20170701
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ふるさとの未来支える「一日中小企業庁㏌北海道」開催事業承継などで意見交換中企庁など中小企業同士の交流促進確認中小機構高田理事長 タイ工業大臣と会談出展社、商談社を支援インテリアライフスタイル展で 専用ブース中小機構移動革命など戦略5テーマ「未来投資戦略2017」閣議決定中小企業大学校の機能強化も「攻めのIT経営中小企業」社を選定・経産省 (面)事業継続計画策定済み企業は%・景気動向 (面)IoTの可能性探るセミナー・ビジネスト (面)海外展開支援セミナー開催・TKCと中小機構 (面)(1)第1195号平成29年7月1日(土曜日)〈毎月、日発行〉 中小企業庁長官をはじめとする中小企業施策の責任者と地域中小企業関係者が意見交換して交流を深める「一日中小企業庁㏌北海道」が6月日、札幌市のニューオータニイン札幌で開かれた=写真㊤。「がんばる中小企業を応援します~地域(ふるさと)の未来を支える中小企業」のサブタイトルのもと、喫緊のテーマとなっている事業承継問題などを議論し、あるべき姿を探った。道内の中小企業経営者と宮本聡・中企庁長官らの意見交換会や、2代目女性社長の講演、北海道経済産業局による中小企業施策の説明など多彩なメニューが用意され、約500人の来場者が各講師の話に聞き入った。会談する高田理事長㊧とウッタマ大臣㊨ 中小機構は6月~の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「インテリア ライフスタイル」(主催・メサゴ・メッセフランクフルト)の会場内で、地域資源を活用した商品を創るモノづくり中小企業の販路開拓を支援する「Rin crossing」(リン・クロッシング)ブースを出展した=写真。 国内外からインテリア系のバイヤーらが多く訪れる同展の開催に合わせ、中小機構は伝統工芸による雑貨や小物などを創る中小メーカー社の出展を支援したほか、最終日には別室でバイヤーを招いた商談会を行い、社が参加。創り手とバイヤーをつなぐ場を演出した。 今回、リン・クロッシングの展示テーマは「my room 都会で働く女性のためのくつろぎ空間の提案」で、女性が好むデザインと機能性を備えた逸品が出品された。ブースに出展した社は、いずれも立ち止まり話を聞きたくなる商品ばかり。次々に訪れるバイヤーたちは、商品を手にして説明を求める姿が途絶えなかった。 「新たな取引先として有望な人たちと話ができ、確かな手ごたえを感じた」と萩陶苑(山口県萩市)の磯部めぐみ営業企画課長は大きな成果があったと話す。土と釉薬と窯の調節で発色が異なるのが萩焼の特徴。「一つも同じものがない。自分だけの茶碗、お皿などに魅力を感じてもらえている。淡い色も落ち着いた雰囲気を出している」とし、これに現代風のデザインで作り出す陶器はギフト用として人気が出ているという。 自動車用スプリング部品を主力事業とする遠州スプリング(静岡県磐田市)は、新事業として始めたスプリングを活用した花瓶やツリー形状のスプリングに、香りのオイル一滴を落とすだけで爽やかな空間をつくりあげる商品などを展示し、注目を集めていた。「準備期間に1年をかけ、今春に発売した。2000円前後で買いやすい価格に設定したこともあり、引き合いは多い」とセールスアドバイザーの粟屋勝之氏は語る。販路拡大が今後の課題だという。 一方、商談会は約人のバイヤーが訪れ、社が会議スペースに商品を並べ、展示会場とは異なる静かさの中で具体的な商談が繰り広げられた。国産漆の最大の産地である岩手県の浄法寺漆を次代につなぐことを目的とし、伝統工芸士による蒔絵を文字板にした高級時計を製造販売するTMプラネット(盛岡市)は、すべて手作りの伝統美をバイヤーらにアピールした。 代表取締役の田口正氏は「国産漆の7割を占める浄法寺漆の振興を目的に高級時計の展開を始めた。海外の高級ブランドと並べてもそん色がない商品。