20170801
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売り上げ「上がった」は3割緊急アンケート 人手不足の影響、鮮明に中小機構AI活用で施策浸透中小機構 新たな支援構想発表最大万社診断事業承継5ケ年計画策定中企庁支援体制、施策を抜本強化食品加工 製造者支援に尽力消費者ニーズ即応が重要五味商店 寺谷健治 代表取締役IT・IoT推進、人材確保など要望・日商 (面)米国抜き「TPP」、「必要」の比率低下 (面)戦略、運営、販売手法を伝授・越境ECセミナー (面)第3回ライフサイエンス交流会㏌柏の葉開催 (面)【企業概要】▽代表取締役=寺谷健治氏▽本社=千葉県我孫子市本町349(☎047・183・7700)▽設立=1998(平成)5月▽創業=1931(昭和6)年3月▽従業員数=人▽事業内容=農水産加工品卸、小売業▽URL=http://www.5-3.co.jp/寺谷健治氏(てらや・けんじ)中央学院大卒。食品スーパー勤務を経て年五味商店(海苔卸問屋)入社。年社長に就任し食品総合卸へ事業転換。販路開拓などをテーマに全国で講演を行う。中小機構の地域活性化パートナー登録企業。歳。北海道斜里町出身。 食品スーパーの棚には多種多様な加工食品が並ぶ。日常生活に欠かせない商品から全国各地の特産品まで、欲しいものは何でもそろう。ただ、消費者ニーズは常に変化し、それに対応できない商品は市場から消える。千葉県我孫子市に本社を置く食品卸の五味商店は、全国の中小・小規模製造者の優れた商品を発掘する一方で、変化する市場を捉えられない企業への指導に尽力する。寺谷健治代表取締役に食品加工業者が必携すべき考え方と「こだわり商品」展開などを聞いた。 加工食品の卸・小売業界の景況感、市場の変化などを教えてください 「食品加工業界の景気は、悪くないですね。前年に比べ売上高の伸びが期待できます。現在、多くのお得意様と取引していますが、最近の傾向として注目しているのは、ネット通販、携帯電話事業者、衣料品など非食品系の企業からの引き合いが増えていることです。家電量販店も食品の取り扱いを始めるなど小売業界の競争は激しさを増しています」 「その一方で消費二極化に変化が起きていると感じています。好きな商品は高くても買う、それ以外は低価格に抑えるという消費二極化が『利便性とプレミアム』を重視する傾向に変化しています。ライフスタイルの向上などが背景にあるのでしょう。十人十色と言われた時代は過ぎ、今は『一人十色』ともいえる消費行動に移っています。経営者が認識すべき流れです」 中小の食品加工業者は、消費者ニーズの変化をどう感じていると見ていますか 「市場の変化を捉えるのが経営者の仕事です。地域金融機関などから情報を得るだけでなく、巷の情報を自らとりに行く、知るための努力をするべきだと多くの場で強調しています。さらにマーケティング、商品デザイン、宣伝、販売サービスなど流通のプロセスも知る必要があります」 「全国を商談に歩くと食品加工業者は3タイプに分けることができます。それは①競争力があり着実に販路拡大している②商品のブラッシュアップが必要③企業のブラッシュアップが必要―などです。展示会でバイヤーへアピールできるのは①のタイプだけ。③は企業基盤の強化から見直すべきで、残念ながらこのタイプが多いのが現状です。さらに共通して言えるのは、人と補助金に頼り、経営者として日々の努力が足りないことです。支援機関などのセミナーや中小企業大学校の研修へ積極的に参加し、知識、手法を学ぶべきだと助言しています」 消費者ニーズの変化に即した商品展開とは 「流通には2つのチャンネルがあります。規模を伴う大手と、きめ細かい中小からの流れです。私どもは後者ですので大手にできないことを志向していきます。例えば醤油ですと通常は製造にカ月かかりますが、大手は4カ月で作り価格を抑えています。これに対し当社では、再仕込みした2年モノを扱っています。酢はわずか1日で作る大手に対し、3年かけて作る本物を消費者に届けています。世界に誇る和食は本物の調味料に支えられています。