20180315
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ミライロ 垣内俊哉 社長障害を価値に変えて「健常者と一緒につくり儲ける」中小機構近畿 インバウンドフォーラム開催地域の成功例学ぶ協議会の役割など討論中小企業再生支援全国本部 東京、大阪でセミナー「未来を支える中小企業」テーマにスマホのAI起業相談「LINE」で実証実験スタート中小機構 【企業概要】▽代表取締役社長=垣内俊哉氏▽本社=大阪市淀川区西中島385、新大阪松島ビル8F(☎06・6195・7853)▽設立=2010年6月▽従業員数=人▽売上高5億円、税引前利益5000万円(2017年9月期)▽事業内容=店舗、設備、製品のユニバーサルデザイン化に伴う企画・設計、バリアフリーマップの企画・デザイン制作及び販売、ユニバーサルデザインに関する各種情報の収集及び提供、企業・行政・教育機関における教育および研修▽URL=http://www.mirairo.co.jp/ 垣内 俊哉氏(かきうち・としや) 立命館大2年在学中に創業。年に「ミライロ」設立。年「みんなの夢アワード3」で最優秀賞を受賞。一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会代表理事、日本パラリンピックサポートセンター顧問。激務を癒すのはフトアゴヒゲトカゲの「つくし」 革新的で潜在能力の高い事業を展開する志の高い経営者を表彰する中小機構の「Japan Venture Awards(JVA)2018」の大賞にあたる経済産業大臣賞をミライロの垣内俊哉氏()が受賞した。施設や設備のバリアフリー化やユニバーサルデザイン(UD)関連事業に取り組む同氏は骨形成不全症という骨が折れやすい遺伝性の病気で車いす生活を送りながらも事業を拡大し続けている。障害者だけでなく高齢者や3歳未満の乳幼児などUDを求める人は日本の総人口の3人に1人。「日本をUD先進国に」と意気込む同氏に受賞後の抱負や将来展望を聞いた。 JVA2018の受賞、おめでとうございます 「歳で起業して8年。栄えある賞をいただいたことは、私はもちろん、一緒に働いてくれている若いメンバーの励みになります。学生時代の友人とアパートの1室から始めた創業当時は飲まず食わずの日々でしたが、賞をいただいたことで私たちが描いていた夢は、実はみんなの夢でもあると確認できました。もっとがんばろうと背中を押してもらったような気分です」 「バリアバリュー」が企業理念です 「障害のある人の視点を新しい価値に変えようという意味です。車いすに乗っていれば健常者が気づけない5㍉の段差に気づく。僕らは5000人の障害者にモニターとして協力していただいて、その声や経験から新しいビジネスチャンスを見つけています」 バリアフリー、ここが変だなと思うことはありますか 「駄目だから変えてくださいとは言いません。一緒につくって行きましょう、というスタンスです。課題は環境、意識、情報の3つのバリアです。環境では、段差や階段、トイレをどう変えていくか。意識では、高齢者や障害者には無関心か過剰になりがちですが、知識や契機がないだけなので、この『ない』を変えていきます」 「情報では、車いすで行ける飲食店やホテルにたどり着く術を提供していきます。これらにビジネスとして取り組んだ人たちが儲かって、やって良かったと心の底から思えるようにしたいと考えています。『一緒に生み出して一緒に儲けていく』のは私たちが大切にしているポリシーですし、日本を良くする基盤になると思います」 ユニバーサルデザイン化を進めています 「〝すべての人のために〟が起点の考え方ですが、みんなが使いやすいようにするには、みんなが少しずつ我慢しなくてはいけません。例えば横断歩道の段差。車いすやベビーカーのユーザーにはバリアですが、視覚障害者は段差がないと境界に気づきません。点字ブロックも同じです。誰かにとっての自由や使いやすさが他の誰かの不自由さになります。お互いに使いやすいものは何か考えることが大事です」 「完璧なユニバーサルデザインはおそらく存在しません。点字ブロックも5年、年先にはなくなっているかもしれません。今はGPS(全地球測位システム)の精度が上がって誤差は1㌢単位と言われています。わざわざ棒で突かなくてもスマートフォンで誘導できるように、変わっていくものなのです」 2020年のオリンピック・パラリンピックまでさらに注目されそうです 「もっと打って出るべきだと思っていますし、それが2020年以降の展開につながるだろうなと思っています。