年 10,855 29,047
2014年 9,791 27,167
2015年 8,812 27,341

平成29年8月

  事業計画書 5.
 
 事業計画書の最終回では良い計画書の条件に関して解説したい。誰にとっての良い計画書で条件は異なるが、社内・社外の方共通の条件について言及したい。第一の条件は簡潔明瞭なサマリー(要約)がある計画書といえよう。事業の背景や概要、市場の状況や差別化ポイント等全ての項目にサマリー(要約書)がある計画書が良い計画書と考える。極論すれば事業全体をA41枚にまとめられる事業計画、もしくは口頭で1分位で説明できる計画が良い計画の条件といえる。「腹におちた計画」であれば、A41枚とか1分トークで説明できるハズである。説得力のある良いサマリーが第一の条件である点を強調しておきたい。第2の条件は活動計画(アクションプラン)・実行計画が明確になっている計画書になろう。1ヵ月後に何に着手するのか、半年後には何の対策を講じるとかいった、何と時期・期間、担当部署・責任者の3つが明確になっていないと計画書として説得力に欠ける。目標・戦略を具体的な行動レベルにまで落とし込んでいない計画は片手落ちになろう。
  大きくはこの2つになるが、ファクト(市場動向やライバルの実態等の事実)をベースとした計画である点も指摘しておきたい。仮説ベースでは実現性・具体性に欠けるし、環境変化への対応力にも大きな問題がある。
 

平成29年7月

  事業計画書 4.
 
 今回は活動計画〔アクションプラン〕に関して解説したい。売上高や利益等の数値計画を実現させるための日々の活動〔具体例として新規開拓や新製品開発等〕の実施内容や時期・期間等を明確化したものを「活動計画=アクションプラン」と定義したい。そして一般的にはガントチャート方式で示されることが多い。
 ガントチャートで示される項目は大きくは3つ。まずは「具体的な活動、実施内容」である。新規開拓を例にとれば、情報収集、見込み客リスト作成、アプローチ方法の選択、アプローチ実施、面談準備、面談実施、結果集計、等が具体的な実施内容となる。次に「実施時期とその期間」、そして「担当責任者・部署」の3つである。前例でいえば、新規開拓という目標を達成するための具体的なアクション〔活動〕を洗い出しリストアップする「実施内容」がまずはポイントになるが、そのアクションをどのような順序で行うかの優先順位付けも重要となる。これらが決まった後に「実施時期と期間」「担当責任者・部署」を決定することで、活動計画はフィックスされることになる。
 

平成29年6月

事業計画書 3.
 
 2.では事業計画の必要性について整理したが、今回は計画を立案することによる効果に関して言及したい。2.ではビジネスパーソンにとって必須の問題意識・目標意識の定着に経営計画は有効に機能することを指摘したが、経営計画には「自社の経営を客観的に分析・評価できる」効果もある。一般的には内部環境〔自社の経営資源等〕と外部環境〔取引先や競合先等〕の分析によって客観的な経営計画の立案が行われることになる。中には経営トップの一方的な願望が経営計画に色濃く反映されたものもあるが、この客観性がないと社員等の第三者には受け入れられない。
 ちなみに経営計画というと売上高や利益等の数値計画のみをイメージされる方が少なくないが、その数値を実現させるための対策や段取りといった活動計画も経営計画の重要な構成要素となる。この活動計画に着眼すれば「事前に経営活動を決める」効果も存在する。
日々刻々と環境は変化するが、ある時点の判断で環境変化を予測し、その前提で経営活動を決定することも経営計画の大きな効果といえよう。
 

平成29年5月

  事業計画書 2.
 
 今回は事業計画を立てる意味あい・必要性について整理したい。事業計画が必要な理由としては、1.事業のシナリオを固める、事業を具体化する。そして事業活動そのものを決めるために必要。漠然と頭にあるアイデアや構想等を具体的な書面に落とし込む作業時に事業や活動そのものがより具体化する。 2.協力者や理解者を得るために必要。社員に対する事業概要の周知や、金融機関等の資金調達先、取引先等への説明資料の役割がある。言葉だけでは説得力に欠けるし証拠にもならない。3.事業活動の展開後のチェックシートとして必要。当事者や第三者が客観的に分析・評価するための物差しとしての役割がある。4.経営トップや社員の目標意識や問題意識の醸成と定着化のために必要。目標と実績のギャップのことを問題と定義するので、そもそも事業目標や事業計画が無い企業においては問題が発生しないという理屈が成立する。以上4点を必要な理由としてあげたい。
 

平成29年4月

  事業計画書 1.
 
