インキュベーション >  ビジネス・インキュベータ入居企業 活動報告 >  株式会社マイクロジェット(2016年7月取材)

株式会社マイクロジェット(2016年7月取材)

世界に誇るインクジェットの制御技術でヘルスケア産業、
ものづくりの未来を変えるスピンアウトベンチャー

世界中を話題の渦に巻き込んだクリスアンダーセン著『MAKERS−21世紀の産業革命が始まる』の初版に先立つこと半年前に3Dプリンターについても書かれている『インクジェットの時代が来た!−液晶テレビも骨も作れる驚異の技術−』(光文社新書)を出版。世界で初めてインクジェットの研究開発専用装置を商品化した「株式会社マイクロジェット」代表取締役 山口修一氏にお話を伺いました。

開発の様子

インタビュー

代表取締役
山口 修一 氏

代表取締役 山口 修一氏

起業、会社のおいたち

─なぜ起業しようと思ったのでしょうか

私は大学で流体力学を学び、大手プリンターメーカーで世界初の写真印刷が可能なプリンターを開発しました。その後、このプリンター技術を他のものづくりに応用できる可能性に気付き、社内ベンチャーを3年ほどやらせてもらったのちに独立して株式会社マイクロジェットを設立しました。

本当にやりたいことは何かを考えた時、インクジェット技術の様々な可能性を自分の手で実現したいと思っていました。インクジェットというと紙に色の付いたインクを印刷するプリンターを思い浮かべる方が多いと思うのですが、私は「機能性を持った材料をデジタルデータに基づいて、指定位置に非接触で、吐出することが可能なデジタル・パターニング装置」であると考えています。今後、様々な分野で需要が高まると考えています。

 

事業の展開と現在

─なぜ研究開発専用装置に特化したのですか

いろいろな分野に応用できる可能性はあったのですが、半面インクジェットは非常に高度なノウハウを必要とする摺合せ技術であり、誰でも製品化出来るものではありません。また沢山のアイデアがありすぎて、自分一人で出来ることには限界もあるので、どの分野で製品化するかということも悩みました。結果として、いろいろなメーカーの開発支援をすることが出来れば、様々な分野で製品化出来ると考えて、研究開発専用装置としてのインクジェットプリンターという世界で初めてのコンセプト商品を世に出しました。

 

─どのような分野に応用されているのですか

2000年くらいまではインクジェットでものを作ると言ってもぴんと来ない人が多かったのですが、2001年ぐらいからは液晶分野でカラーフィルターを製造する技術や金属のナノ粒子で回路を描画する技術として注目を集めるようになりました。インクジェット技術がものづくりに応用できるということを、より多くの方に知ってもらうために様々な展示会に積極的に出展しました。最初は2001年に横浜で開催された『FPD2001』(LCD/PDP International 2001)でした。展示会出展にあたり新製品を開発しようかと思いましたが、我々は市場ニーズを知ることが最重要課題であると考え、実験室で自分たちが使っていた装置を展示しました。会場では3日間で500名の来場者があり対応に苦労したことを覚えています。現在では、回路やデバイスを印刷するプリンテッドエレクトロニクスからバイオテクノロジーと3Dプリンティング分野に事業領域を広げています。

バイオ分野では専用のヘッドを独自に開発し、今年はさらにドイツ企業と提携して『 Single Cell Printer 』を開発して販売を始めました。インクジェット一滴に必ず一個の細胞を入れた状態で、指定位置に液滴を並べる装置ですが、細胞株の開発やドラッグスクリーニング等の幅広い分野で使われることを想定しています。

3Dプリンターに関しても世界初の研究開発専用3Dプリンターを製品化しました。既存の3Dプリンターでは、純正の材料しか使えないことや様々なパラメータを変えながら造形実験が出来ませんが、われわれが開発した装置では7つある造形方式の2つに対応し、紫外線硬化材料での造形や各種粉末(石膏、リン酸カルシウム、セラミック、金属、食品粉等)での造形に対応しています。

