20170815
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SBIR補助金前年度と同額億円新販路開拓の決め手越境ECで攻める◆3◆まくらのキタムラ(愛知県北名古屋市)米中主体に体制構築へ海外歩き〝枕〟の市場性確信社の海外展開支援「SWBS海外ビジネス総合展2017」開催国内最大級、人来場中小機構エキスパート社に相談ガイドラインの活用促す全国で展開中企庁人手不足対応セミナー中小企業の事業革新でセミナー・都中小公社 (面)海外進出のチャンスとリスク解説・SWBS総合展 (面)第期経営後継者研修、終講式・東京校 (面)「こだわり展示会」で社の出展を支援・中小機構 (面)「当社の枕で世界を眠らせたい」と語る北村社長(本社工場で)【まくらのキタムラ】▽登記社名=Kitamura Japan▽代表取締役社長=北村圭介氏▽本社=愛知県北名古屋市徳重小崎―2(☎0568・23・0213)▽設立=2009(平成)年3月▽従業員数=人(パート含む)▽事業内容=枕・寝装品の企画・製造・販売▽URL=www.kitamura-japan.co.jp どのような人でも、人生の3分の1は寝ている。夜間の快適な睡眠は、昼間の快適な行動に比例し、気持ち良く寝ることは、人生を豊かにする。生きるために快眠ほど重要なことはない。この考え方で企画した枕を日本から世界中の人々に届けようとする事業を愛知県北名古屋市の老舗企業が始めた。 「元気な『おはよう!』を創る」を経営理念とする「まくらのキタムラ」は、快眠と気持ちの良い目覚めの提供を目指し、機能的な枕を企画・製造・販売する枕専業メーカー。「海外カ国以上で枕を見て来ましたが、クッション性を重視した枕が大半でした。当社が開発するような寝るためのツールという概念がない。そこに市場性が十分にあると感じています」と代表取締役社長の北村圭介氏()は、海外市場の有望さを語る。 同社は1923(大正)年に名古屋市の繊維街で生地販売として創業。その後、寝具用カバーの製造を始め順調に事業を拡大したが、中国への生産シフトで生産量は激減する。「もう年以上前で2代目の時代。そのころ枕の製造を始めシーツと両輪でしのぐ時期だったと聞いています。バブルの頃に低反発枕がブームとなり、枕を手がけていたことで大手寝具製造卸からOEM(相手先ブランドによる生産)の依頼を受け、枕の生産が本格化した」という。 そのころ、中国に生産拠点の設置を強く求められたことがあった。これは断り、北名古屋市の工場での生産にこだわり続けた。ここで気がついたのが自分たちのブランドを持ち、販売網を築くことの重要さだった。3代目である北村社長の父親の時代のことだ。 2002年4月、大学卒業とともに入社した北村社長は、営業を担当し、ホテル、旅館など新規顧客の開拓に奔走する。同時にホームページ開設やネット経由での営業展開を手掛け、ブランドを持つためオリジナル商品の開発にも着手した。 「OEMで身につけたノウハウが役立ちました。枕に適した素材の特徴などは熟知しており、最適な組み合わせを考案。機能面は、より快適な眠りを導くため、頭部と首をバランスよく支え、寝返りがスムーズにいくよう設計しました。こうして年に『ジムナスト』の商品名で独自の枕を完成させました」とブランド展開への流れを説明する。 ジムナストは左右が高く真ん中が低い構造で、正面でも横向きでも寝心地のよい工夫があり、好みで枕の中材を出し入れすることで高さを簡単に調整できるのが特徴。その後も改良を重ねた新商品を開発。こうして誕生した「ジムナストプラス」が年に、「ジムナストミニ」が年と連続でグッドデザイン賞を受賞。年には縫い目を工夫した「ジムナストコロン」で三度、同賞を受賞している。価格は8000円台が中心で5万円の高級品までそろえている。 こうした中、年7月に4代目として社長に就任。小売店への影響を考慮しながら国内EC展開を始めた。海外向けはマレーシア企業との取引を長く続けており、一定の海外販売比率がある。ホームページも知人の紹介で中国語版を作成した。 魅力ある海外へどのような形で展開するべきかが課題。「日本のやり方が通用するとは考えていませんが、切り口が見つかりません。ホームページの英語版など基本的な対応を行い、マーケティングに着手し、ブラッシュアップしていく」ことを考えていた。 