株式会社木村製作所

二代目社長のもと、変革と成長を続ける産学連携企業

大学や公的機関と連携し、超精密加工製品の製造販売を行う木村製作所。同社の木村社長に、創業からこれまでの経緯、会社の特徴、今後の展望についてお話を伺いました。

超精密加工技術の取り組み

インタビュー

代表取締役社長
木村 俊彦 氏

木村社長

起業、会社のおいたち

─会長が興した金属加工の企業とお聞きしました。

 私の父である会長が大手企業から独立して創業した会社です。私が生まれた1969年に、汎用旋盤1台を購入してスタートと聞いております。私の祖父が農業を営んでいましたので、二足のわらじで始めたそうです。

 1975年頃には汎用フライス盤を導入して、人を3、4人採用するくらいまで会社は成長していましたが、その頃もまだ油の匂いが立ち込める母屋に付随する離れの小屋の中で切子を飛ばしていました。その後、隣接する畑を壊して新社屋を建てて新たに平面研削盤を導入した時には十数名の会社にまで成長していました。

 

ナノ加工研究所内の様子

ナノ加工研究所内の様子

 

─会長から社長にバトンタッチされてから数々の改革を行ってきたそうですね。

 私が社長に就任したのは2005年ですが、改革はその前から始まっていました。私は金型屋に就職し、その後1998年に当社に入社しました。その頃は夜12時過ぎまで働くということが当たり前で、毎日8時頃に夜食を食べて9時からが第二弾という感じでした。しかし、残業、残業で進めていくと従業員が辞めてしまう。

 2000年に本社を現在の長岡京市馬場に移転したことが大きな転機になりました。場所も変わって綺麗な工場になったので、これを機に従業員の働き方を変え、労働生産性向上に向けた取り組みを開始しました。

 そんな矢先、2000年にITバブルがはじけ、半導体関連のお客様の受注が激減しました。給与カットもせざるを得ませんでした。その時は新規開拓のためにPUSH型で飛び込み営業もしましたし、インターネットで調達サイトがある企業を見つけてはアポを入れて訪問を繰り返しました。商談会・展示会にも積極的に参加しました。お陰様で、関西エリア、東海エリアで、新規のお客様を開拓することが出来ました。

 2005年8月に社長に就任した私は、顧客も機械も人も増えこれで大丈夫だという甘い世界を夢見ていました。それを打ち砕いたのが、2008年のリーマンショックでした。全ての業界が低迷しましたので本当に大変でした。PUSH型営業をすると嫌われる(足元を見られるイメージ)わけです。他社にないものをやらないと生き残っていけないと考えて、Webを活用したPULL型の営業に変える取り組みを始めました。当社のWebサイトをご覧いただくとわかっていただけると思うのですが、VA・VEの事例を詳細に記し、設計者に対して提案する形になっています。またこの時に「難削素材」、「高精度」という分野に注目して、タングステン素材をテーマに取り込むことにしました。これにより、最大で一日に800件の問い合わせが来た時もありました。木村製作所の強みである「旋盤、フライス、円筒内面・外面研削、一貫生産、現合(嵌合)加工」というキーワードを掲載することで、お客様の絞り込みもできるようになりました。多くの危機を乗り越えて、現在では正社員37名、パートも含めると会社移転時の3倍、機械も3倍以上になりました。

 

─産学連携で超精密加工を実現したそうですね。

 リーマンショック後に産学連携を謳ってはいたもののどのように進めるのか悩んでいました。その時に、現在の技術顧問から「木村製作所をお手伝いさせてもらえないか」とお声掛けいただきました。初めは、この業界の方でもないし何を支援してくれるのだろうかと思ったのですが、実際に様々な案件で産学連携を支援していただきました。

 超精密加工技術分野への参入は、Webサイトを見た遠方のお客様から「(難削材である)タングステンのリングの内面の鏡面研削ができないか」という問い合わせがきっかけでした。当時の自社技術では実現不可能でしたが、ご要望にお応えしたいと考え、大学や公的研究機関の力をお借りして何とか対応できました。

