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有限会社デジタルメディア企画(2016年9月取材)

タッチパネルを使った高齢者向けシステムにより

ゲーム感覚で認知症の早期発見・進行抑制を図る長崎県発ベンチャー

 タッチパネルを使いゲーム感覚で認知症予防・リハビリを行えるシステムを開発した、有限会社デジタルメディア企画代表取締役の小松喜房氏に、会社の設立から現状ならびに今後の展望についてお話を伺いました。

製造ライン

インタビュー

代表取締役

小松 喜房 氏

代表取締役 小松 喜房 氏

起業、会社のおいたち

─起業の動機についてお聞かせください

 TV局在職中、プロダクション部門での経験を活かして定年後、長崎県立大学シーボルト校看護学科で非常勤講師として、無菌操作の映像などを記録化し、タッチパネル方式で再生できる教育システムを製作してきました。この時に看護関係の先生と交流する機会が増え、認知症の早期発見、進行抑制が出来ないものかという議論をするようになりました。認知症は進行してしまうと薬を服用するしかなく、しかも回復の可能性は極めて低くなってしまいます。したがって、早期に発見し、軽度な症状での進行抑制が鍵になりますが、当時、認知症のレベルを評価するシステムはあったものの、アタマの体操で認知症の進行抑制するようなシステムは存在しませんでした。

 映像関係の技術も活かしたかったということ、中国留学から帰国した息子が何か事業を始めたいと考えていたことが重なり、社会貢献が出来れば良いという軽い気持ちで、2006年8月に家内も含めて3人で起業しました。

事業の展開と現在

─システム構築にご苦労されたのでは?

 認知症に関する先人の研究結果は様々あり、認知症を判定するための体系は整理されていました(長谷川式、MMSEなど)。しかしながら認知症の進行抑制のトレーニングシステムはありませんでしたので、我々はそこを実現しようと考えました。

 まずは、脳神経内科や特別支援学校に足を運び、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が実際に何をしているのかを分析しました。そこで患者に対してアナログ的に行われている進行を抑制するトレーニングをすべてデジタル化し、認知機能のレベル測定にはHDS-R簡易機能評価スケールを参照して、思考、視覚、注意、記憶、計算、言語、音楽などの7項目で各20の課題を持つソフト「認知機能向上システム」プロトタイプ版を製作しました。このシステムを病院のリハビリ部門で臨床試験を重ね、約3年後に商品化にこぎつけました。このシステムは利用者毎に毎回のリハビリ課題の実施内容の履歴、反応時間を記録化・グラフ化することができ、認知症が進行しているのか、改善されているのかもわかることで監修する医師のアドバイスも受け、医療機器に近いシステムが完成しました。

 そして何より大切なことは、みんなが楽しくゲーム感覚で訓練できるシステムにすることができたという点にあると考えています。介護施設やデイサービスにも足を運びましたが、施設から利用者へ折り紙やカラオケを提供しても多くの人が興味を示していない状況が見受けられました。また、サポートする側の負担も大きいという問題があることもわかっていました。このシステムはタッチパネルにタッチするだけという簡単な動作によりゲーム感覚で楽しめます。トレーニングシステムの一つである「身になる教室」(みんなでアタマの体操)は大型テレビを利用して課題を出し一斉に多くの施設利用者が課題を楽しめることから、少ない介助者でサポートできるようになり、介助者の負担軽減にもなり喜ばれています。また開発の資金調達においても、長崎県や長崎県振興財団の補助金を活用することが出来て大変助かりました。


 

─販売は順調でしたか?