日本はバリアフリーが進みつつありますが、そうでない途上国も多いのです。私たちが培ったコンテンツやビジネスモデルを世界に発信していくことで世界中の障害者に新しい活躍の場をつくることが私たちの役割です。2020年の成功は必要条件。2020年を日本のユニバーサルデザインが世界に打って出て行くための飛躍台にしたいですね」(1)第号年(平成年)月日(木曜日)〈毎月、日発行〉第4回全国創業スクール選手権大賞を決定―中企庁 (面)インバウンド展示会で「リン・クロッシング」出展 (面)「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」など表彰 (面)ハンズオン支援事業大会開催―中小機構中国 (面) 中小機構近畿本部は2月日、大阪市中央区の大阪国際ビルで、インバウンドフォーラム「地域でのインバウンドを成功させるために」を開催した。支援先企業の要望や意見を業務に活かす「お客様懇談会」の特別企画だ。観光事業者や地方自治体、支援機関の職員ら約100人が参加して京都府京丹後市周辺地域の先行事例を紹介するパネルディスカッションでインバウンド事業成功の秘訣を学んだ。議論では行政主導が求められた 中小機構に設置された中小企業再生支援全国本部は2月日、東京都千代田区の都市センターホテルで平成年度中小企業再生支援セミナー「未来を支える中小企業―その事業再生・事業承継を考える―」を開催した。厳しい状況下で再生を果たした2人の経営者が体験談を語ったほか、中小企業再生支援協議会が果たすべき役割について経営者、金融機関、専門家らが話し合った。同様のセミナーは東京に先立ち、日に大阪市の大阪国際会議場でも開催された。 東京会場では冒頭、主催者を代表して安栖宏隆・中小機構理事が「このセミナーは再生全国本部が発足した平成年から続いており、制度改定などを適宜伝えるとともに、協議会が目指すべき姿などを討論する場としてきた。事業再生は支援関連の機関に支えられて乗り越えていくもので、みなさんの力が地域活性化に役立つ」と挨拶した。 座談会形式で進められた第1部は、事業再生・事業承継を果たした2人の中小企業経営者が経験談を語った。司会を務めた全国本部の藤原敬三顧問が「現在はM&A(企業の合併・買収)が盛んだが、自力再生で頑張る経営者にメッセージを伝えたい」と趣旨を説明。事業再生で苦しかったことなどを問いかけた。 玉寿司(東京都中央区)の中野里陽平代表取締役社長は「再生に向けた5カ年事業計画の策定では想定外の出来事が発生し、当初は金融機関に計画を理解してもらえなかった」と、最終的な支援を得るまでの苦労を語った。 紳士服製造販売の佐田(同千代田区)の佐田展隆代表取締役社長は「仕入れ先に頭を下げながら事業計画を作るモチベーションの維持と、金融機関に説明しては作り直す繰り返しの作業が苦しかった」と話した。 第2部は、中小機構の全国本部統括マネージャーをモデレーターに、金融機関、専門家ら4人が、中小企業支援者の立場で事業再生・事業承継を討論するパネルディスカッションを行った。 国内景気の好循環から事業再生を進めやすい環境が整い、事業承継も再生に取り組みながら後継者を探す流れが可能になっている。こうした状況下で事業再生における事業承継のあり方や経営者保証ガイドラインについて、経営改善支援センター事業に関する論点などが話し合われた。 協議会の今後の方向性の議論では「中小企業と金融機関の間に感情論による意見相違が見受けられる。双方をつなぐ役割が協議会にはある」などの意見が出た。 会場は600人を超える参加者で満席となり中小企業の再生に高い関心があることがうかがえた。 中小機構は、AI(人工知能)を活用した起業の自動応答サービス「起業ライダーマモル」の実証実験を開始した。時間365日、いつでもどこでもスマートフォンから相談できる無料サービスだ。起業までの経緯や実務情報などへの質問に対し、AIが最適な回答を瞬時に提示する。3カ月間の実証実験を経て順次、改善し、今秋には本格稼働の予定だ。 このサービスは、コミュニケーションアプリの「LINE」と、中小機構が運営する中小企業ビジネス支援サイト「J―Net」で提供する。質問はフリーワードで入力できるほか、聞きたいことが不明な場合は選択式のメニューで質問可能。 サービスには、人間が日ごろ使っている言語を認識する「自然言語処理」技術を活用したAIを使用。J―Netの起業関連情報や、中小機構への起業相談対応カルテなどから作成したFAQなど膨大なデータを学習している。