展示会などで少しずつ露出を増やしていく方針」と語る。 冒頭のあいさつで高橋はるみ北海道知事は、昨年4月施行の北海道小規模企業振興条例を紹介したうえで「人口減が先行している北海道は需要減、人手不足、後継者難が重なる厳しい状況にある。そんななか、今日のイベントのサブタイトルの通り『ふるさとの未来を支える中小企業』への期待は大きく、中小・小規模企業の振興にさらに力を入れていく」と〝中小企業応援団長〟としての意気込みを語った。 意見交換会では、沿海調査エンジニアリング(札幌市)の大塚英治代表取締役、フュージョン(同)の佐々木卓也代表取締役、田中工業(小樽市)の田中惣一郎代表取締役、北海道事業引継ぎ支援センター(札幌市)の北原慎一郎統括責任者の4人が、宮本中企庁長官や北海道経産局の担当者らと話し合った=写真㊦。 4人は事業承継について「親族外承継で3代目社長に就いた。低利融資を受け、早期に株式を取得し経営主体を確立できたのが良かった」(大塚氏)、「歳の時、歳の社長からバトンを受けた。札幌証券取引所に上場し、マーケティング事業の全国展開を推進中」(佐々木氏)、「祖父が興した鋳物の会社を継いでいる。昭和年代には道内に130社ほどあった鋳物会社が、今では社そこそこ。ロボットを導入するなどで、祖父からのたすきをつないでいる」(田中氏)、「父の急逝から学生社長となり、大混乱を乗り切り業績を軌道に乗せた。息子たちは、やりたい夢があるということで、後継ぎが見つからず、上場会社に譲渡した経験から、現在は事業承継を支援している」(北原氏)と説明した。 これらを受けて宮本長官は、「事業承継には早めの準備がいかに大切かを再確認した。また、乗っ取りや最後の救済手段といった印象から心理的な抵抗のあるM&A(合併・買収)は、実は事業承継の有力な手段として前向きにとらえるべきだということも実感できた。相談者が果たす役割が大きいことも理解できたので、それらを今後の施策に反映させたい」と方向性を示した。 ダイヤ精機(東京都大田区)の諏訪貴子代表取締役による講演「主婦から社長へ就任した2代目の年戦争」なども行われた同イベントは、北海道、中企庁、北海道経産局が主催、中小機構北海道本部が共催し、北海道では年ぶり、2回目の開催となった。そのせいか、道内各地から多くの中小企業関係者が訪れ、参加人数は最近の一日中小企業庁の平均人数を大きく上回った。 政府は6月9日、新しい成長戦略「未来投資戦略2017~Society5・0の実現に向けた改革」を閣議決定した。少子高齢化や労働力不足などの構造的問題を抱える中で、ビッグデータの活用や生産性向上などによってこれを克服する方向性を示した。具体的には、健康寿命の延伸、移動革命の実現など5つの戦略分野を掲げた。中小企業関連では、付加価値や生産性の向上を図るため、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)、ロボット導入などで引き続き1万社支援を継続。人材面では、5年程度の事業承継支援の集中実施のほか、中小機構が運営する中小企業大学校の機能強化なども打ち出した。 新戦略では、第4次産業革命の進展によって、価値の源泉が「ヒト(人材)」や「データ」に移る経済システムを「ソサエティ5・0」と位置づけ、これに向けた戦略分野として、①健康寿命の延伸②移動革命の実現③サプライチェーンの次世代化④快適なインフラ・まちづくり⑤フィンテック―の5つを挙げた。一方で、イノベーションの成果を実証するため、プロジェクトごとに関連する事前規制や手続きを抜本的に見直す規制の「サンドボックス」(砂場)を創設するとしている。 規制改革・行政手続きの簡素化では、2020年までに行政手続きコストを原則%以上削減する。中小企業関連では、ある省庁に提出した情報は別の省庁から提出を求められることがなくなる。複数の補助金を申請する場合でも、同一事項は1回記入すればよくなる。ベンチャー企業を設立する際も、スマートフォンで法人設立に必要な事項を記入すれば、法務局、労働基準監督署、年金事務所などへのすべての申請情報がオンライン上で送付される。 