20170515
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グッドヘルス(ながさき出島インキュベータ)入居企業の収益力高めるD―FLAGチーフIM 宮本 美砂氏日本食+スキンケアでヒットネット販売大手の部門1位に次代担うベンチャーインキュベーション施設から飛躍◆2◆実践型の越境EC学ぶ4~7月に全国都市でセミナーTKC全国会、中小機構が共催「移動スーパー」で社会課題解決CSV経営ワークショップTIP*Sインフォメーション「健康全般にアプローチしていく」と話す大嶋氏グッドヘルスの商品群 日本食とスキンケア―。通常なら相容れないものを結びつけて通販サイト1位のヒット商品を生み出したベンチャー企業がある。グッドヘルスだ。 代表取締役で薬剤師の資格を持つ大嶋太郎氏は「日本食は身体にいいことが知られている。それを使ってスキンケア商品をつくれば本当にいいものができるのでは、と思っていた」と開発のきっかけを話す。 最初に生まれたのがハンドクリーム。主な原料は、兵庫県丹波産の合鴨農法と呼ばれる無農薬でつくられた米ぬかエキスや、日本酒のうまみ成分として希少な「グリセリルグルコシド」、さらには柚子や黒大豆など日本食関連ばかり。塗った後もベトつかずにサラサラし、それでいながら保湿力が高い。「目指したのは感動の使用感」(大嶋氏)という自信作だ。 「BEL VISO」(ベルビーゾ)のブランド名で2013年にインターネットの楽天市場で販売を開始したところ、翌年にはハンドクリーム部門だけでなく、ボディケア部門でもランキング1位となるヒット商品となった。現在ではアマゾン、ヤフー、自社サイトと販路を拡大している。 曽祖父が明治(1902)年に薬局を始めた家系のため、販売にあたっては「老舗薬局がつくった日本食スキンケア」をキャッチフレーズにした。ウェブの商品ページを専門デザイナーに頼み、戦略的に広告・宣伝する手法を取り入れたことも認知度を高めるにことに奏功した。 大嶋氏は年月、グッドヘルスを創業した。当初は長崎市香焼町沖の伊王島でスパとマッサージ事業と、ハーブティーなどのオリジナル商品を販売。同島は年に長崎市本土と結ぶ伊王島大橋が完成し、「やすらぎ伊王島」としてリゾート開発が進んだこともあり、事業は軌道に乗る。薬剤師として化学知識もあったことから、かねてから構想していたスキンケア商品の開発に乗り出した。 開発に当たっては「いろいろな原料を試した。たまたま原料メーカーから丹波の米ぬかを紹介してもらい、分量・配合に配慮しながら試すと、すぐに優れた原料だと分かった」。現在ではボディローション、バスオイル、乳酸菌サプリなども商品化。すべて「日本食」が売りで、ハンドクリームだけでなく、他の商品も合わせて楽天市場5部門で1位を獲得している。「大豆などを使った化粧品やスキンケア商品はあるが、お米はない。『日本食』は商標登録した」。 長崎県諫早市で創業した後、長崎市に移り、中小機構が運営するインキュベーション施設「ながさき出島インキュベータ」(D―FLAG)に入居したのは年1月。大嶋氏がたまたまD―FLAGの前を通り、「こんな施設があるのかと知り」、すぐに入居を打診したという行動派。入居後はインキュベーションマネージャーから補助金や助成金、セミナー、展示会など「まったく知らなかったさまざまな有用な情報を知らせてもらい、助かっている」という。 実際、厚生労働省の補助金を得たほか、展示会にも積極的に出展するようになった。販売子会社「てんまん香粧薬房」は中小機構の越境EC(電子商取引)マーケティング支援事業により、昨年末から米国向けのネット販売も始めた。 日本食=和食はユネスコの無形文化遺産にも登録され、世界的に認知度も上がっていることから、米国だけでなく、「中国向けの販売も始め、アジア向けにもアプローチしたい」と意欲的。将来的な目標は、海外向けが日本の売り上げを上回ることという。 大嶋氏に今後の展開を聞いたところ、「健康の指針になるようなトータルコーディネート商品の開発販売」とのこと。すでに化粧水、乳液、クレンジングクリームなどの化粧品、シャンプー、コンディショナーなどの入浴関連を開発中で、さらに消臭やリラックス効果のあるアロマスプレーも近く商品化するなど幅広い。 「次なるテーマは睡眠」という大嶋氏。社名のとおり、よりよい健康を目指した質の高い独自商品を提供し続けそうだ。 私は長崎県産業振興財団を経て、この4月からチーフインキュベーションマネージャー(IM)に就任しました。 