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大豆エナジー株式会社(旧ベジタブル製薬株式会社)

国産大豆の復活を目指して!バイオ関連のシリアルアントレプレナーである社長が設立した、大豆を通して人々の健康に貢献する熊本発バイオベンチャー企業

株式会社トランスジェニックや、ベビーリーフ生産で国内最大の農業ベンチャーとなった株式会社果実堂につづき、井出剛社長が設立した「大豆エナジー株式会社(旧ベジタブル製薬株式会社)」。今般、取締役兼事業本部長の河野淳子氏に創業の経緯、会社の特徴、今後の展望について、お話を伺いました。

プロモーターボックス

インタビュー

取締役兼事業本部長
河野 淳子 氏

河野淳子氏

起業、会社のおいたち

─井出社長はバイオ関連のシリアルアントレプレナーですね。

 大豆エナジー創業者の井出剛は1997年に熊本大学医学部の技術資源の活用を目途として、産学官連携型バイオベンチャー企業「トランスジェニック」を設立し、熊本大学発ベンチャーとして初めて2002年に東証マザーズに株式公開しました。2005年には第二の起業として農業ベンチャー企業「果実堂」を設立しました。

 果実堂は2006年に開設された「くまもと大学連携インキュベータ」に研究所を設置させて頂き、ベビーリーフの大規模栽培のための土壌分析、栄養分析、有機栽培法、品質管理などの研究開発を行ってまいりました。この結果、2012年に国内最大のベビーリーフ栽培会社となり、三井物産、カゴメ、トヨタ、富士通などの出資を受けて、さらなる業務拡大と農業のハイテク化に取り組んでいます。

 そして2015年12月に第三の起業となる農業&バイオベンチャー企業「大豆エナジー」(2017年10月1日にベジタブル製薬より社名変更)を設立しまして、改めて入居させて頂きました。

 

事業の展開と現在

─御社の保有技術やビジネスモデルについて教えてください。

 弊社の固有技術は、落合式ハイプレッシャー法という技術(特許第5722518号/米国特許US8,756,861)が中核基盤技術となっています。この技術を要約しますと、発芽直後の大豆に酸欠や高温、菌添加などの様々なストレスをタイミング良く加えることによって大豆が本来もっている栄養成分や旨み、機能性を飛躍的に向上させることが出来る技術です。落合式とは発明者の落合孝次(弊社技術担当取締役)の名前に因んでいるのですが、本技術を用いて食品、研究用試薬分野に進出しております。

 まず、食品分野では熊本テクノリサーチパーク内に試験工場を開設し、独自に開発しました大型の発芽タンク2基を用いて発芽大豆の製造を開始しています。量販店向けに開発しました「発芽大豆サラダ」(製品紹介欄参照)は旨み成分が従来の大豆の約10倍、イソフラボンの含有量が約2.2倍で、発売直後から好評で、現在月産25トンを生産して約11万パックを販売しています。また大豆加工大手の不二製油とは発芽大豆を用いた機能性豆腐や豆乳の開発にも着手しています。
 

落合式発芽促進タンク

  落合式発芽促進タンク(熊本テクノリサーチパーク内)

 

 一方、研究用試薬分野では、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の採択を受けて熊本大学、京都大学、九州大学、理化学研究所と共同研究を開始しています。サポイン事業の成果として大豆から未知物質300種類を世界に先駆けて発見することに成功しています。これらの成果は研究用試薬に留まらず製薬会社のリード化合物候補にもなる可能性を秘めています。

 具体的な製品としては、落合式ハイプレッシャー法により開発された研究用試薬Glyceollin1(グリセオリン1)を和光純薬から発売しています。Glyceollin1はエストロゲン様活性※を示し、熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の中尾 光善教授との共同研究において再発性乳がんでのがん細胞増殖抑制効果が認められており、再発性乳がんの研究用試薬として推奨されております。

 