  今回から5回に渡って事業計画書について解説したい。金融機関からの資金調達時や支援機関等からの支援の一環として様々な事業計画書が出されている。そのような現実から、まずは事業計画を定義し範囲を確定したい。経営資源は一般に「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」と言われる。その切り口に従えば、ヒト系の事業計画は人員計画や組織計画になろう。同様モノ系の事業計画は商品〔製品〕計画・販売計画・仕入計画・マーケティング計画・生産計画・設備計画あたりになる。カネ系は資金計画や売上・利益計画等の収支計画あたりが代表的な事業計画になる。情報系は情報収集・分析・提供といった情報管理計画になろう。経営資源を切り口にすると以上が事業計画の構成要素といえる。次に事業の構成要素は「誰に」「何を」「どのように(提供)」の3つになるので、「誰に」を下敷きにすると顧客獲得〔新規開拓〕計画・顧客定着計画、「何を」を下敷きにすれば商品〔製品〕計画、市場調査等に基づいた商品の開発・調達あたりが主となろう。そして「どのように(提供)」では営業計画・仕入計画・生産計画・設備計画・情報管理計画あたりが主要な計画になる。
 

平成29年3月

■新規開拓 5.

 顧客には必要な顧客もあれば実は不要な顧客も存在する。新規開拓は不足している必要顧客を開拓することをいうが、その際には不要な顧客を決めることも大切な作業となる。ヒトのエネルギーには限界があるという考え方がある。新規開拓には多大なエネルギーが必要な方が少なくないし、あとのフォロー活動を考えればむやみやたらに顧客が増加するとフォロー面から良質の顧客に不満を持たせる可能性もある。要は自身の目標や戦略を明確化し必要な顧客や顧客層を決定する、逆に言えば不要な顧客や顧客層を決めることがキーになる。言い換えれば新規開拓にも5S活動が必要条件となる。整理→要るものと要らないものに区別して要らないものを処分する、ことが新規開拓には必須と言えよう。経験上不要な顧客を引きずって新規開拓しても成功に至らないケースが多い。不要と思われる顧客に「取引を止めます」と宣言する必要はないが、心の中で決断しそのうえで新規開拓にエネルギーを注ぐことで成功に繋がることが多い。ついでに「有能なものは行動するが、無能なものは講釈ばかりする」といったジョージ・バーナードショーの言葉も付しておきたい。
 

平成29年2月

  ■新規開拓 4.

  今回は新規開拓のプロセスについて考えてみたい。営業目標分析や将来の変動予測、取引先の経営戦略等より新規開拓の必要性が判断できる。また自身の能力・士気向上より新規開拓に挑戦するケースも考えられる。その際のオーソドックスなプロセスとしては次のようなものが考えられる。1.ターゲット層の確定と見込み客リストの作成。新規開拓の必要性のある先と出来そうな先、また顧客層の将来像から逆算する手もある。2.見込み客の個別調査。情報収集と分析。特に経営変化を重視する。3.見込み客開拓戦略の構築。個々個別に構築する必要がある。4.アプローチ方法の選択。事前アポイントが基本。飛び込みは効率面で問題がある。5.面談の準備と訪問。事前準備物と面談目的の設定。初回の面談の場合は情報収集が基本となる。それ故面談ストーリー構築が大切になる。また意図的に宿題をもらい次回に繋げる手もある。6.面談後のフォロー。

平成29年1月

■新規開拓 3.