D―FLAGは西洋文化交流発祥の地である出島に位置し、特徴は長崎大学、長崎総合科学大学、長崎県立大学シーボルト校の3大学、および県や市と連携が深い点です。入居希望のヒアリング段階から大学が入り、その後も成長を見守っています。3大学および県や市に対して年に2回、入居企業が事業活動を報告する定期ヒアリングも開催しています。 入居企業は環境・エネルギー、情報産業、バイオなど幅広い分野となっています。とくにエネルギー関係では、県が「ながさき海洋・環境産業拠点特区総合特別区域計画」の認定を受け、洋上風力発電、潮流発電など海洋再生エネルギー分野に力を入れていることから、D―FLAGにも関連2社が入居しています。 今後は県外の情報を収集するとともに、大学、県・市と支援制度などの情報共有を一層進めて入居企業と支援策をマッチングさせ、儲かる企業に育てたいと思っています。 (談) グッドヘルス ▽所在地=長崎市出島町1―、ながさき出島インキュベータ。てんまん香粧薬房(http://tenman.co.jp/)▽代表取締役=大嶋太郎氏▽設立=2010年月▽事業内容=スパ・マッサージ事業、オリジナル商品の企画開発・販売▽資本金=1000万円▽従業員数=5人▽☎095・895・8090 ながさき出島インキュベータ(D―FLAG) ▽開設=2007年▽4階建て延べ床面積約1600平方㍍▽居室=実験室室、オフィス室(約~平方㍍)(4)第1192号平成29年5月15日(月曜日)■経産省、「攻めのIT経営中小企業百選2017」選定企業発表会を5月日に開催 経済産業省は5月日、東京・内幸町のイイノホールで「攻めのIT経営中小企業百選2017」の発表会を開催する。 企業のIT(情報技術)利活用促進に向けた取り組みの一環として平成年度に始めた顕彰制度で、今回が3回目。ITに積極的に取り組み成果をあげている先進的な中小企業を選定。表彰式と選定企業によるパネルディスカッションを行う予定。 参加費は無料。一般参加定員は300人。申し込みは登録フォームから。https://www.b-forum.net/event/mngita2017/form.php■中小機構関東、「大手企業・商社ジェグテック商談会」を6月8日に開催 中小機構関東本部は6月8日、東京・虎ノ門の同機構本部で、新製品の開発などを目指す大手企業・商社と、中小企業との「大手企業・商社ジェグテック商談会」を開催する。 大手企業・商社との事業連携や共同開発、取引を希望している、または新たな販路開拓を目指す中小企業を募集する。大手企業・商社は社の参加を予定している。 商談会に併せて、ジェグテックのウェブ機能を活用した事前マッチングを実施するとともに、商談が円滑に進むよう①専門家による事前アドバイス②会場でのアドバイス対応③商談後の成約に向けた支援―を実施する。 商談申し込み・詳細は公式サイト(http://www.smrj.go.jp/kanto/seminar/100907.html)で。 TKC全国会と中小機構は、EC(電子商取引)を活用し海外進出を検討する中小企業に向けた実践型セミナー「明日から使える越境EC成功へのステップ~越境ECで成功する企業と失敗する企業とは?~」を4月日(福井市)から7月7日(新潟県三条市)まで全国都市で開催する。越境ECに取り組む具体的なステップとサイト構築で注意すべき事項、ホームページ運営のポイントなどを専門家が分かりやすく解説する。 このうち、さいたま市のTKP大宮ビジネスセンターで4月日に開いた埼玉会場では、第1部として中小機構販路開拓支援アドバイザーの村田光俊氏が「越境EC成功へののポイント」と題し、成功に導くための大原則とそのための具体的な取り組みを講演した=写真。 村田氏は大原則について、勝てる場所、商品、対象を決め、すべて現地の視点で考えることだとし、「経営トップが越境ECにコミットしているか、とりあえずのスタンスなのかで成功、失敗が分かれる。越境ECのライフサイクルをとらえ、とるべき戦略を明確にすることが重要だ」と指摘した。 売れる商品を見つけるには、グーグルで検索数をチェックすることや「リサーチしながら自社プロモーションを考えることがポイント」と具体例を通して説明。さらに言語の違い、決済、物流、関税を把握し、人員体制と適切な要員の選定、1日の作業目安としてルーティン作業を項目ごとに分け、これらを分担するなど詳細な点にまで触れた。 