※エストロゲン様活性…大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分子構造に似ており、そのためイソフラボンが体の中でエストロゲンと同様の働きを示すこと。
 

そして、これから

─今後の展望をお聞かせください。

 2017年10月、大豆エナジーはトヨタ自動車のバイオ緑化研究所、佐賀大学、理化学研究所と連携して国産大豆の発展を目途として大豆栽培の高度化、効率化、機械化を目指すことになりました。大豆は豆腐、味噌、醤油、納豆、豆乳、乳化剤として本当に幅広く使用される農産品です。また成人病予防や良質な植物性タンパク源として、改めてその有用性が国内外で注目されています。

 大豆エナジーは今後も国産大豆の高付加価値化に貢献して、農業の振興と国民の健康に寄与して参りたいと思っています。

 (2017年9月取材)

会社概要

 

入居BI くまもと大学連携インキュベータ
代表取締役社長 井出 剛
所在地 熊本市中央区南熊本3-14-3 くまもと大学連携インキュベータ
事業概要

・植物由来機能性物質の探索
・植物由来機能性物質を用いた食品、創薬原料の開発、製造及び販売

URL https://www.daiz-energy.co.jp/(新規ウィンドウ表示)

 

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製品紹介

おいしい発芽大豆

サラダ用発芽大豆(商品名『おいしい発芽大豆』)はイソフラボン、グルタミン酸豊富な機能性サラダとして、株式会社果実堂から大手量販店向けに販売している。大豆をそのまま食べられるのが特徴で、発売直後から売上好調となり現在年間2億円を超えるヒット商品となっている。

おいしい発芽大豆

会社略歴

1997年
株式会社トランスジェニック設立
2002年12月
同社が東証マザーズ上場
2005年4月
株式会社果実堂設立
2014年2月
熊本テクノインキュベーションセンターに発芽促進研究所を開設
2015年12月
発芽促進研究所を分離し、新会社ベジタブル製薬株式会社を設立
2016年7月
くまもと大学連携インキュベータ入居
2016年7月
戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)採択
2017年10月
大豆エナジー株式会社に社名変更

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インキュベーションの利用

入居のきっかけ

くまもと大学連携インキュベータが開設した時に、トランスジェニックとして活用し、その後も果実堂として入居させていただきました。また今回、大豆エナジーの起業を機に再び入居させていただいています。

 

入居しての変化

熊本大学にも近く、研究施設としても素晴らしく、経済産業省のプロジェクト『戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)』で多数の参加者が集まる会議でも本施設の会議室を活用させて頂いております。入居当初は1部屋お借りし、1年後には3部屋に拡張致しました。
今後も弊社特許技術を用いた植物種子発芽による二次代謝産物を大規模にスクリーニングしていく予定です。

 

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

異業種交流が出来て良かったと思います。弊社独自の研究用発芽装置「プロモーター・ボックス」7台は、くまもと大学連携インキュベータに以前入居されていたエスユーテクノス様に製作を依頼し、試作機を開発するところから協業することが出来ました。
インキュベーションマネージャーが企画・開催されている技術交流会や10分間のショートプレゼン会などを活用すると、「こういうところに手が届かない」という部分を補ってもらえる、技術力が高い企業が直ぐに見つかる点などが素晴らしいと思います。


 

堀IM

くまもと大学連携インキュベータ
チーフIM(インキュベーションマネージャー) 堀 義親

同社は、代表の井出社長が「国産大豆の復活を目指したい」との強い思いから設立された会社です。3年前に、その具体策の鍵となる革新的な技術「落合式ハイプレッシャー法」と出会われ、この技術こそが日本の大豆の将来を間違いなく変えると確信されました。
同社の大豆の機能性研究は、まさに緒についたばかりですが、国産大豆の機能性を飛躍的に向上させる技術で国内はもちろんのこと世界の人々の健康に貢献する会社に成長していくものと確信しています。


 入居施設データ
くまもと大学連携インキュベータ
〒860−0812 熊本市中央区南熊本3-14-3

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