 永遠に存続する企業は存在しない。また競争等の理由もあって既存顧客は減少する運命にある。今回は新規開拓先の条件について整理したい。企業がおかれている経営環境や業績の状況、業種・業態や経営規模等によってその条件は異なるが普遍的なものを列挙したい。1.既存製品や新商品等の新たな販売先で、いずれは安定的な販売や成長が見込める先。既存顧客の落ち込みをカバー・代替できる先。2.自身が想い描いている事業の将来象や目標等から逆算して必要不可欠と思える先や不足している先。3.自身が取引したいと思える先。販売先として魅力や愛着を感じられる先。4.新用途の開発が行えた際の新たな販売先→例えば木炭。燃料の他に消臭、水質浄化、炊飯時の添加剤、鮮度維持材、インテリア等の用途がある。用途毎に販売先が存在する。
 

平成28年12月

  ■新規開拓 2.

 経営者の最大の使命はゴーイングコンサーン=継続企業の前提、になる。売上・利益を確保拡大するには顧客の確保拡大が必須であり、既存客は量的に必ず減少するので新規開拓はゴーイングコンサーンの必要条件となる。
  話は変わるが、新規開拓数は総見込み客数×アプローチ率×成約率、といった算式で考えることもできる。まず大元の総見込み客数・見込み客リストは量的に多い方が良い。ただし正確で適正な情報に基づいたものが条件となる。ちなみに国内企業数は減少の一途にあり、未上場企業の経営情報入手は難しいのが現状である。また一般消費者の方も我が国は人口減少の状態にあり、また個人情報保護とプライバシー保護も年々厳しくになり、企業情報同様正確な入手は難しくなってきている。これを考慮し突破する必要がある。次にアプローチ率。場当たり的でなく計画的に実行・挑戦することが望まれる。そして成約率。時間や手間のかかる見込み客が一般であり、精神論ではないが諦めないことがキーになろう。商品、価格、納期、数量、取引条件、タイミング、人間性等何がキーになるのかを見極めることが大切になる。
 

平成28年11月

  ■新規開拓 1. 

 今回から新規開拓に関して5回シリーズで呟きたい。新規開拓に関する定義は企業によってまちまちであるが、今回の新規開拓は「取引口座のない見込み客に対して既存製品・サービス等で新規取引に持ち込むための活動」と定義したい。休眠企業や損失企業の掘り起こしや、見込み客の欲する新製品・新サービスの開発による新規取引は今回の内容からは除外したい。
話は変わるが売上高は客単価×客数で示すことができ、売上高を増大させるにはこの2つを増大させる必要がある。ちなみに客数は既存客+新規客−流失客で示すことができ、客数を増やすには新規客を増やすことが必要となる。既存客の購買回数を増やす、流出客を減らす、の2つにより実質的には新規客獲得と同等の経営効果に繋がるが、既存客は如何にケアしても減少(衰退や消滅)する運命にあるので、企業存続の条件の一つが新規開拓といえる。また組織活性化にも有効な活動と言える。組織活性化の定義によるが、1.新たな人材の採用・投入、2.人事異動、3.新たな取引先の確保、の3つ、要は新しい価値観の注入が組織活性化には有効である。経営面から見ても新規開拓は大切な営業活動と言えよう。
 

平成28年10月

■新規事業 5. 

 今回が新規事業の最終回になる。今回の新規事業の定義は「新しい収益源の確保」であるので、新規開拓や新製品開発も新規事業の範疇になる。また「顧客層」「製品」「販売方法」といった事業の構成要素のどれかに関連性を保持した事業を新規事業として優先させるのがセオリーと考える。そのような関連性を保持した新規事業のステップとしては、1.変化の気づき→顧客行動や製品の売れ行き等の変化の察知。2.現状の強みの再確認と課題の整理→競合他社等と比して優れるもの、誇れるものは何か。3.複数の事業案の立案と選定→事業案のポイントの一つは差別化・特徴化になる。それが反映できる案の中から選択し集中化する。4.新規事業の目標設定と戦略の構築→必ず目標と戦略を立てる。目標をベースに成功基準や失敗基準が決められるし、目標が無ければ問題も発生しない。5.事業計画の立案・組織の編成→戦略を具体的な行動に落とし込んだ活動計画を立てる。6.事業の開始→常に事業環境の変化に対応させていく。あたりが一般的な流れといえよう。

平成28年9月

■新規事業 4. 