 2012年に、京大桂ベンチャープラザ内に「ナノ加工研究所」を開設しました。精密機械工学会、砥粒加工学会など関係の深い学会に足を運んでは中小企業の味方になってくれそうな先生を見つけて交流を深めました。今では産学連携を活用し、多くの大学や公的研究機関とのネットワークができました。会長から聞かされてきた「人のご縁が大事」ということが良くわかります。


 

 

ヘッドアップディスプレイ用反射ミラー金型

ヘッドアップディスプレイ用反射ミラー金型

そして、これから

─今後の展望についてお聞かせください。

 2005年の社長就任時に掲げたビジョン、「他社との差別化」、「難削・複雑形状で航空産業に参入」、「産学連携の実践」、「ロングテール・ニッチ分野」、「高付加価値」、「生き残り」の実現に向けて現在取り組んでいます。

 これからは二本柱である「超精密加工技術」をナノ研究所で、「精密加工技術」を本社で実践していきたいと思います。最近では、本社と研究所の中間の市場が見えてきました。鏡面技術を生かしてホログラフのコア部品を生産しています。光学レンズの金型は超精密を要求されますが、これもお客様からの課題がきっかけで実現することが出来ました。お客様が抱える困難な課題に挑戦することで更なる進化を遂げていきたいと思います。

会社概要

 

入居BI 京大桂ベンチャープラザ
代表取締役社長 木村 俊彦
所在地 京都府長岡京市馬場人塚1番地2
事業概要

・精密機械加工から超精密光学関連部品の製造
・精密切削から超精密研削加工までの一貫生産

URL http://kimurass.jp/(新規ウィンドウ表示)

 

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製品紹介

プラスチック成型用非球面金型

単結晶ダイヤモンドバイトによる超精密加工です。磨きレスで数ナノオーダーの面粗度を実現しています。

プラスチック成型用非球面金型

会社略歴

1969年4月
会長が創業 木村製作所として個人事業を開始
1990年3月
株式会社木村製作所に組織変更
2000年2月
長岡京市馬場人塚1番地2に第2工場新設(現在、本社工場)
2005年
木村社長就任
2010年5月
京都府長岡京市馬場人塚1番地2に本社移転、工場名称は本社工場に変更
2012年11月
京大桂ベンチャープラザにナノ加工研究所を開設
2013年8月
東京営業所を開設
2015年1月
ナノ加工研究所業務拡大の為、1室増床
2016年12月
ナノ加工研究所業務拡大の為、1室増床

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インキュベーションの利用

入居のきっかけ

 我々は精密加工から超精密加工に挑戦しようとしていました。超精密加工を実現するにはクリーンルームも必要でしたし、研究所を開設する場所を探していました。それが京大桂ベンチャープラザでした。その時に空いている部屋は1室しかなく、入れていただいたときは本当に嬉しかったです。

 

入居しての変化

 周囲の見る目が変わりました。「京大と共同研究しているのですか」と聞かれることが多いです。それまで京大は敷居が高いと感じていましたが、ここにきて京大とも産学連携を出来るようになりました。

 

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

 京大桂ベンチャープラザには常駐のインキュベーションマネージャーがいて様々な情報を提供してくれます。数千万円の助成金の情報をいただき採択されたこともありました。研究できる場があり、やりたいことがそこにあり、大学の先生もすぐそばにいる。色々な方との出会いがあって企業は変わって行けると感じています。


 

原田インキュベーションマネージャー

京大桂ベンチャープラザ
チーフIM(インキュベーションマネージャー) 原田 易典

 当社は切削、研削、研磨の金属加工技術を保有して顧客の要望を1社で応えることが出来る稀な会社です。難削材料への対応もOKです。

 本社工場で精密機械部品を生産し、当施設のナノ加工研究所では京大等と連携して自動車用HUDの自由曲面形状金型等に関する最先端の研究開発を行っています。今後の更なる発展が期待されます。

 

(2017年8月取材)

入居施設データ
京大桂ベンチャープラザ(南館)
〒615-8245 京都府京都市西京区御陵大原1-39

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