 最初は、認知度が低く販売には苦労しました。国際福祉機器展、中小企業総合展(現在は新価値創造展として開催)などの展示会に積極的に参加することで代理店も10社に増えました。中小機構が行っている販路開拓コーディネート事業を活用することで大手システムベンダー2社と関係が構築できたことも大きかったです。現在は、特別支援学級などにも導入され徐々に売上高は伸びています。近い将来、子供の教育にも活用される時代が来ると考えています。

 

システム活用の様子

システム活用の様子

そして、これから

─今後の展望についてお聞かせください

 自分が映った画面の中を飛びまわるUFOを手で追い払うというダイナミックな動作を要求するゲーム(作業療法訓練支援装置)を介護予防運動などを目的として長崎県立大学と共同開発し、特許も取得しました。今後も新たな機能開発を行っていきます。また、これまでスタンドアローン版として販売してきた認知機能向上システムを大手システムベンダーのアドバイスでクラウド化し、Windows・MacOS搭載PC、iPadやAndroidタブレットなどの様々なプラットフォームに対応したクラウドサービス「ヒラメキア」として新たにスタートします。

 今後はこちらの普及に注力したいと考えており、クラウド版での販売方式へ変えていくことで売り方も変わるはずです。現在、販売サイトの構築に関して中小機構の支援を受けております。

 さらには海外へも展開したいと考えており、初めに英語化を進めて英語圏にも普及していきたいと考えております。現在、長崎大学と連携し、英語圏の作業療法士の使用する言語などに置き換えていく作業を検討しています。

※クラウドサービス「ヒラメキア」をスタートしました。
ヒラメキア(新規ウィンドウ)


会社概要

 

入居BI ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)
代表取締役 小松 喜房
所在地 長崎県長崎市出島町1-43
 D-FLAG 407
事業概要 認知症患者のリハビリテーションシステム支援システムの開発
URL http://www.n-digitalmedia.com/(新規ウィンドウ表示)

 

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製品紹介

認知機能向上システム

 「認知機能向上システム」は、物忘れの自己診断が可能な「タッチで物忘れチェック」、あたまの体操ができる「タッチでアタマの体操」、生活基本チェックの質問で「タッチでアタマの体操」の課題に取り組むとき、効果的な課題を選択する「タッチで元気度チェック」の3種類のプログラムで構成されています。また、利用者登録により履歴の参照が可能です。

 認知機能の向上には「脳の鍛錬=活性化」が有効とされています。高齢者や障害を持った方でも手軽で簡単に使えるようタッチパネルモニターを使用した認知機能の向上の一助となるソフトウエアを制作しました。

認知機能向上システム

認知機能向上システム

会社略歴

2004年8月
会社設立
2007年
「タッチで脳体操」を開発
2009年
「ナガサキ型新産業創造ファンド」助成事業に採択
2010年
「高齢者総合支援システム」を開発    
2012年
各種展示会に積極出展 中小企業総合展in kansai(5月)、国際福祉機器展(9月)、中小企業総合展(10月)、バイオジャパン2012(10月)   
2013年
「販路開拓コーディネート事業」を利用  
2016年
「新価値創造展2016」インキュベーションブースに出展(予定)

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インキュベーションの利用

入居のきっかけ

 D-FLAGがオープンする時に案内が来ました。立地条件も良く、大学との連携が受けられる点が魅力で入居することにしました。入居時の審査が厳しかったことを覚えています。

 

入居しての変化

 補助金情報や展示会情報をタイムリーに提供してくれます。最初は、補助金の書き方などもサポートしていただきましたが、今ではしっかり自分で書けるようになりました。長崎県や長崎市から応援もいただき、長崎市からは「優れモノ」認証制度の認証品にも選んでいただきました。

 

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

 様々な情報を提供してくれる点が一番良かったことです。自分達では開拓できない販売ルートを紹介していただける点も良いと感じています。大学との連携もしやすくなります。

ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)
インキュベーションマネージャー(IM) 増田 裕

 日本は高齢化社会に突入し、認知症患者が増加傾向にあると言われ社会問題の一つとして対策が求められています。同社ではシステムのユーザーは勿論、介護施設などの介助者、病院の先生などシステムを使用する側のニーズにも耳を傾け続け、このシステムに反映してきました。これまでの社長のご苦労が必ずや認知症に悩む患者の症状改善や進行抑制に役立つものと思います。今回、多くの方が利用しやすいクラウドサービスに切り替え、更にはシステムの海外展開や新システムの開発など新たな取り組みにもチャレンジするという事業転換期を迎えています。ながさき出島インキュベータでは同社の事業成功を後押しすると共に今後もサポートを継続して行きます。

 

入居施設データ
ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)
〒850-0862 長崎市出島町1-43

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