 新規事業の条件について整理したい。1.まずは愛着の持てる事業、やってみたいと思える事業が第一条件と考える。一生懸命になれる事業であれば困難にも負けないし創意工夫もする。また誇りや情熱を持つことで事業への執着にも繋がる。2.特徴の出せる事業、差別化が可能な事業。言うは易く行うは難しであるが、事業には競争がついて回る。競争を回避するか競争に勝つ戦略が必須となる。3.比較的新しい事業で成長や拡大が見込める事業。成長や拡大が続けばニーズは分散していき、そこに新しいビジネスチャンスが期待できる。時流にのっていればなおオッケーである。4.既存の経営資源が活用でき、自社の強みが発揮できそうな事業。特にソフトな経営資源が活用できればリスクは低くなる。また強みが発揮できれば競争力にも繋がる。5.将来の収益の柱となる可能性のある事業。同じ努力・苦労するなら見返りの大きな事業の方がよいのは当たり前。
 

平成28年8月

■新規事業 3. 

 話が前後して恐縮であるが「新規事業」の定義を確認したい。過去2回の独り言で指摘した新規事業とは「新しい収益源となる事業」のことで「事業の構成要素である顧客・製品・提供方法のうち、どれかが異なる事業」を前提として論を進めた。
 そのような前提に立って新規事業の進め方を整理したい。1.まずは現行の事業、特に属している市場の調査・分析からスタートしたい。2.そのうえで提供方法の見直しによる新規事業の可能性を探りたい。具体的には販売チャネル・販売地域・価格・販売促進・サービス・取引条件等の顧客ニーズを最重視した見直しということになろう。3.次に新規開拓の展開。製品・サービス毎に新規開拓先は異なるし、新規開拓先毎にアプローチ戦略も異なる。4.そして新製品開発、新サービスの開発。まずは先行企業の改良型からスタートし次に独自性追求型に挑戦すべき。5.2.3.4.を挑戦したものの収益源として経営貢献が見込めないようであれば、顧客や製品・サービス等に関連性の無い事業への挑戦。という進め方が一般的には妥当と考えられよう。

平成28年7月

■新規事業 2. 

 前回では新規事業が頓挫する理由を私なりの解釈で説明したので、今回は新規事業をどうすれば成就できるか、成功に近づくかについて解説したい。1.まずは前回指摘した「頓挫する理由」をできる限り排除することである。松浦静山さんの「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という真理をついた言葉がある。野村克也さんも時として利用される言葉であるが、負け(失敗)には負けるに相当する理由がある。頓挫する理由を「負ける理由」に置き換えれば理解できようと思う。2.「顧客」「製品」「提供方法」の3つの構成要素のうち「提供方法」の見直しや工夫・改革に重点をおく。特に経営資源の乏しい中小企業にとっては基本戦略となる。差別化はこの領域を主に考えるのが一つのセオリー。3.新規開拓等によって顧客創造や顧客拡大・入り替えは必須条件となる。4.顧客や製品に関連性の無い多角化による新規事業は大企業の戦略であり、体力面で劣る中小企業は回避すべき戦略といえる。5.事前に撤退基準や失敗基準を設定しておくことも大切である。
 

平成28年6月

■新規事業 1. 

 どんな事業にもライフサイクルがあり、何時かは衰退し消滅する運命にあることはすでに指摘した。今回から5回に亘って新規事業に関して解説したい。企業規模の大小を問わず新規事業が成就せず途中で頓挫するケースが少なくない。この理由を私なりに整理すると次のような理由が考えられる。1.途中で諦める→事前に成功基準や失敗基準も設定せず、
成果が見込めない、見込みがないと諦める。トップの情熱や危機感が不足しているケースが多い。2.事前の準備や調査が不足している→思い付きや出たとこ勝負的な新規事業に多く、戦略構築が不十分で課題想定がお粗末。3.責任者のやる気や能力に問題がある→成否を決するのはトップとリーダーの意志力。4.本業・既存事業のシステムをそのまま流用した。5.ヒトや投資を出し惜しみする。6.本業の組織がサポートしない。場合によれば敵視する。7.顧客層を特定・アプローチできていない。8.競合先との差別化や優位性に乏しい→特徴がなく競争力や魅力に欠ける。9.事業開始のタイミングが適正ではなかった。

平成28年5月

■事業戦略 3. 