越境ECを事業として成功させるには「まずスタートとゴールを定め、計画性を持つこと。ヒットする商品企画は難しいが、リサーチすることで見えてくるものがある。外国人向けビジネスであることを念頭に、思考は販売先の国を意識するべきだ」などと強調した。 次に「越境ECの税務・会計の留意点」について、川本泰正税理士事務所の川本泰正氏が、海外へ販路拡大を検討する際に知っておくべき税金について説明した。その中で、①国内取引と売り上げ計上時期の違い②消費税の取り扱い③外貨建て取引の円換算―の3点を留意点に挙げた。 重要なのは消費税とし、課税区分には課税、輸出免税、非課税、不課税の4種類あることを覚えてほしいと話した。とくに「消費税は国内取引に適用されるので、越境ECでの売り上げには非課税。仕入れに伴う消費税は還付対象となるが、正確な還付申告を心掛けるべきだ」と述べた。 続いて、「魅力あるHPの作成と運営のポイント」として、中小企業向けWebマーケティング支援を手がけるアイ・モバイルの久保埜裕亮マネージャーが、海外向けホームページ作成の基本と必要な準備、翻訳サービスの選び方、好まれるサイトの作り方の3項目について解説した。 この中で翻訳については「最初は正確ではないことを承知の上で機械翻訳を活用し、次にターゲットとする国に対してはネイティブな翻訳ページを作成する」ことを勧めた。サイトのデザイン、配色は日本的な感覚と大きく異なるので、販売する国の国民性を十分に理解してコンテンツを作り込む必要があるとした。 中小機構が運営するビジネス創発拠点「TIPS」(東京・丸の内)は4月日、ワークショップ「考える!『社会課題をビジネスで解決する』~CSV(共有価値創造)経営に挑戦する経営者との対話から~」を開いた。第3回となった今回のゲストは、高齢化と過疎化で日常の買い物が困難になった人たちに、軽トラックで訪問販売する「移動スーパーマーケット」ビジネスを創業した住友達也・とくし丸代表取締役。会場には定員を上回る約人の中小企業、小規模事業者らが集まり、社会課題をビジネスとして解決するヒントを学んだ=写真。 経済産業省は、高齢化と過疎化で日常の買い物が困難になった「買物弱者」は全国に約700万人と推計。住友氏はこれをビジネスで解決しようと、地元・徳島で軌道に乗せたタウン情報誌事業を売却して確保した資金で、2012年に移動スーパー「とくし丸」を立ち上げた。 「とくし丸」は、地域スーパーと提携し、購入希望商品約400品目だけを軽トラックに積んで居宅まで訪問販売するビジネス。ルート販売スタッフには、地域住民から誠実で真面目で明るい人材を厳選し、同事業を運営する個人事業主として契約している。 住友氏は、利益を確保するために商品1点当たり一律円をプラスして販売するルールを考案。5円を個人事業主に、5円をスーパーにそれぞれ支払う仕組み。移動販売車には、あらかじめ購入希望を確認した商品しか積んでいないため、「売れ残りによる収益圧迫の不安もない」という。 ルート販売は週2回。買いだめや買い過ぎを防ぐ方針や、小さな困りごとにも対応する「おばあちゃんのコンシェルジュ」を目指す姿勢、自治体や県警と協定を結び、ケアマネージャーらへの連絡、オレオレ詐欺や不審者への注意も呼びかける配慮が好感され、信頼を得ているという。地域の個人商店の商圏は侵害しない自己規制も貫いている。 収益源の多様化にも努める。「本当の目的は、全国の高齢者で構成する情報インフラ整備。移動スーパーはその手段に過ぎない」と語り、歳前後の高齢者を抱えるマーケティングネットワークを確保したことで、食品メーカーから依頼されるサンプリング調査を有償で受託している。 ドローンやAI(人工知能)による自動運転車両、スーパーの宅配事業との違いを問う参加者には、「ドローンや宅配事業は商品を届けるだけ。人のぬくもりは技術では補えない」と答えた。 昨年6月、食品宅配専門スーパーのオイシックス(東京都品川区)に事業を譲渡。現在は同社の100%子会社として、全国の地域スーパー社と提携し、都府県で約200台の「とくし丸」を運行している。 ワークショップには、初回からコーディネーターを務める竹内利明・武蔵野大学特任教授も参加。「利益を上げながら社会課題を解決するビジネスモデルを増やす、あるいは社会課題をビジネスで解決しようとしている経営者を応援すべきだ」と、参加者に学んだことを行動に移す努力を促した。

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