詳細は中小機構のホームページから特設サイトへ。 同フォーラムは、外国人による訪日旅行であるインバウンドを地方創生の柱と捉え、関係者に地域展開策のヒントを提供するのが目的だ。開会に伴い、中小機構の高田坦ひろ史し理事長は「インバウンドは成長性に富んだ産業だが、地域によって事情が異なる。観光コンテンツと地域をセットで知ってもらう必要がある」と述べ、関係者がそれぞれの役割を遂行することに期待を示した。 パネルディスカッションは「世界に愛される海の京都となるために」をテーマに、京都府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO)の今井真二総合企画局長、京丹後市政策統括監兼商工観光部長の木村嘉充氏、京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAIN(京都府宮津市)の寒竹聖一代表取締役、旅館業を営むとト屋(同京丹後市)の女将・池田香代子氏の4人が登壇。中小機構近畿プロジェクトマネージャーで観光庁が選定した「観光カリスマ百選」の1人でもある刀根浩志氏をコーディネーターに進行し、中小機構の高田理事長もコメンテーターとして参加した。 政府は2020年に日本全体で4000万人、うち関西で1800万人の外国人を呼び込むインバウンド目標を掲げている。官民で取り組んでいる成果もあり、関西地域の訪日外国人数は上昇しているが、人気があるのは京都や大阪など主要観光都市を周るいわゆるゴールデンルート。関西には世界に知られていない観光・地域資源が豊富にあるものの、地域関係者の巻き込み力および民間手法の導入不足が共通課題になっている。 今井氏は、府内の外国人宿泊数が京都市だけで%を占める現状を鑑みて、英語、中国語(簡体字、繁体字)、ハングルに続くホームページの多言語化や、バリエーション豊かな宿泊サービスの開発などの課題を挙げながら、京丹後市域を「もう一つの京都と位置づけ、ブランド力を活かしていきたい」と関係者に協力を求めた。 木村氏は、地域住民の主要交通手段が自家用車である同市で路線バスの運賃に上限を設けたことで輸送人員がV字回復を遂げたケースや、小荷物運搬および買い物代行などのサービスで新たな需要を開拓しているEV(電気自動車)乗合タクシーを紹介した。 寒竹氏は「頻繁に取りざたされる通信環境整備や言葉の問題は、来てくれた後の話。来てもらうために知ってもらうという集客の原点を忘れがちだ」と知名度向上策を第一義とした。刀根氏が以前に紹介したスマートフォン向けの観光ルート案内アプリがインバウンドにも使えそうだと提案したうえで「好奇心を持って取り組んでほしい」と関係者に奮起を促した。 池田氏は、丹後に泊まらなければならない理由を支援機関に問われたことを機に「日本海の新鮮な魚を堪能してもらうために漁師体験など丹後人と交流するプログラムを提供した。これが奏功して外国人客は伸びている」と学習や実践の重要性を語った。 高田理事長は「知ってもらえなければ存在しないも同然」と述べ、民間企業で日常的に取り組んでいるマーケティング戦略と顧客意識が公的機関にも必要と強調。自治体に地域の経営者となるよう求めた。 刀根氏は「観光客は体験でなく交流を求めている。観光経営の考え方で臨めばメリットを感じた地域が参画してくる」と語り、資源と人材不足を嘆くことのないよう注意喚起した。 フォーラムはインバウンド事業には、観光事業者の役割でなく地域の役割とする意識や司令塔である行政が明確化したゴールに向かって地域が進む構図が必要とする意見を共有して閉会した。 パネルディカッションに先立ち「インバウンドを取り込むための成功の秘訣」と題して、中小機構近畿の瀬戸口強一経営支援部長が観光庁の「インバウンド着地型観光の手引き」のポイントを説明した。地域連携や中期的取り組み、ビジネスとしての持続性などが求められるとしたうえで、「旅行者の気持ちになって地域の食べ物や自然を自身の地元だけでなく面的に伝えるべき」と述べ、広域的なホスピタリティーや地域産品を織り交ぜた旅のストーリーづくりなどを促した。 吉川茂樹・同副本部長は、インバウンドの傾向と国の支援制度を概説。「来阪外国人客数は伸びているものの、京都と大阪以外の地域への誘導策が課題」とし、経済産業省や国土交通省などの近畿局で組織する観光立国推進近畿地区官庁連絡会議が策定した「観光・地域づくり~施策・支援メニュー」が、実現に向け動き出していることを紹介した。

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