そのとき、中小機構中部本部から越境ECマーケティング支援事業を聞き「だめもと」で補助金申請を行い昨年9月に採択された。現状はホームページの英文版などを整えた段階。これから中国、米国をターゲットに越境ECを本格化させる方針だ。 「確実にヒットする限定的な層に向けて訴求するため、マーケティングを兼ねニューヨークで開催された展示会に昨春と秋、今春と3回連続で出展しました。今後も現地調査など意欲的に行う考えです」という。(1)第1198号平成29年8月15日(火曜日)〈毎月、日発行〉 中小機構は8月2日、東京都台東区の都立産業貿易センター(台東館)で、海外展開を目指す中小企業と海外展開支援企業などとのマッチングイベント「SWBS海外ビジネス総合展2017」を開催した。約733人(487社)が来場、海外展開支援のエキスパート100社・公的機関が構えたブースで戦略策定、翻訳、知的財産、人材など海外展開するうえでの課題や悩みを相談し、具体的な支援サービスの説明などを受けた=写真。このほか、基調講演、販路開拓セミナー、海外人材をテーマにしたパネルディスカッション、特別セミナー、国ごとの現状を解説するミニセミナーなど海外展開に必須の情報を満載したイベントで、中小企業向けの海外ビジネス相談会として、国内最大級の規模となった。(2面に関連記事) 中小企業庁は7月日、さいたま市のさいたま新都心合同庁舎で、人手不足を乗り越える人材マネジメントと好事例を紹介する「中小企業・小規模事業者人材不足対応セミナー」を開催した。今年3月にとりまとめた人手不足対応ガイドラインの活用促進を目的に、全国で順次開催するセミナーの初回。人材確保に悩む中小企業の経営者や人事担当者ら約200人が、同庁中小企業・小規模事業者人手不足対応研究会委員で、リクルートジョブズの宇佐川邦子ジョブズリサーチセンター長による対応策に聞き入った=写真。 ガイドラインは、多様な働き手が能力を最大限発揮できる職場づくりや、ソフトとハードの両面から生産性向上に取り組む企業の事例を収集・分析し、人手不足対策の考え方を記載。事例から抽出したポイントを①経営課題・業務②生産性・求人像③働き手の目線による人材募集や職場環境―という3つの見つめ直すべきステップに区分。100件を超える事例は業種別、経営課題別などに整理し、よろず支援拠点の経営相談や中小企業大学校の経営者向け研修などの支援策と併せて紹介している。 セミナーでは冒頭、中企庁の苗村公嗣経営支援課長が開会挨拶。「日本の生産年齢人口は減少し、人手不足は一過性ではない。女性や高齢者をパートタイムで雇用するなどして生産性を向上すべきだ」などと述べた。 宇佐川氏は、求人広告に携わっている経験に基づいて人手不足対策の考え方を説明した。「少子高齢化という人口構造の変化に起因しているため、人手不足は解消しない」と前置きし、むしろ経営課題、成長の機会ととらえるべきだとした。 成長策として女性や高齢者の柔軟な雇用を挙げた。「働きたくても働けない理由があるなら取り除くべきだ」と述べた。具体的には、業務を軽作業と重作業、フルタイムとパートタイム勤務に細分化することで人材獲得の可能性が高まると説明した。見学した農園では、肉体労働は男性の仕事と決めていた慣行を改め、軽作業と重作業に分け、収穫期の軽作業に女性のパートタイマーを採用したところ、全体の生産性が向上したケースを引き合いに「これまでの当たり前を疑ってみる」試みを勧めた。 この後、宇佐川氏をモデレーターに、事例集に記載された企業の代表者が自社の取り組みを紹介するパネルディスカッションを実施。近藤宣之・日本レーザー代表取締役、斉さい之の平ひら伸一・三州製菓代表取締役、光畑由佳・モーハウス代表取締役の3人が登壇し、経営課題や働きやすい職場環境のあり方などについて意見を交わした。 日本レーザー(東京都新宿区)はレーザー機器の専門商社。かつての経営悪化による大量退職を機に、女性や外国人への雇用拡大策や歳まで働ける勤務制度を導入。従業員全員と個別に働き方の契約書を取り交わして適正評価の仕組みを構築し、離職率ほぼゼロと期連続黒字を達成している。近藤氏は「社長が変われば従業員も変わる」と述べ、自ら従業員に明るく挨拶し、会社から大切にされていると思える環境を醸成すべきだとした。 