本物志向の消費者ニーズに応える展開は、日本の発酵食文化を守ることにつながるはずです。この発想で1999年に始めたのが『こだわり商品』展示会です。600人のバイヤー、出店企業ともに好評をいただき、先日、回目を開催しました」 今後の事業展開について 「時代の流れに対応し、これまで取り込んでこなかったミレニアム世代へ味噌、醤油など発酵食文化を伝える手法の具体化に着手します。また、食品と非食品の業界に境がなくなっている現状から、新たな市場作りにも取り組んでいきます。今後も価格競争には巻き込まれず、地方で頑張る食品加工業者のこだわりの商品を発掘していく方針です」(1)第1197号平成29年8月1日(火曜日)〈毎月、日発行〉 中小企業庁は、今後5年程度を集中実施期間とし、支援体制、施策を抜本的に強化する「事業承継5ケ年計画」を策定した。中小企業経営者の高齢化や後継者難に対応し、①プレ支援のプラットホーム構築②早期承継のインセンティブ強化③小規模M&A(合併・買収)マーケットの形成④サプライチェーン・地域における事業統合等の支援⑤経営人材の活用―の5点を掲げた=表参照。地域の事業を次世代に引き継ぐとともに、起業家を含む後継者による経営革新に挑戦しやすい環境整備を整備するベンチャー型も支援する。これら総合的な計画によって、5年間で万~万社の事業承継診断を実施する計画だ。 1年前に比べて「売り上げが上がった」とする中小企業の割合は・5%―。中小機構が実施した緊急アンケートでこんな結果が明らかになった。顧客数や取引先の減少、販売・受注単価の減少に加え、人手不足で需要に対応できないとする回答も目立った。売り上げ拡大に向けた課題でも人手不足を挙げる回答が最も高い比率を占めた。 1年前と比べ売り上げが「ほぼ横ばい」は・2%、「下がった」は・4%と、合わせて7割近くになった。横ばいまたは下がったとする理由を尋ねた(複数回答)ところ、「顧客数・取引先数の減少」が・4%、「販売・受注単価の減少」が・0%のほか、「人手不足で需要に対応できない」も・6%に達した。売り上げが上がったとする業種別の割合は、建設業(・0%)、小売業(・8%)が全体の比率を下回った。人手不足で需要に対応できないとした企業では、情報通信業が・8%、建設業が・1%と、他の業種と比べて高い割合を示した。 売り上げ拡大への課題(同)は、「商品・サービスの開発・改良」が・0%と最も多かったが、「営業・管理担当の人手不足」が・4%、「生産・販売現場の人手不足」が・0%と、合わせて4割近くが人手不足を挙げている。「IT・AI導入による生産性向上を実行できる人材がいない」(5・8%)、「海外販路の開拓を実行できる人材がいない」(4・7%)と、人材育成を挙げる回答もあった。 売り上げ拡大に向けて実行している対策(同)は、「顧客ニーズに沿った対応」(・0%)を筆頭に、「営業・PRの強化」(・2%)、「新規取引先の発掘」(・6%)などが続いたが、「海外販路の開拓(3・3%)、「IT・AI導入による生産性向上」(2・4%)、「eコマースの導入」(1・1%)などの回答割合は低かった。 この調査は6月~7月日まで、中小機構のメルマガ会員約3万7000人を対象にインターネットで行い、有効回答は1004社だった。 プレ承継支援では、自治体や関係機関と連携して地域の事業承継支援の中核を担う「事業承継ネットワーク」の事務局を来年度までに都道府県すべてに展開する。支援機関の専門人材を育成・活用して、来年度には年間5万件の承継診断を実施。その成果を横展開して知見の共有化を図り、経営者への「気付き」を提供してニーズを掘り起こす。同ネットワークを地域に根付かせ、プレ承継からポスト承継まで一貫してチーム支援を行うプラットホームとして、自立的に機能する支援体制の実現を目指す。 早期承継に向けては、第二創業やベンチャー型承継など資産を受け継いで新たな事業に挑戦する取り組みを支援するため、事業承継補助金を新設する。経営状態が必ずしも良くない事業者には経営改善・事業再生を支援し、早期の取り組みを促すため生前贈与の税制優遇を強化するなど、早期承継へのインセンティブを強化。