地域経済好循環システムの構築に向けては、中堅・中小企業、サービス業、農林水産業などの革新を挙げた。このうち、KPI(重要業績指標)の進捗状況を挙げ、2020年までに黒字の中小企業・小規模事業者を140万社にする目標に対し、年度は・3万社、サービス業の労働生産性の伸び率を年までに2・0%という目標に対し、年は1・3%などの数値をあげた=表参照。 地域の現場の付加価値、生産性向上にはIT化とデータ利活用を促進。中小企業などのデータを用いた新サービス・付加価値創出に向けて、今年度末までに専門家による支援を1万社以上に行い、IT、IoT、ロボットの活用を促進する。 中小企業の人材面では、今後5年程度を事業承継の集中実施期間とし、早期・計画的な承継準備(プレ支援)、後継者らによる経営革新などへの支援(ポスト支援)を行うほか、分かりやすい事業承継診断手法を導入。年間5万件の診断を行い、事業引継ぎ支援センターの支援を通じたM&A(合併・買収)などの成約件数は、直近の5倍となる年間2000件を目指す。 中小企業大学校の機能強化では、地域の事業者からのアクセス改善に向けた研修の拡充や、高度実践プログラムの導入などを今年度中に試行し、来年度から実施する。 海外の成長市場取り込みでは、年までに中堅・中小企業の輸出額2倍を実現するため、新輸出大国コンソーシアムのきめ細かな支援を検討するほか、現地の安全・トラブル対策の強化、トラベルカード発行対象拡大によるビジネス関係者の移動の促進などを打ち出した。 中小機構の高田坦ひろ史し理事長は6月6日、来日したタイのウッタマ・サヴァナヤナ工業大臣と都内のホテルで会談した。ウッタマ大臣は中小企業同士が協力することで互いに発展できるとしたうえで、今年は日タイ友好130周年の記念すべき年で、両国の中小企業イベントを開催したい意向を表明。これに対し高田理事長は中小企業の関係強化に同意し、イベント開催についても政府を交えて検討する考えを示した。 席上、ウッタマ大臣は、中小企業協力は重要分野の一つとし、具体的には食品、ロボット、航空機産業などを挙げた。新しい投資機会として同国東部で進める「東部経済回廊」(EEC)を強調。そのうえで「イベントには中小機構に多くの中小企業を連れてきてもらい、タイの中小企業関係機関とのマッチングやEEC現地での説明会を開催し、日本企業に進出してもらいたい」などと述べた。 高田理事長は、中小機構が今年1月にタイ工業省と結んだ覚書により人材交流の準備を進めているとし、「タイの政策に関する最新情報が日常的に入るようにしていきたい」とした。また「日本の中小企業は技術力があり、かねてより海外で活躍してほしいと申し上げているが、その際には優良なパートナーと組むことが大切」と指摘。中小機構が運営するマッチングサイト「J―GoodTech」(ジェグテック)には日本企業4500社、タイ企業1300社が登録しており、これを活用した両国の関係強化を強調した。 イベント開催については「経済産業省、経団連、中小機構などが一体となりイベント全体を推進することが効果的だ」と述べた。 今回の訪日団はウッタマ大臣のほか、ソムキット副首相、アピラディ商務大臣らで構成。副首相は安倍晋三内閣総理大臣を表敬訪問したほか、7日には都内で「タイ投資シンポジウム」に参加。ウッタマ大臣は8日、中小機構が運営するインキュベーション施設「神戸医療機器開発センター」を視察した。シンポジウムではEEC構想について説明。今後5年間、官民合計で約4・8兆円を投資し、高速道路・鉄道などのインフラ整備、電気自動車、医療、航空、ロボットなどのハイテク産業誘致により同地域を次世代ハブに育成する考えを述べた。 中小機構は今後、タイ工業省との協力関係をさらに深化させ、ジェグテックなどを通じた両国の中小企業のビジネス連携を一層促進させる考えだ。

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