米菓・菓子製造の三州製菓(埼玉県春日部市)は従業員の%が女性パートタイマーで、担当以外の業務もこなして育児と介護を従業員同士で支援する「1人3役制度」を導入した。斉之平氏は「助け合いの風土が形成され、人間関係が良化した」とした。育児中の女性従業員の要望に応え、在宅勤務や法定以上の育休なども取り入れているという。 授乳服の企画・製造・販売のモーハウス(茨城県つくば市)は、独自開発した授乳しやすい服の着用により、育児中の女性を採用できる環境を整備。光畑氏は「『服一枚でできる働き方改革』を提言し、社会と育児を結びつけた」と話した。 宇佐川氏は3社とも「従業員に優しい環境を整備しているのではなく、企業の成長に必要な職能のマルチ化を労使納得の上で実現している」と締めくくった。 SWBS(中小企業ワールドビジネスサポート)は、中小機構が実施する中小企業の海外展開を支援する取り組みの一環。専門家によるセミナー、海外支援事業者とのマッチングと相談などを通し、情報収集と課題解決につながるヒントを得てもらうことを目的に3年前に開始した。これまで東京をはじめ各地で開催してきたが、今回は講演やパネルディスカッション、国別セミナーなど多彩な内容を加えた総合展として、初めて開催した。 開催に際し、主催者である中小機構販路支援部の村井振一部長は「わが国の社会構造が変化し市場が縮小することが確実視される一方で、海外には旺盛な消費市場がある。中小企業が成長を続けるためには海外展開が重要だ。それは、かつてのような大企業とともに海外に出ることではなく、国内にいて海外ビジネスを行うこと。また、インバウンドビジネスもある。日本の中小企業の力を海外で発揮してもらうため、中小機構はこれら多様な海外展開を力強く支援していく」と語った。 セミナー会場では、「中小企業が取るべき海外戦略」と題した基調講演のほか、国別など計本のセミナーが行われ、盛況だった。相談会場では、海外展開のエキスパート100社・団体が出展し、計2552件の相談に応じた。 中国の富裕層向けに日本の装飾品を販売するため、越境EC(電子商取引)を検討しているというノーツ(東京都千代田区)の石橋万利子ディレクターは、「どのような戦略を策定すればいいのか情報収集にきた。セミナーと中国に特化したミニセミナーは参考になった。物流など勉強しなければならない課題解決にもつなげていきたい」と話した。 海外パートナー企業を探すため参加したという人材育成コンサルティングのJIN―G(同港区)の居山由彦取締役副社長は「海外赴任者向けの研修を国内で展開しているが、現地でサポートしてくれる企業と出会えるきっかけを作れないか相談にきた。手応えはあった」という。 海外での銀行口座開設をサポートするワールドファーストジャパン(東京都品川区)は「当社も中小企業を支援する立場だが、設立したばかり。海外展開を志向する企業の状況把握と他の支援企業との情報交換を目的に参加した。有意義だった」と志田高幸事業開発マネージャーは語る。 来場者からは「情報量が多く勉強になった」「対面でじっくりと相談できるところがいい」「セミナーの内容、種類が充実していた」など、アンケートでは約%が「大変満足」「満足」との結果となった。一方、出展者からは「次回も出展したい」「今後につながりそうなマッチングがあった」などの声が寄せられた。 政府は7月日、中小企業技術革新(SBIR)制度で平成年度中小企業・小規模事業者に対する特定補助金の交付方針を閣議決定した。今年度の国等の研究開発予算における中小企業・小規模事業者向け支出目標額は、過去最高だった前年度と同額の460億円。 SBIR制度は中小企業などによる研究開発とその成果の事業化を支援する。研究開発のための補助金・委託費などを特定補助金として指定するもので、中小企業経営強化法に基づき、平成年度から毎年度交付方針を閣議決定している。 今年度は特定補助金などのうち、創業年未満の新規中小企業、小規模事業者の支出額を把握し、セミナーなどを通じて情報提供して一層の活用を促進。また、国等が主催する展示会の出展審査では、新規中小企業に配慮するほか、補助金申請手続きの簡素化などを図り、負担軽減を図るとしている。

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