  一般に経営戦略は「企業戦略」「事業戦略」「機能別戦略」の3つの階層に大別できる。企業戦略は全社的・長期的視点の経営トップの戦略であり、事業戦略は複数事業を展開している企業の事業部長の戦略、機能別戦略は財務戦略や営業戦略といった部門長の戦略ということになる。事業が一つしかない企業の場合は事業戦略という概念は存在せず、全社戦略と機能別戦略しか存在しない。そのように解釈すると事業戦略は中途半端な戦略ともいえるが、要は事業単位の戦略であるので、事業の定義にもよるが多くの企業で真剣に向き合う戦略であることは間違いない。ちなみに経営トップの役割の一つとして縮小しそうな事業から伸びそうな事業に経営資源をシフトすること等が求められる。このような経営統制を「事業ミックス」といい経営トップの大切な役割となる。このさじ加減が企業の存続や成長を決めることに繋がるだけに、この判断力は非常に重要といえよう。

平成28年4月

■事業戦略 2. 

  経営者の役割・使命で最も大切なことはゴーイングコンサーン=経営・事業の継続であろう。まずは会社を存続させることが一番の使命で、次が会社を成長させることになろう。そのために経営目標・事業目標を設定し、それを達成することが大切であるし、永遠の寿命は無いので後継者の育成も大切な事項になる。ゴーイング・コンサーンの為には継続できる事業、出来れば成長可能な事業が必要になるが、前月で解説した通り事業はケアしないと必ず消滅する運命にある。老舗企業の事業内容を注意深く見ると、必ず「製品・商品」「顧客・ユーザー」「提供方法・販売方法」のどれかが変化・進化している。また事業を複数展開している企業においては、衰退している事業から成長が見込める事業に経営資源をシフトしているのが通例であり、そのような事業ミックスを上手にコントロールしている企業が長寿企業の前提条件と言えよう。
 

平成28年3月

 ■事業戦略 1. 

  事業の定義や解釈はヒトにより異なるが、ネットで検索すると「生産・営利などの一定の目的を持って継続的に組織・会社・商店などを経営する仕事」といった解説が見られる。私の解釈もほぼ同じであるが、ちなみに事業の構成要素は「誰に→顧客」「何を→製品やサービス」「どのように→提供方法・販売方法」といった3つでとらえるようにしている。
  一つずつ構成要素を分析すると、ビジネスにおいて如何にケアしても顧客は減少するのが常である。永遠に生き続ける顧客は存在しない。次に製品やサービス。これにはライフサイクルがあり、導入期→成長期→成熟期→衰退期の流れで売れなくなる時が必ずやってくる。そして提供方法。昔は店の軒先で提供・販売するしか方法は無かったが、今は店など不要の時代で提供方法・販売方法は秒速分歩に新しい手法が創出されており、旧来型の提供方法はどんどん減少している。このように事業の構成要素からみれば、永遠の事業などは存在しないし、事業は手をくわえないと必ず消滅する運命にある。

平成28年2月

仕事や製品評価の視点 QCDSM
 

  一般に生産管理とは、「良い製品を(品質管理)、早く(納期管理)、安いコスト(原価管理)」で作るための一連の管理と定義できる。品質→Q 、納期→D、コスト→Cの頭文字をとってQCDを生産管理の3要素ともいう。このQCDは製品評価や仕事の評価の視点としても活用できる。またこれ以外の視点として「S→セーフティー・安全性」「M→モラール・士気、やる気は製品や仕事に反映されるので」「P→プロダクティビィティー・生産性」もあげられ、PQCDSMという場合もある。仕事を評価する際の切り口としてはQCDSMが適切であるが、この中でベースとなるのはQの品質である。まず品質を安定化させる、そして向上させることが取引先等からの信頼獲得の第一歩である。また比較的軽視されやすいのがDの納期で、特に社内の決め事において期日遅れを耳にすることが少なくない。注意したいものである。
 