後継者や経営者による経営合理化、ビジネスモデル転換など成長への挑戦も支援する。 小規模M&Aマーケットの形成では、事業引継ぎ支援センターの要員を増やすほか、同センターの企業データベース(DB)の開示範囲を拡大し、来年度には民間の企業DBとの相互乗り入れに着手する。経営状態が良好ではない事業者の引継ぎを支援するため、再生支援協議会と同センターが連携し、退出を希望する事業者の資産を起業家が活用できるよう創業支援機関と同センターの連携も強化する。 これらにより、同センターの5年後のマッチング件数は2000件(年度約400件)を目指す。 サプライチェーンの維持・発展に必要な中小・小規模事業者の承継を親事業者がサポートする環境を整備するため、中小機構、事業引継ぎ支援センターと業界団体との連携を強化。また、M&Aや事業の共同化、MBO(役員・従業員による企業買収)を促進する税・予算措置を来年度に実施し、中小企業の事業統合・共同化を促進する。 経営人材の活用では、大企業の経営幹部を歴任するなどスキルの高い人材が中小企業の次期経営者候補や後継者をサポートする経営幹部として活躍できるよう、事業引継ぎ支援センターの企業DBを人材紹介会社に段階的に開示するなどの連携を検討。地域ファンドを活用した資金サポートや、ファンドを通じた経営人材の派遣についても支援策を検討する。経営人材の一層の活用に向けて、来年度にインセンティブ策を検討、平成年度の実現を目指す。 事業承継をめぐっては、6月に閣議決定した新しい成長戦略「未来投資戦略2017」で今後5年程度を集中実施期間とする方針が打ち出されており、今回の計画はその具体策となる。 中小機構は、中小企業の新たな支援構想を打ち出した。支援施策が十分に行き届いていない現状を打破するため、AI(人工知能)やIT(情報技術)を活用して支援の質・量の拡充を目指す。同機構の高田坦ひろ史し理事長が7月日、マスコミ向けに同構想を発表した。具体的には、これまでの支援データやノウハウなどを生かして経営相談のプラットホームを構築。AIを活用して支援の量と品質向上を図り、他の支援機関にも開放することを目指す。これにより「全国381万の中小企業に支援を届けたい」(高田理事長)としている。 人口減少に伴う国内市場の縮小や大手企業の海外生産増加、EC(電子商取引)市場の成長による実店舗売り上げの減少など、中小企業の経営を取り巻く環境は構造的に変化している。これに対応するにはマーケット範囲の拡大、eコマースの活用、生産性向上などが求められているが、中小機構のアンケート調査でも、中小企業の売上高は思うように伸びていない。 こうした実態を踏まえ、中小機構は今回、支援策自体の生産性向上を図ると同時に、支援施策を浸透させるため、AIを利用した新たなプラットホームを開発。中小企業の経営改善に寄与する考え。 7月日付で専門組織として新設した「AIプロジェクト推進室」では当面、ユーザーとの文字による会話型自動応答サービス「起業支援チャットボット」を開発する。これは、中小機構が運営するビジネス支援サイト「J―Net」内に蓄積した起業マニュアルや業種別開業ガイドなどのコンテンツを活用。AIが質問意図を理解して素早く回答する。時間365日、どこからでも相談を受け付けるもので、「1~2年以内に実用化したい」(担当者)としている。 将来的には、このサービスを経営相談全般に広げ、音声でも対応可能とする「経営相談AI」を実用化。スマートフォンなどから相談でき、経営課題に応じた適切な支援施策、支援事例の紹介や、最適な専門家らをAIが自動的に提示できるようにする計画だ。 中小機構はこれまで、IT活用の支援策として、EC活用、越境EC支援、マッチングサイト「J―GoodTech(ジェグテック)」などを展開してきたが、新たな支援策は中小機構自らが最新のICT(情報通信技術)を活用するもので、今後は他の支援機関などにも呼びかけてツールの拡充を目指す。

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