微細ノズルから液滴が抽出される様子

微細ノズルから液滴が抽出される様子



そして、これから

─今後の展望をお聞かせください

インクジェット技術を日本のコア技術として、日本が再びものづくりの分野で世界をリードしていくことを実現したいです。そのためにあらゆる分野で最先端の研究開発専用インクジェット装置を提供していきます。

インクジェット技術は電気、機械、物理、生物、化学、材料、情報工学等の摺合せで成り立っているので、広く深く学ぶ必要があります。大学では半導体や液晶について学ぶ講座はあっても、インクジェットを学ぶ講座はありません。私のチャレンジ目標は「インクジェット大学」を設立して、インクジェットに関するあらゆる学問を学ぶ場を提供するとともに、実験に必要な高度なスキルやノウハウを教える場を提供することです。

日本発のインクジェット技術で世界を変える、これがわれわれの展望です。ベンチャー企業で挑戦して、自分の能力を高めながら新しいものを世の中に生み出そうという熱いエネルギーを持った方は是非一緒に事業に参画してみませんか。
 

会社概要

 

入居BI 農工大・多摩小金井ベンチャーポート
代表取締役 山口 修一
所在地 本社:長野県塩尻市大門五番町79-2
東京支社:東京都小金井市中町2-24-16
 農工大・多摩小金井ベンチャーポート
事業概要

インクジェットヘッドを活用したデバイス開発機器
バイオ機器の開発
3Dプリンター用開発装置販売

URL http://www.microjet.co.jp/(新規ウィンドウ表示)

 

↑ページのトップへ

製品紹介

Single Cell Printer(インクジェット式 1細胞プリンター)

世界初のInkJet方式によるシングルセル自動注入装置。細胞を高速かつ正確に1個ずつ高確率で指定ウェルに注入可能です。

製品

会社略歴

1997年9月
有限会社マイクロジェット設立
2007年
株式会社マイクロジェットへ商号変更
2009年10月
ものづくり中小企業製品開発等支援補助金 採択
2012年1月
農工大・多摩小金井ベンチャーポート入居
2014年
ドイツBioFluidix社と技術提携
2014年10月
関連会社として株式会社3Dプリンター総研設立
2015年2月
nano tech大賞2015 日刊工業新聞社賞 受賞
10月
東京都成長産業等設備投資特別支援助成事業 採択
2016年5月
中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」 選定

↑ページのトップへ

インキュベーションの利用

入居のきっかけ

農工大の教授とバイオ関連のテーマで共同研究を始めたことがきっかけです。ちょうどそのころ東京にも拠点が欲しいと考えていました。農工大のキャンパス内であれば、先生の研究室との移動時間も少なくて済みますし、何と言っても大学内にあるのでアカデミックな雰囲気が気に入って応募しました。

 

入居しての変化

ここに入居している企業の多くがバイオ関連企業ですので、お互いに情報交換や意見交換ができますので、これまで情報がほとんどなかったバイオ分野へ進出する際には非常に助かりました。

 

入居してよかったこと、将来の入居者へのメッセージ

IM室に常駐するインキュベーションマネジャーやスタッフの方からは、助成金情報、展示会無料出展情報、講演会情報など有益な情報をいただけるので非常に助かっています。 入居企業同士で交流が盛んになると多くの有益な情報が得られます。みんなでイベントを企画してみるのも良いと思います。

 

 

菅野IM

農工大・多摩小金井ベンチャーポート
チーフIM(インキュベーションマネージャー) 菅野 佳弘

当社は電気・機械・物理・化学等、技術の粋を集めたインクジェット技術をさらに進化させ日本のモノづくりに新風・革新を巻き起こそうとしています。エレクトロニクスへの応用、直近ではバイオ・ライフサイエンスに技術を適応し創薬・再生医療等の分野へも進出も果たしております。
農工大・多摩小金井VPは世界初の技術でGlobalに羽ばたく当社を力強く支援致します。

入居施設データ
農工大・多摩小金井ベンチャーポート
〒184−0012 東京都小金井市中町2-24-16

活動報告 掲載企業一覧