平成28年1月

業績向上につながる5S
  生産現場で定着している「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5Sが、今は3次産業でも1次産業でも採用・定着している。念のためそれぞれを確認したい。
整理→必要なものと必要でないものとに分けて、不要なものを捨てる。
整頓→必要なものを使いやすいように整然と必要な場所におく。
清掃→生産現場等は常に清掃を励行し、きれいにしておく。
清潔→整理・整頓・清掃を維持する。
躾 →決められたことの維持・継続を図る。
  この5Sの対象は生産活動の4M(マン、マシーン、マテリアル、メソッド)と諸管理となるが、3次産業に置き換えると、マン→社員、マシーン→設備や店舗等、マテルアル→商品・サービスそのもの、メソッド→運営方法・オペレーション、となり、5Sを定着させれば企業自体の管理レベルが上がるので、必ず業績は向上すると断言できる。

平成27年12月

マーケティングの視点
  製品・商品と顧客が出会う場を市場(マーケット)と定義すると、市場活動はマーケットの現在形となりマーケティングと定義することができる。私が中小企業診断士の勉強を始めた1987年頃のマーケティング活動プロセスは、市場機会の分析→標的市場の選定→マーケティング・ミックス戦略の構築→マーケティング活動の管理、といった流れであった。3番目のプロセスのマーケティング・ミックスとは「プロダクト」「プライス」「プレイス」「プロモーション」の4つの頭文字から4Pと言われ、マッカーシーの唱えた理論であった。その後1990年代に入ってラウターボーンという学者が4Pは売る側の視点=プロダクトアウトの論理であるので、買う側の視点=マーケットインの視点でマーケティング・ミックスを再構築すべきと主張した。具体的にはプロダクト→カスタマー・バリュー、プライス→コスト、プレイス→コンビニエンス、プロモーション→コミュニケーションといった視点に置き換え、4P同様頭文字をとって4Cを主張されマーケティングの視点として定着することになった。

平成27年11月

心の知能指数 EQ

  ビジネスの世界でIQ(知能指数)とは、物事を記憶し知識として活かすことで問題を解決する能力のことを言うが、1996年に「EQ  こころの知能指数」という本が出版され、そこそこのヒット本となった。ハーバード等エリート大学を出ているのに社会的成功をおさめられない方の研究から成立した概念であるが、EQでは次の5つの要素が柱となる。1.自分の感情を正確に知る。2.自分の感情をコントロールできる。3.楽観的に物事を考える、もしくは自己を動機づける。4.相手の感情を知る。5.社交能力、対人関係力が高い。IQとは異なり問題解決に際して感情を管理し利用して適切な思考や行動に導く能力と定義できる。
 いかに高学歴でIQが高くても感情のコントロールや対人関係力が低ければ、社会での成功は難しいであろう。また如何にEQが高くても知識が乏しかったり記憶力が低ければ、やはり成功は難しくなる。IQ を知識、EQを知恵と換言すると成功には知識と知恵の両方が必要なことは説明するまでもない。ビジネス・パーソンとしてIQ系とEQ系両面を高めることが必須となろう。
 

平成27年10月

経営理念と企業理念
 最近の傾向として経営理念の見直しの際に「企業理念」に名称変更する企業が少なくない。一般に経営理念とは「経営者の企業・経営に対する考え方や信念、企業観・経営観」と説明できる。それ故見直しの際には、経営トップの考えが色濃く反映された理念より、組織・集団が強調された企業理念の方が社員や取引先等の支持が得やすいこと等より企業理念と名称変更しているケースが増加傾向にあるように感じている。またトヨタ自動車やJAL、三菱商事等巨大企業の多くは企業理念になっているのも事実である。なお経営理念・企業理念ともに内的には社内の一体化や社員の動機づけの役割、外的には存在価値の理解と支持、企業イメージ形成等の役割があり、内的・外的のどちらにウエイトを置いた理念かによって経営者・組織の使命や価値観、目標像等がうかがえる。
また近年の傾向として理念を「ミッション→組織の存在理由、使命」「ビジョン→ミッションを果たすために組織が目指す方向、あるべき姿」「バリュー→ビジョンを実現するための価値観、大切にしたいこと」の3つの要素で表現している企業も増加している。
 

平成27年9月

問題と問題点
コンサルティング業界では、問題とは「目標と実績のギャップのこと」で、問題点とは「問題の原因のうち自力で解決できるもの」といった佐藤允一先生の「問題構造学」の定義が広く採用されている。例えば売上目標1億円、実績が8千万円の場合はギャップの2千万円が問題ということになり、その原因として販売促進が的外れであれば、それが問題点と位置付けられる。原因が景気とか為替変動とか法律改正等であれば自力で解決できないので、それらは問題点とは位置付けられない。私感として中小企業・零細企業の多くで経営目標が設定されていないので、実は問題は発生していないという解釈も成立する。経営目標を設定し、経営活動を展開した結果実績が確定し、その両者にかい離があれば、それが問題ということになるので、目標設定がなければ、そもそも問題は発生しないことになる。また、本定義によれば問題意識を保持するには目標設定が前提条件ということもできる。
ちなみに課題とは「課せられた問題」の略語と理解できる。積極的にとらえれば「解決すべき問題」といった解釈も成立する。
 

平成27年8月

企業の寿命とは
「企業30年説」という言葉がある。1983年日経ビジネスが唱えた結論で総資産額の多い上位100社を分析した結果「1企業が繁栄を謳歌できる期間は平均で30年間」という説である。本当にいきが良いのは最初の10年間で、元気で優良な企業でいられるのは30年までということが唱えられた。
 ちなみに2011年の中小企業白書によると、創業10年後に約3割が、20年後に約5割の企業が撤退しているデータ(帝国データバンクの資料)がある。また東京商工リサーチの倒産企業の平均寿命をみると2004年から2014年の間は22年から24年のゾーンで推移している。帝国にしても東京商工にしてもある程度良質な企業のデータが主と考えられる。超零細企業や創業間もない企業等のデータは入手できていないと思われるので、実態は本データより厳しいものと推察される。そのようなことから一概に企業の寿命は○○年と言い切ることは難しいものの、平均寿命は20年前後と推察するのが妥当と思われる。
  製品や事業・企業にはライフサイクルが存在し、必ず衰退期を迎えて消滅する時がやってくる。これを防ぐには新しい製品の開発や新しい販売先の開拓、新しい事業への取組等が必須になり、老舗企業の動向がそれを証明している。

平成27年7月

電通鬼十則
日本最大の広告代理店の電通には鬼十則という行動規範が存在する。1951年に4代目社長の吉田秀雄がつくったもので、時代背景や仕事観等が異なり軍隊式ともいえるが、学習すべき点もあるので紹介したい。

  1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。
  2. 仕事とは先手先手と働きかけていくことで、受け身でやるものではない。
  3. 大きな仕事と取り組め。小さな仕事は己を小さくする。
  4. 難しい仕事を狙え。そして成し遂げるところに進歩がある。
  5. 取組んだら放すな。殺されても放すな。目的を完遂するまでは。
  6. 周囲を引きずり回せ。
    引きずるのと引きずられるのでは、永い間に天地の開きができる。
  7. 計画を持て。長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
  8. 自信を持て。
    自信が無いから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらがない。 
  9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ。
    サービスとはそのようなものだ。
  10. 摩擦を怖れるな。摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。
    でないと君は卑屈未錬になる。

平成27年6月

ビジネスパーソンの「心・技・体」
スポーツの世界で言われる心・技・体をビジネス世界に置き換えたい。高度な専門職を別にすれば重視すべきは「心・体・技」の順になろう。
心→人格とか人間性。生まれついて持っているのが気質、その後の生活環境によって性格が形成され、それに道徳や人生観をプラスしたもの。
体→体と心の健康のこと。健全なる精神は健全な肉体に宿るといわれるが、まさに真実である。ビジネス世界でも心身の健康が大切であり、その前提があって「やる気・情熱」の維持強化が可能になる。
技→能力。職務遂行能力と問題解決能力の2つに集約できるが、知識系と知恵系に分けることもできる。職務遂行も問題解決も基礎となる知識が欠落していると、いかに知恵があっても目標達成は難しい。
なお心・体・技のバランスも大切である。1つの要素が弱いとその弱い要素のレベルで全体評価を受ける事も少なくない。弱み解消の視点も必要かと。

中小機構のインキュベーション事業

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